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2025-03-19

家を建てる流れを知りたい! 土地のあり・なしで変わる手順と期間

家を建てることは多くの人にとって人生における大きなプロジェクトの1つです。しかし、その手順や期間、必要な費用が分からないと、何から始めたらよいのか迷ってしまうかもしれません。
本記事では、家を建てる際の基本的な流れと全体の期間や費用について、土地を所有している場合としていない場合のケースごとに詳しく解説していきます。注意したいポイントもご紹介しますので、イメージ通りのマイホームを建てるための参考にしてください。

家を建てる流れ

家を建てる

家を建てる流れは土地を所有しているかしていないかで異なります。
ご自分の条件と照らし合わせてみてください。

●予算を決める

家を建てるときの第一歩は、予算を明確にすることです。総額だけでなく、頭金や住宅ローンの借入額、月々の返済額などを算出します。予算については以下のポイントを考慮しながら情報収集を行い、かかる費用の額をできるだけ具体的にイメージして、予算オーバーのリスクを防ぎましょう。

【予算を決めるポイント】
・自己資金と住宅ローンのバランスを確認
・土地代、建築費、諸費用の内訳を把握
・将来のライフイベントも考慮した無理のない返済計画

●希望条件・優先順位を決める

予算の決定後はどんな家に住みたいのか家族で話し合いましょう。間取りやデザイン、土地を所有していないなら立地条件、学校や職場までの距離など、自分たちの生活スタイルに合った条件をリストアップし、優先順位を決めることが重要です。リストアップしたら、メモ書きでよいので希望リストをつくっておくと、後から間取りなどの打ち合わせをする際にスムーズに進められます。

●依頼する建築会社を選ぶ

注文住宅を依頼する建築会社としては、ハウスメーカーや工務店、設計事務所があります。

・ハウスメーカー
主に規格型の家づくりを得意としており、自由設計タイプの商品も選択可能です。規格型の商品はある程度絞られた候補の中から建材や設備・内装材などを選ぶため、建築費用を抑えやすいでしょう。

・工務店
自社施工を専門とする自由設計の商品を扱う会社が主流です。得意な分野や会社の規模などが様々なので、事前に情報収集をする必要があります。

・設計事務所
デザイン力があるので、こだわりを持った家づくりができます。細かい要望や凝った意匠にも対応してもらえる反面、家が完成するまでの期間や予算には少し余裕を持ったほうがよいでしょう。

●【土地がない場合】土地探し

土地を所有していない方は、まず家を建てるための土地を見つけなければなりません。不動産会社や物件情報サイトなどを利用して自分たちで探すほか、依頼先の建築会社に希望条件を伝えて探してもらうことも可能です。土地探しの期間には大きな個人差があり、多くのケースでは3~6か月程度で見つかるものの、人によっては年単位の時間がかかる場合もあります。

●【土地がない場合】敷地調査

土地は場所によって様々な法規定があるため、建築可能な建物の条件や電気・ガス・水道の引き込み状況などもそれぞれに異なります。土地の購入を決定する前には必ず敷地調査を行いましょう。通常は建築会社に依頼すると調査をしてもらえます。「購入後に家が建てられないと判明した」ということにならないよう、相談しながら土地を決めていくのがおすすめです。

●【土地がない場合】土地購入

敷地調査の結果、問題がなければ購入の手続きをします。以下の順で進めましょう。

①購入の申し込みとして「買付証明書」を提出する
買付証明書を提出した順に土地購入ができるようになります。この段階ではまだ支払いは必要ありません。

住宅ローンの事前審査を行う(土地購入に住宅ローンを利用する場合)
事前審査とは住宅ローンの正式な申し込みをする前に、銀行から借りることができる金額の目安を事前に確認することです。審査にあたっては本人確認書類、収入証明書類、建物のプランと見積もりが必要となります。建物プランと見積もりは建築会社に依頼しましょう。

③事前審査通過後に土地売買契約を締結(土地購入に住宅ローンを利用する場合)
契約時には手付金として売買代金の5~10%ほどを現金で支払う必要があります。

ここからは、土地をあらかじめ持っている方も、土地を新たに購入する方も同じ手順になります。

●地盤調査

土地を購入したら地盤調査を行います。地盤調査を行うことは建築基準法によって義務付けられているので必ず実施しましょう。調査の結果、地盤改良工事が必要ということになった場合、工法や坪数によっても異なりますが、建築費に充てられる予算にも大きく影響するため、地盤調査は土地を購入したら早めに行いましょう。

