建築用語集

散りじゃくり

散りじゃくりとは、塗り壁と柱や額縁、回り縁、畳寄せなどの木部が接する部分に設ける溝を指し、仕上げ材のわずかな端を内側に控えさせる伝統的な技法です。壁や木材は乾燥や収縮、温度や湿度の変化によって、わずかに動くため、直接接触することで隙間やひび割れが生じやすくなります。そのため、柱に溝を掘り、塗り壁の端を収めることで、微細な動きによる隙間を目立たなくし、壁と柱の境界線を美しく際立たせます。

特に和室や左官仕上げの空間で用いられ、日本建築ならではの繊細な美意識と職人技が光ります。高度な技術によって、単なる「隙間」ではなく、素材の自然な動きを見越した「美しく保つための空間」としての役割を果たしています。

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<監修>

  • 今西 千登瀬

    有資格
    2級建築施工管理技士・宅地建物取引士・インテリアコーディネーター・不動産キャリアパーソン・リビングスタイリスト1級・住宅ローンアドバイザー・賃貸住宅管理業務管理者