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2025-04-30

植栽とは? おすすめの庭木で外構をおしゃれに!

緑の木々や寄せ植えなど様々な植物に彩られた戸建て住宅は人の目を惹きます。それがバランスよく素敵にコーディネートされていたら、つい見とれてしまうのではないでしょうか。
植栽が美しく施されると、その建物全体の印象はぐっとよくなります。
そこで今回は、植栽の基本と取り入れやすいおすすめの植物について解説します。
庭と建物とを違和感なくまとめる工夫や、外構をさらにグレードアップさせる方法もあわせてご紹介します。

植栽とは

植栽とは、庭や公園、街路などの空間に植物を配置して景観を整えることです。似た意味を持つ言葉に“ガーデニング”がありますが、ガーデニングは庭やベランダなど小さめのスペースで個人的に楽しむ園芸を指す言葉です。これに対して植栽は、植物による美観の向上を主な目的として広い範囲をプロが計画的に管理しながら行う工事・事業、または植えられた植物を指します。

植栽の目的

植栽には様々な目的があります。適切な植物を選んでバランスよく配置することで美観を向上させ、家や店舗を含め建物や街並みに自然の彩りを取り入れるほか、風や日光を遮り快適な居住環境を実現します。また、防犯、フェンスや塀の代わりに土地の境界を示す目的もあります。

また、植物は二酸化炭素を吸収して酸素を供給するため、環境保全にも役立ちます。特に都市部につくられる比較的広い範囲の緑地は、都市部の気温が上昇するヒートアイランド現象の軽減にも貢献し、快適な街づくりの一環としても期待されています。
家庭の植栽も、範囲は狭いもののヒートアイランド現象の軽減になることが期待できるでしょう。

植栽の構成(下草、中低木、シンボルツリーなど)

植栽は大きく分けて“下草” “中低木” “シンボルツリー”で構成されます。

下草は、30cmほどの背が低い植物と、地面を覆うように生育する植物であるグランドカバーの総称で、シンボルツリーの株元に植えるものです。これらの植物は雑草の抑制や土壌流出を防止するほか、植栽の構成にボリュームを持たせて景観を整えます。

中低木は1~3m程度の高さの植物で、庭のアクセントとして、さらに目隠しや仕切りの役割を果たします。

シンボルツリーは植栽の中心となる樹木であり、その場所の印象を決定づける重要な存在です。玄関の周辺や庭の中心に、樹形の美しいものが選ばれたり、場合によってはお祝い事の記念樹として植えられたりすることもあります。

これらの要素を上手に配置すると、美しくバランスの取れた空間をつくり出すことができます。必ずしもすべての要素を用いる必要はなく、スペースに合わせて上手に組み合わせるとよいでしょう。

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2025.04.30

植栽におすすめの庭木① グランドカバー・下草

下草を植えることで全体の統一感とナチュラルな雰囲気を演出しながら、地面を覆うように成長するため土の流出を防ぐことも可能です。植栽に取り入れたい下草にはどのようなものがあるのでしょうか。

シバザクラ(芝桜)

春にピンクや白、紫などの桜に似た花が地面を覆うように咲く多年草です。常緑性で耐寒性・耐暑性があり、管理も容易なので、グランドカバーとして人気があります。

セダム

多肉質のぷっくりとした葉を持ち、乾燥に強く日当たりの良い場所で育ちます。葉の形や花色の種類が豊富で、中には1年を通じて花や葉の紅葉を楽しめる品種もあります。

エリゲロン

“アズマギク”や“源平小菊”の和名のとおり、小菊のように可憐で小さな花を咲かせる多年草です。耐暑性・耐寒性があり、カルビンスキアヌスという品種は初夏から秋までの長期間にわたり開花します。ロックガーデンや花壇の縁取りなどにおすすめです。

アジュガ

春に青紫色やピンク色の花を穂のように咲かせるシソ科の多年草で、光沢のある葉が特徴です。日当たりの良い場所よりは半日陰から日陰でよく育ち、短期間でどんどん増えて地面を美しく覆います。

ヤブラン(リリオペ)

細長い葉と、夏から秋にかけて咲く紫色の花穂が特徴の多年草です。耐陰性があり丈夫なので、日陰のグランドカバーや縁取り植物として利用できます。涼しげな葉は和風の庭にもよく合うでしょう。

植栽におすすめの庭木② 低木

グランドカバーや下草を選んだら、それに合わせた“中低木”もチェックしましょう。

マルバノキ

鮮やかな赤や黄色に紅葉する落葉低木で、ハート形の葉が特徴です。耐暑性・耐湿性が高いため日本の気候にも適しており、庭のアクセントとして利用されます。

セアノサス(カリフォルニアライラック)

春から初夏にかけて、青や紫の花を咲かせる常緑性の低木です。西日の当たらない半日陰を好み、乾燥にも強い品種です。上品な青い色は洋風ガーデンとよくなじみます。

チェリーセージ(サルビア)

サルビアの多くは宿根草で、低木に育つチェリーセージは春から秋にかけて赤やピンクの花を咲かせます。甘い香りの葉が特徴で、ドライフラワーなどで楽しめます。耐暑性があり、花の鮮やかな彩りが庭を明るくしてくれるでしょう。

