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2025-06-23

基礎工事とは何? 家づくりの要である基礎工事の種類と工程、チェックポイントを紹介

地震の多い日本では家屋の耐震性・耐久性が重要になります。この耐震性・耐久性の土台となるのが基礎です。住宅の基礎は、地面と建物をしっかりとつなぎ支える土台部分であり、家づくりの要ともいえるでしょう。
今回は、基礎工事の重要性とその種類、施工の流れ、施主の視点でのチェックポイントを解説します。
あわせて、住まいの安全性を向上させるDAIKENの耐震ボードもご紹介します。

基礎工事とは

基礎工事は、コンクリートや鉄筋を使って家の土台となる部分を造る工事です。基礎は、地盤に接して建物の荷重や風雨など外から受ける力を地面へ均等に伝え、建物の傾きや沈下、倒壊を防ぐ重要な部分です。

基礎工事を行う際は、最初に環境調査や地盤調査を実施します。その結果、工法の種類を決定し、鉄筋コンクリートを使用して基礎部分を造り上げるのが一般的な流れです。

基礎工事の種類――高層建築物など

基礎工事にはいくつかの種類があります。高層ビルをはじめ大規模なマンションなどを建てる際や、地盤が弱い場合や水位が高い土地では“杭基礎”が採用されます。

杭基礎

杭基礎は、地中に打ち込んだ杭で構造物を支える基礎です。
支持方法には、“摩擦杭”と“支持杭”の2種類があります。

・摩擦杭(まさつぐい)
小規模な建築物の建設時や、支持層(硬い地層)が深い地盤などに用いられる工法です。

・支持杭(しじぐい)
杭を支持層に到達させることで建物を支える工法で、高層建築物のような重い建物や軟弱な地盤などには支持杭が適しています。

杭基礎で使用する杭には、木製や鉄筋コンクリート製、鋼管製があります。杭の施工方法として多いのは、杭を回転させながら貫入したり油圧ジャッキで静的な荷重を加えたりして押し込む“圧入工法”や、地面に穴を掘って鉄筋を挿入した後にコンクリートを流し固める“場所打ち工法”などです。

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基礎工事の種類――木造住宅など

木造住宅の場合、地盤がしっかりしているなら地面に基礎を設置する“直接基礎”を採用します。直接基礎は大きく分けて3種類あり、地盤の状態や用途に応じてどれにするかを決定します。

ベタ基礎

ベタ基礎は、建物全体の床下一面に鉄筋コンクリートを施工して造る基礎です。建物の重さを面全体で支えて地盤に分散させるため、建物が不均等に沈む“不同沈下”が起こりにくいとされています。

コンクリートを打設する前には砂利(砕石)を敷き詰めます。この処理には「基礎底面の地盤をならして安定させる」「地面からの湿気を防ぐ」「水はけを良くする」などの目的があり、床下全体がコンクリートで覆われるためシロアリが侵入しにくいという特徴があります。

布基礎

布基礎(ぬのきそ)は、立ち上がり部分とフーチング(底部)からなる逆T字型の基礎で、建物の外周や主要な間仕切り壁の下にのみ設けられます。

地盤が比較的安定している場所に採用される工法で、施工コストを抑えられるメリットがあります。一方で、地盤によっては不同沈下が起きやすくなるので注意が必要です。
床一面をコンクリートで覆うベタ基礎と比べると、湿気やシロアリ対策の面ではやや劣るため、適切な防湿・防蟻対策をとることが求められます。

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木造住宅における基礎工事の工程

一般的な木造住宅の場合、基礎工事にかかる期間は約1か月です。ここではその間の工程を解説します。
紹介する工程はあくまで一般的な流れであり、実際の工事内容とは異なる場合があるため、詳しくは施工会社などに相談しましょう。

1.地縄張り・遣り方

“地縄張り”は、敷地内に建物の位置を大まかに示すロープを設置する作業です。その後の“遣り方”では、基礎の高さや建物の位置を基準杭や板で示します。計測には下げ振りや各種測量機器を用います。

2.掘削工事(根切り)

遣り方で設定した位置および深さに応じて基礎部分を掘削します。掘削の深さや施工方法は建物の規模や地盤の状況によって異なります。

3.砕石敷き

掘削部に砕石を敷設し、機械などで転圧します。均一な下地をつくることで基礎の安定に資し、不同沈下などの発生リスクを低減することが目的のひとつです。必ずしも全てのリスクをなくすものではありません。

4.捨てコンクリートの施工

砕石の上に数cm程度のコンクリートを打設し、基礎の寸法線(墨出し)を記載する下地を設けます。主に施工精度を高めるための工程です。

5.配筋組み・型枠組み

設計図に従い、基礎の配筋(鉄筋組み)を行い、型枠を組み立てます。配筋は基礎の構造耐力に寄与する重要な工程です。組み立てが完了すると第三者機関などによる検査(配筋検査)が実施されます。

6.コンクリートの打設・養生

型枠内にコンクリートを打設し、所定期間養生します。養生期間は用いるセメントや気温などの条件によって異なり、必ず基準値以上の養生日数が確保されます(例:『土木学会コンクリート標準仕方書 施工編』を参照)。

7.型枠を外す

コンクリートの硬化後、型枠を撤去します。必要があれば補修や埋め戻しを行い、基礎の形状や仕上がりを確認します。

大きなイベントである家づくりには、基礎工事を含めて様々な段階があります。土地の取得や予算、建築会社の選択など、家を建てる流れをたどってみましょう。
関連記事⇒「家を建てる流れを知りたい! 土地のあり・なしで変わる手順と期間

押さえておきたい基礎工事の注意点

ここでは、基礎工事の注意点について解説します。一般の施主が基礎工事に直接関わる機会は少ないかもしれませんが、近年は希望すれば、設計担当者同伴などを条件に現場を確認できるケースも増えているようです。
基礎工事の注意点を知っておくことで、建設会社や施工会社とのコミュニケーションが取りやすくなり、工事見学もより充実します。

基礎は重要な部分でありながら、家が建つと見えなくなってしまうので、疑問を感じる点があれば積極的に質問しましょう。万が一のトラブル発生時に備え、写真や動画などを記録に残しておくと、修理や補償の際の判断材料になります。

着工のベストなタイミングは?

