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外観デザインは家の第一印象を決める重要な要素です。外観の中でも特に大切なのが、建物正面のデザインであるファサードです。今回は、ファサードを構成する要素やデザインのポイントについて解説します。ファサードデザインの基本を押さえ、より魅力的な住まいを実現するためにぜひ参考にしてください。
ファサードとは

ファサードとはフランス語“façade”に由来する建築用語で、建物の見た目、特に正面から見た外観デザインを指します。もちろん家づくりにおいて重要なのは、室内での暮らしやすさですが、素敵な外観の家は住む人の気持ちを幸せにしますし、周囲の景観にも良い影響を与えることがあります。
古来ヨーロッパでは、都市景観をつくる要素としてファサードが非常に重視されてきました。“街並み”という言葉がありますが、多くの都市において地域独自の文化・歴史・価値観・技術を反映したファサードにはある程度の統一感があり、地域特有の美しい街並みを形成しています。
美しく、親しみやすく、周囲になじむ家をつくるために、ファサードデザインの基本を押さえましょう。
ファサードを構成する要素

ファサードには、具体的にどんなものが含まれるのでしょうか。まずはファサードを構成する要素を大きく4つに分けて解説します。
外壁
一般的に、ファサードの最も大きい面積を占める要素が外壁です。そのため通常は、外壁のデザインがファサードのベースになります。
よく使われる外壁の種類と特徴は以下のとおりです。外壁の種類によって、見た目はもちろんメンテナンスの手間やコストが変わってくるので、慎重に選ぶ必要があります。
代表的な外壁の種類
・窯業(ようぎょう)系サイディング:セメントと繊維などを混ぜてつくる外壁材。デザインが豊富でコストは比較的安めな傾向。一般的にメンテナンス頻度は7~15年程度で、費用は塗装のグレードで大きく変化する。
・金属系サイディング:金属製の外壁材。金属特有のスタイリッシュなデザインが特徴でコストは比較的安めな傾向。一般的にメンテナンス頻度は10~15年程度で、費用は塗装のグレードで大きく変化する。
・モルタル:セメント系の外壁材。コストは比較的安めな傾向。一般的にメンテナンス頻度は5~10年程度で、費用は塗装のグレードで大きく変化する。
・ALC:軽量気泡コンクリートの外壁材。遮音性・断熱性にすぐれる。一般的にメンテナンス頻度は10~15年程度で、費用は塗装のグレードで大きく変化する。
・タイル:土や石などを焼き固めた外壁材。立体感のあるデザインが可能。コストは高めな傾向。一般的にメンテナンス頻度は10~15年程度で、塗り直しの必要がない分費用は安め。
屋根
ファサードに奥行きを与え、ボリューム感のあるデザインを実現する要素が屋根です。屋根は形状によって家の表情が大きく変わります。日本で代表的な3つの屋根形状の特徴をご紹介します。
代表的な屋根の形状
・切妻屋根:屋根の頂部の両側に斜面を置く山形の形状。シンプルで雨漏りが発生しづらい
・片流れ屋根:屋根の頂部を端部に置き、片方に傾斜している形状。おしゃれでモダンな印象。
・寄棟屋根:屋根の最上部にある水平な棟から四方に流れる4つの斜面で構成される形状(頂点が1つに集まっている場合は方型屋根と呼ぶ)。落ち着いた雰囲気で和洋どちらにもマッチする。
窓
窓はファサードにアクセントを与え、オリジナリティを出せる要素です。窓の大きさや形、数、サッシの存在感でファサードの印象が大きく変わります。外観の印象だけでなく室内の明るさや開放感、プライバシーの保護にも関係するので、外観と室内環境の両面から検討していくことが大切です。
外構
戸建て住宅の場合、門や塀、玄関アプローチ、中庭、植栽、照明などの外構も第一印象に大きな影響を与えます。外構は建物本体ではありませんが、ファサードと外構をセットでデザインすることで、住宅の外周り全体の統一感がより高まるでしょう。
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家づくりにおけるファサードデザインのポイント