ランタナ

夏から秋にかけて濃いピンクやオレンジのカラフルでかわいらしい花を次々と咲かせる常緑低木です。耐暑性・耐乾性が高く、丈夫で初心者にも育てやすい植物です。開花時に花色が変わっていくことから“シチヘンゲ”の和名があります。

ブッドレア

夏から秋にかけて紫や白の花を咲かせる落葉性の低木です。小さな花がたくさん集まった円錐形の花穂は甘く香り、蝶を引き寄せるので“バタフライブッシュ”とも呼ばれています。栽培が簡単で、初心者向けの花木といえるでしょう。

植栽におすすめの庭木③ シンボルツリー

“シンボルツリー”は庭の中心となる樹木です。数メートルの高さまで成長する場合もあるので、大きくなった後のことも考えて自分の家や環境、植える場所に合ったものを慎重に選びましょう。

モミジ

四季折々の変化を楽しめる落葉高木で、特に秋の紅葉が美しいことでも知られています。品種によって葉の形や色が異なり、庭のアクセントに最適です。和風のイメージが強いモミジですが、実は洋風の庭にもよくなじむなど、比較的育てやすいのも魅力です。日当たりや水はけの良い場所でよく育ちます。

オリーブ

シルバーがかった葉が特徴の常緑性の中高木です。乾燥に強く、それほど手間がかからないので初心者にも育てやすいうえ、秋から冬にかけて実を収穫できる楽しみもあります。ただし、結実させるには品種の違うオリーブを複数本、近くに植える必要があり、計画的に配置します。

シマトネリコ

艶のあるキラキラした葉と、すらりとした樹形が特徴の常緑樹です。生育が早く、ナチュラルな雰囲気を演出するので、洋風の家や庭と相性の良い木です。家の植栽には、1本ではなく複数本の株立ちにするとよく映えます。

ヤマボウシ

春には白い花をいっぱいに咲かせ、秋にはイチゴのような赤い実をつける落葉樹です。自然樹形が美しく、あまり剪定する必要がありません。初心者にも育てやすい木で、日当たりが良く、乾燥した場所が適しています。

ソヨゴ

光沢のある葉が美しく風にそよぐ姿が印象的な常緑性の高木です。初夏には小さな花が咲き、雌株なら秋に小さな赤い実がなります。ゆっくり成長するので定期的に剪定する必要がなく、管理が容易です。

外構をさらにおしゃれにするポイント

植栽そのものでなく、小物や建物との調和を意識すると、まとまりのある庭になります。それでは、外構をさらにおしゃれに仕上げるポイントをご紹介しましょう。

照明でライトアップする

外構の照明を工夫すれば、昼間とは違った幻想的な雰囲気を演出できます。庭木や花壇を下から照らすアップライトや、足元をやさしく照らすポールライトを取り入れると、奥行きのある空間が生まれるのでおすすめです。

照明の位置や高さを調節して植栽全体を照らしたり、樹木の影を家の外壁に映したりして楽しむこともできます。

ポストやガレージとの統一感を意識する

植栽と建物の外観につながりを持たせることも、おしゃれに見せるアイデアの1つです。目につきやすいポストや門扉から玄関アプローチまでの統一感を図りましょう。さらにガレージのデザインや色も統一すると、外観が違和感なくまとまるでしょう。

モダン、ナチュラル、シンプル、和風など、植栽と外観のスタイルを統一して、バランスの取れた魅力的な空間を目指してみましょう。

建物の軒天を木目柄にする

建物の外観で機能面・デザイン面ともに大きな役割を果たすのが、軒天(軒先の裏面の天井)です。軒天を木目柄にすることで、家全体にあたたかみをプラスできます。DAIKENの『ダイライト軒天羽目板』は、不燃性・耐久性と美しい木目調のデザインが特長です。

明るい色からダークな色まで5つの色柄があり、木目がナチュラルな雰囲気を演出して庭の植栽を含めた外構全体に調和をもたらします。屋内の天井材『グラビオ羽目板V』と同じデザインで揃えることも可能なので、屋内外で統一感のあるコーディネートが実現できます。

まとめ

植栽は、庭や外構の雰囲気を大きく左右する要素です。下草からシンボルツリーまで、色や高さのバランスを考えて選び、さらに植物だけでなく照明やポストなどのデザインなどにも気を配ると、おしゃれで美しい外構になるでしょう。

ガレージや軒天のデザインを統一すれば植栽とも調和し、よりナチュラルな空間をつくることができます。植栽と建物のデザインをつなげて、美しく落ち着ける生活環境を実現しましょう。

  • 淀川 美和
  • 監修者

    淀川 美和(よどがわ みわ)
    株式会社アートアーク一級建築士事務所代表。

    一級建築士、インテリアコーディネーター、2児のママ建築家。「ママをきれいにする空間づくり」 をミッションの一つに掲げ、住宅・店舗・ホテル等の設計、内装コーディネート、メディア出演等を行う。自身も仕事と家事と育児のバランスをとりながら、忙しいママがいかに快適に家族と暮らせるかに焦点をあてつつ「お部屋のコンシェルジュ」として皆さまのお役に立てるよう奮闘中。

    保有資格:一級建築士、インテリアコーディネーター、建築士会インスペクター、健康住宅アドバイザー、整理収納アドバイザー2級、アロマ検定1級

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