基礎工事は天候や環境の影響を受けやすい工程です。例えば、寒冷地で冬季に施工するとコンクリートが凍結しやすく、硬化不良や強度不足を招くおそれがあります。凍結を防ぐためには外気温に応じた対策を講じ、天候を考慮して施工時期を調整することが必要です。

基礎工事の着工時期は、気温が安定していて雨の少ない春や秋が理想的です。施工会社は気候の条件などを考慮しますが、不明な点などがあれば事前に確認しておきましょう。

基礎工事の手順の中でも専門用語が出てきました。実は、この項目の”着工”をはじめ、家づくりにはまだたくさんの建築用語があるのです。その一部をご紹介しています。
関連記事⇒「着工とは? 着工式での挨拶はどうすればいい? 定義と施工・起工・竣工との違い

基礎の種類によるメリット・デメリットを知っておく

基礎の種類により利点と欠点が異なります。例えば、布基礎はコストを抑えられる一方で、建物の重さを“点と線”で支える構造のため、地盤によっては耐震性に影響が出るかもしれません。

基礎を選ぶ際は、地盤調査の結果をもとに適切な補強や対策が取られているかを確認しましょう。

見学でチェックするのはコンクリートのかぶり厚さ

“かぶり厚さ”というのは、鉄筋の表面を覆うコンクリートの厚みのことです。かぶり厚さが不十分だと鉄筋が空気や水分に触れやすくサビや劣化の原因となるので、しっかりチェックしましょう。

基礎工事を見学する際は、鉄筋と型枠の間に設置される“スペーサー”という部材を探してみてください。スペーサーはかぶり厚さを確保するためのもので、様々な形のスペーサーが基礎部分や立ち上がり部分など場所によって使い分けられています。

完成した基礎を見て、この上に家が建つのだと感慨深い思いをされる方は多いことでしょう。この土地や建てる家の面積では“坪”という単位が多く用いられます。この”坪”の面積はどれくらいなのでしょうか。
関連記事⇒「1坪は何平米? 土地選びや家づくりの際に知っておきたい広さの単位

DAIKENの耐震ボード『ダイライトMS』、耐震下地『ダイライトMU』で災害に強い家づくり

家の耐震性を高めるには、地面から家を支える基礎工事に加え、地震の揺れに強い構造材を使用することが不可欠です。DAIKENでも家を守るのに役立つ様々な製品を取り扱っております。

国土交通省大臣認定の不燃材料で高い耐震性・防火性を持つ壁下地材『ダイライトMS』『ダイライトMU』は、地震の揺れを“面全体”に分散させ、万一の災害時にすぐれた強度を発揮します。

ダイライトは鉱物繊維と火山性ガラス質材料を原料にした耐火性・軽量性を兼ね備えた素材です。このダイライトを使用した『ダイライトMS』は、壁倍率「2.5倍」を取得した外壁用の構造用耐力面材で、耐力壁としての強度を備えています。

さらに、燃えにくい無機質素材で湿気を通しやすく腐りにくいといった耐久性にもすぐれています。

ダイライトMU』は壁倍率「2.4倍」を取得した室内用の耐力クロス下地材です。『ダイライトMS』と併用することでより高い耐震性を実現します。

まとめ

家づくりにおける基礎工事は、建物の安全性や耐久性を左右する重要な工程です。基礎の種類や工程、注意点を理解し、住まいの工事をしっかりと見守りたいものです。疑問に感じる点があるときは、積極的に建築会社や施工会社に尋ねましょう。

また、基礎だけでなく家を壁面から支える耐震建材の活用も、災害に強い家づくりに役立ちます。住宅の基礎は目立たない部分ですが重要なポイントなので、長く安心して暮らせる家をつくるために検討してみてはいかがでしょうか。

※本記事は一般的な基礎工事の例です。実際の内容・仕様は地域や施工会社などで異なるため、詳細は専門家にご確認ください。

  • しかまのりこ
  • 監修者

    志鎌のり子(しかまのりこ)
    一般社団法人日本模様替え協会 理事/COLLINO一級建築士事務所代表。

    日本女子大学住居学科卒業、五洋建設でマンション・ビルの設計監理/内装デザインを10年担当。その後、日本ERIにて住宅検査など10年担当、設計・検査・審査した住戸数は延べ5,000件以上にのぼる。現在は部屋を「機能による空間分け」「動線」「収納」の観点から模様替えする独自のメソッドにより、機能的な部屋づくり/仕組みづくりなどを提案。書籍「家具配置のルール」のほかSUUMO、AERAwithKids、建築知識ビルダーズ、住まいの設計など著書多数。

    保有資格:模様替えアドバイザー 一級建築士 建築基準適合判定資格者 住宅性能評価員 建物耐震診断士 フラット35適合証明検査員 など

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