ファサードに影響を与える要素が理解できたところで、次に家づくりでファサードデザインを考える場合の注意点を押さえておきましょう。ファサードを決定する時のポイントを3つに絞って解説します。
デザインコンセプトを決める
ファサードデザインの方向性を決めるため、まずは家のデザインコンセプトを明確にしましょう。いくつか例をあげます。
・モダン:シンプルで洗練されたデザイン。
・ナチュラル:木材や自然素材を生かしたぬくもりを感じられるデザイン。
・北欧風:北欧諸国の家に見られる自然素材の素朴な味わいを活かしたデザイン。
・和モダン:日本の伝統美と現代風の洗練された美しさを融合させたデザイン。
インターネットや建築系の書籍では、これらのキーワードで様々なファサードの事例を探すことができます。自分の理想の家に近い事例を見つけられれば、ファサードを決定する第一歩となるでしょう。
周辺環境との調和を意識する
ファサードデザインでは、地域の歴史や文化、価値観などを読み取って反映させることが重要です。しかし、これらの情報を集めて理解し、デザインに落とし込むのは非常に難しく、専門的な知識が必要な作業です。
そこで自分でできる方法としておすすめしたいのが、敷地周辺の街並みの色彩や家の素材に着目し整理する作業です。背景の山や植栽、川などをよく観察すれば、地域特有の雰囲気をつかめるかもしれません。自分が観察して感じとった周辺地域の雰囲気を、建築会社や設計士と共有しましょう。きっと街並みや周辺環境と調和したファサードの方向性も見えてきます。
色だけでなく素材にもこだわる
街並みを見たときにぱっと目につくのは色ですが、同じ色でも素材によって見え方が異なります。例えば茶色でも、木の茶色、レンガの茶色、タイルの茶色は、色彩も色合いも光の反射の仕方も大きく違うはずです。
使える色がある程度限られているとしても、素材を変えることで個性を表現する方法もあります。周辺環境に調和させつつオリジナリティを出したい場合は、ファサードの素材にこだわってみましょう。
ファサードに使われる代表的な素材と特徴
・木材:あたたかみがあり、経年変化を楽しめる。
・石:高級感があり、耐久性・耐火性が高い。
・コンクリート:気密性が高く、防音性・耐久性が高い。
・モルタル:デザインの自由度が高く、耐火性・耐久性が高い。
・レンガ:おしゃれで重厚感があり、メンテナンスが楽。
・タイル:高級感があり、耐久性が高い。
・金属サイディング:シンプルで、断熱効果・防音性にすぐれている。
・ガラス:スタイリッシュで、視界が広がり、景観を楽しめる。
・壁面緑化:見た目が爽やかで、室温上昇を抑えるので省エネに役立つ。
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ファサードの印象アップにおすすめの『ダイライト軒天羽目板』
DAIKENの『ダイライト軒天井材』は、軽量、防耐火、高耐久、省施工など多彩な性能を備えた軒天井材シリーズです。
軒天井とは軒先に出ている屋根の裏側の天井部分のことで、見落とされがちな場所ですが、実際に家を見る際には屋根を見上げることも多いため、軒天井のデザインが家の印象を大きく変えます。
『ダイライト軒天羽目板』の原料であるダイライトは、火山性ガラス質材料と、鉱物繊維からなる無機質の材料です。そのためシロアリなどの食害や腐食の影響を受けにくく、耐久性にすぐれています。さらに色柄やデザインも豊富で、なかでも木目柄の化粧シート品は上品でデザイン性が高く、ファサードの印象アップにおすすめです。
また、『ダイライト軒天羽目板』は、『グラビオ羽目板Ⅴ』と同系色デザインのため、屋内外で統一感のあるコーディネートが可能です。奥行きのあるファサードデザインにしたい場合はぜひ組み合わせてください。

まとめ
夢のマイホームを建てるなら、家の外も中も自分好みにデザインして、理想の暮らしを実現したいところです。内装や間取りをつくりこむのはもちろんですが、ファサードにこだわるのもおすすめです。室内と外観の両方で自分らしさを表現し、素敵なファサードが実現できれば、帰宅の度に幸せな気持ちになり、毎日が楽しくなることでしょう。
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監修者
淀川 美和(よどがわ みわ)
株式会社アートアーク一級建築士事務所代表。一級建築士、インテリアコーディネーター、2児のママ建築家。「ママをきれいにする空間づくり」 をミッションの一つに掲げ、住宅・店舗・ホテル等の設計、内装コーディネート、メディア出演等を行う。自身も仕事と家事と育児のバランスをとりながら、忙しいママがいかに快適に家族と暮らせるかに焦点をあてつつ「お部屋のコンシェルジュ」として皆さまのお役に立てるよう奮闘中。
保有資格:一級建築士、インテリアコーディネーター、建築士会インスペクター、健康住宅アドバイザー、整理収納アドバイザー2級、アロマ検定1級
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