住まいと暮らしのライフスタイルマガジン『HomeLife』。
家での暮らしをより楽しく、豊かにするための様々な情報を発信します。
旅館などで見かける縁側に、どこか懐かしい印象を抱く人もいるでしょう。縁側を自宅に取り入れると落ち着いたくつろぎの空間が生まれ、より居心地の良い住まいになります。
今回は縁側の種類や魅力とともに、施工するうえでの注意点も解説します。
あわせて、和室とのコーディネートで洗練された空間を演出できるDAIKENの床材や畳(たたみ)もご紹介します。
縁側とは?

(※)写真はイメージです。弊社製品ではございません。
縁側は板張りの細長い空間で、室内と庭の間に造られます。日本独特の伝統的なスペースとしておなじみですが、設置の仕方や広さなどによっていくつかの種類があります。
縁側の種類
縁側は大きく“外縁(そとえん)”と“内縁(うちえん)”に分けられます。
外縁とは、家の窓の外側、屋根の庇(ひさし)の下に設けられた縁側を指します。庭に向けて張り出した形になっており、雨が降ると濡れるため“濡れ縁”とも呼ばれます。
さらに、外縁には居室よりも低い造りの“落ち縁”と、縁側の板が敷居(しきい)に直角に張られている“切れ目縁”という種類があります。
一方、内縁は窓の内側に造られる縁側で、部屋と庭、部屋と部屋の間に位置する廊下のようなスペースです。“くれ縁”とも呼ばれ、居室とは障子(しょうじ)などで仕切られ、庭ともガラス戸などの建具で仕切られています。
内縁の中でも特に幅の広いものは“広縁(ひろえん)”または“入側縁(いりかわえん)”と呼ばれ、板ではなく畳が敷かれることもあります。
和風旅館などではイスやテーブルなどが置かれ、くつろぐためのスペースとなっています。
縁側とウッドデッキの違い
縁側とウッドデッキはどちらも居室の外側に設けられるスペースですが、用途や構造に違いがあります。
縁側は基本的に和風の住宅に設置され、和室や庭との調和を重視した設計が好まれます。素材も板張りや畳が一般的です。それに対しウッドデッキは洋風の住宅に設置されることが多く、主に天然木や人工木材で造られます。間取りの配置によっては、建物正面のデザインである“ファサード”に影響を与える大きな要素となります。
関連記事⇒「ファサードとはどんな意味? 住宅の第一印象を左右するファサードデザインのポイント」
また、縁側の内縁には基本的に屋根がありますが、ウッドデッキには屋根がない例も多く、オーニングやタープなど布製の日よけで日光を遮ります。
さらに、縁側は主に屋内空間の延長として機能しますが、ウッドデッキはバーベキューやガーデニングなど、“アウトドアリビング”として使われることが多いようです。
縁側のメリットとは?

(※)写真はイメージです。弊社製品ではございません。
縁側は屋内と屋外をゆるやかにつなぐ、日本特有の美しい空間です。自然の風や光を感じながら、人と人との語らいや交流が生まれる場所でもあります。
それだけでなく、縁側には機能面でのメリットもあります。
適切な採光と通風を確保できる
縁側があると、室内に自然光を採り入れて明るさや風通しの良さを確保できます。特に南面に縁側を設ければ、太陽高度の高い夏は室内に直射日光が入るのを防ぎ、太陽高度の低い冬は日だまりのような暖かさを取り込んで、ほっとした空間をつくります。
縁側は、日本の気候に適した日本家屋の知恵といえます。
来客時に便利
縁側は、気軽に立ち寄れる雰囲気がありながら、プライベート空間には踏み込みづらい絶妙な位置にあり、来客時のちょっとした応対や待機スペースとして重宝します。回覧板を届けにきたご近所さんと話をしたり、宅配便を受け取ったりといった日常の気軽なやりとりをスムーズにし、玄関アプローチとプライベート空間の“中間の場”として役立つ場所です。
関連記事⇒「玄関アプローチは家の顔 デザインと素材選びで門からの通り道をおしゃれな空間に!」
サンルームのように使える
縁側は日当たりの良い場所に配置されることが多いため、晴れた日にはサンルームのような使い方が可能です。とりわけ内縁タイプの縁側は雨風の影響を受けにくく、洗濯物を干したり植物を育てたりと様々な用途に使えます。
明るく暖かな空間は、冬場でもほっとできる心地良い場所になるでしょう。
趣味のスペースや子どもの遊び場になる
縁側は家族の多目的スペースとしても活用できます。大人は読書や手芸、盆栽などの趣味を楽しめますし、子どもは庭で遊ぶときの休憩場所や遊び場として使えます。縁側があると子どもにとって庭や自然がより身近になり、興味・関心が育つきっかけになり得ます。
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縁側のデメリット・注意点

(※)写真はイメージです。弊社製品ではございません。
縁側にはメリットが多い反面、いくつかのデメリットも考えられます。家づくりに縁側を取り入れるときには注意すべき点も知って、後悔のない間取りの計画を立てましょう。
居室スペースが狭くなる場合も
縁側を設ける場合、居室部分の面積が削られてしまう可能性があります。リビングや寝室の広さを優先すると希望していた広さの縁側の確保は難しくなるかもしれません。計画の際は、間取りのバランスを考えながら「どれだけのスペースを縁側に使うか」を検討しましょう。
縁側の設置は建具や家具のレイアウトにも影響が出るため、設計段階からの計画が必要です。
設置費用がかかる
内縁・外縁などの種類にもよりますが、縁側を造るには屋根や床材の設置、防風・日よけ対策などが必要になります。そのため、通常の居室部分を造るのに比べてコストがかさむ場合もあります(※)。
予算に余裕を持って準備しておくことをおすすめします。
(※)本記事は一般的な例です。実際の内容・仕様・費用などは地域や施工会社などで異なるため、詳細は専門家にご確認ください。
防犯対策が重要
ガラスの掃き出し窓を用いた縁側は開放感が魅力な反面、不審者の侵入リスクがあるため、防犯対策は大切です。
防犯フィルムの貼り付けや補助錠、シャッターの設置、防犯砂利、人感センサー付きライトの導入をおすすめします。
また、外構や植栽の配置なども全体のバランスを意識しながら、なるべく死角をつくらない設計にしましょう。
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縁側をおしゃれに計画するポイント

(※)写真はイメージです。弊社製品ではございません。
縁側を設けるなら、よりおしゃれな空間に仕上げましょう。見た目と実用性の両方を実現する縁側づくりのポイントを紹介します。
植栽にもこだわる
縁側の魅力を引き立てるのが、外に広がる庭です。縁側から四季折々の変化を感じられるように、季節ごとの花や草木を組み合わせた庭をつくりましょう。下草(グランドカバー)、中低木、シンボルツリーを上手に配置すると、バランスの良い植栽になります。
目に映る風景が美しいと、縁側で過ごすひとときがより格別なものになるでしょう。庭に降り立つための踏み石などを配置すれば、縁側を介してウチソトのつながりが生まれます。
和室と合わせてコーディネートする
縁側は本来、和風住宅に設けられるため、和室とよくなじみます。可能であれば和室の外側に縁側を設けて、統一感のあるデザインにすると、より落ち着きのある空間づくりができるでしょう。
和室の障子や畳、木材の質感を縁側と調和させれば、和室と縁側双方の魅力がより引き出されます。照明や家具も同じイメージで統一すると、旅館などのようなくつろぎと安らぎの空間に仕上げられるでしょう。
DAIKENの『タフアートえんこうエコ』『ダイケン畳 健やかくん』でおしゃれに
縁側の床材と居室の統一感にこだわりたい、というときにおすすめのDAIKEN製品をご紹介します。
耐傷性の高い和風床材『タフアートえんこうエコ』

DAIKENの『タフアートえんこうエコ』は、特殊オレフィンシートを採用し天然木のような風合いと耐久性を兼ね備えた床材です。傷や凹みが付きにくくお手入れしやすい(※)ため、屋内外をつなぐ広縁で美しさと機能性を長く保つことが可能です。
<松柾目(まさめ)柄>(柾目:目が流れる模様)、<桧(ひのき)柾目柄>、<桧板目(いため)柄>(板目:木目が山形に流れる模様)の3色柄が揃っており、住まいに合わせた色柄を選べます。
さらに、関東間と関西間の2サイズ展開なので、お住まいの地域に合わせることも可能です。
(※)金属製キャスターや球状キャスターは使用しないでください。キャスターの使用頻度が高い箇所は、カーペットなどを敷いて床を保護してください。
(※)ワックスは必要ありません。お客様のご都合によりワックス掛けされる場合は、DKワックスネオをご使用ください。他のワックスは塗りムラや表面性能の低下の原因となります。
機能性にすぐれた『ダイケン畳 健やかくん』

縁側から続く和室には、高機能の和紙畳(※)『ダイケン畳 健やかくん』がおすすめです。畳表・畳床ともに高温熱処理滅菌済みです。カビの発生やダニの増殖を抑え、快適さを保つことが期待でき、紫外線による変色や退色がしにくいため、美しさを長く保ちます。
織り柄、カラーとも豊富で、伝統的な和室にもモダンな空間にもアクセントを加えるデザインです。和室での快適な暮らしをサポートしてくれるでしょう。
(※)機械すき和紙を使用しています。コウゾ、ミツマタ等を使用した手すき和紙ではありません。
また、本ページで記載の和紙の畳とは、畳のおもて部分のことを指し、畳床部分まで、全てが和紙製ではありません。
まとめ
縁側は、自然とのつながりや家族とのふれあいを深められる空間です。設置にあたっては注意点があるので、事前の細かい検討が大切です。しっかり計画することでメリットを活かした素敵な空間にしましょう。
縁側からの眺めや床材にもこだわれば、見た目はもちろん、機能面でも満足度の高い住まいになります。縁側のある暮らしで、癒やしとくつろぎの時間を過ごせるでしょう。
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監修者
志鎌のり子(しかまのりこ)
一般社団法人日本模様替え協会 理事/COLLINO一級建築士事務所代表。日本女子大学住居学科卒業、五洋建設でマンション・ビルの設計監理/内装デザインを10年担当。その後、日本ERIにて住宅検査など10年担当、設計・検査・審査した住戸数は延べ5,000件以上にのぼる。現在は部屋を「機能による空間分け」「動線」「収納」の観点から模様替えする独自のメソッドにより、機能的な部屋づくり/仕組みづくりなどを提案。書籍「家具配置のルール」のほかSUUMO、AERAwithKids、建築知識ビルダーズ、住まいの設計など著書多数。
保有資格:模様替えアドバイザー 一級建築士 建築基準適合判定資格者 住宅性能評価員 建物耐震診断士 フラット35適合証明検査員 など
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