●間取り・設備などのプランニング

土地が確定したら建物の詳細な設計を進めます。初期段階で作成した希望条件や優先順位のリストを活用しましょう。

・間取りプランの決定
階数、窓の位置や大きさも法的基準を考慮しながら、家族構成や生活スタイルに合わせて間取りを設計します。

・設備、内装の選定
照明やキッチン、バスルームなどの設備計画、居室をはじめとする全体の床材や、壁紙などの内装計画を決定します。

決めることがたくさんありますが、迷ったときは最初に作成した家族の希望リストを見返して話し合うのがおすすめです。

●建築確認申請

詳細が決まったら建築確認申請を審査機関等に提出します。建築確認申請が不要なケースもありますが、多くの場合は提出が必要となり、申請作業は建築会社が代行してくれます。審査結果が出るまでの期間は平均1か月前後です。

●工事費の見積もり確認

続いて工事費の見積もりを確認します。

依頼先がハウスメーカー・工務店の場合は、そのままワンストップで見積もってもらえます。設計事務所の場合は施工会社の選定が必要です。設計事務所から紹介される場合もありますが、複数の業者からの相見積もりも可能なので、希望する場合は相談してみましょう。

提出された見積もりが予算と合わない場合は、プランを調整して再見積もりを依頼し、納得できる内容に仕上げます。

●工事請負契約を結ぶ

建築プランと予算が固まったら、施工会社と工事請負契約を結びます。その際は工事請負契約書だけでなく、設計図書と呼ばれる設計図面一式など、必要書類をすべて確認しましょう。問題がなければ契約を締結します。工程の説明を必ず受けておくことが大切です。

●住宅ローン本審査

工事請負契約を締結したら、事前審査を通過した金融機関等に住宅ローンの本申し込みを行い、本審査へと進みます。本審査を無事に通過した後は住宅ローンの契約をします。

●着工

ここまでのステップがすべてクリアできたら工事の着工です。工事を始める前には地鎮祭を行います。地鎮祭は日本で古くから行われている工事の安全祈願ですが、施主が希望すれば行わないようにすることも可能です。地鎮祭が終わったら工程表に従って基礎工事から順に工事を進めていきます。

●竣工・引き渡し

無事に竣工したら竣工チェックを行い、不具合があれば補修などの対応をしてもらいましょう。補修内容を確認して問題がなければ引き渡しとなります。

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2025.03.19

家を建てる期間

家を建てる

家を建てる期間は土地の有無や施工内容によって異なりますが、注文住宅の場合は全体で約1年が目安とされています。

・準備期間(約6か月)
依頼先の選定、設計、打ち合わせ、住宅ローンの手続きなどを行います。

・工事期間(約3~6か月)
着工から竣工までの建築工事に要する期間です。

【土地がない場合】
・土地探し(約4~12か月)
土地探しについては個人差があり、多くの場合は土地探しと予算検討などの準備作業を並行して進めますが、土地が決まらないと進められない工程もあるため、土地探しが家づくり全体のスケジュールを左右するともいえるでしょう。家づくりをスムーズに進めるためには早めに動き始めてスケジュールを立て、余裕を持って準備することが大切です。

家を建てる費用

家を建てる

家を建てる際の費用は所有している土地があるかどうかで異なります。ここでは、土地がある場合とない場合それぞれの平均費用や、住宅ローンの目安についてご紹介します。

●【土地がある場合】

国土交通省が発表した令和5年度の報告によれば、家を建てる費用の平均はすでに土地がある場合で4,319万円です。前年の平均費用と比べると400万円近くも上昇していますが、近年は資材の値上がりや人手不足による人件費の高騰で建築費用の平均は上昇しています。
参考:「令和5年度住宅市場動向調査報告書」(国土交通省)

●【土地がない場合】

土地の購入を含めると家を建てる際の平均費用は5,811万円です(令和5年度)。土地の価格は地域によって大きく異なるため、希望エリアの相場など調査をしっかり行いましょう。

●住宅ローンの目安は年収の何倍ぐらい?

住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査(2024年4月調査)」によると、返済負担率は15%超~20%以内となっており、年収の5倍程度の金額で住宅ローンを組んでいる人が最も多いといえそうです。
参考:「住宅ローン利用者の実態調査(2024年4月調査)」(住宅金融支援機構)

参考記事:
⇒「家を建てるための費用はどのくらい必要? 土地のあり・なしでどのくらい変わる?

家を建てるタイミング

家を建てる

家を建てるタイミングは結婚や子育て、仕事の安定期といったライフステージや、経済状況などによって人それぞれです。

●家を建てた人の平均年齢

令和5年度に行われた国土交通省の住宅市場動向調査報告書によると、注文住宅(建て替えを除く)で家を建てた人の全国平均年齢は40.1歳、年代別の割合では30代が46%で最多となっています。
参考:「令和5年度住宅市場動向調査報告書」(国土交通省)

●ライフステージに合わせて

家づくりは結婚や出産、子どもの入学や進学・独立など、ライフステージが変化するタイミングに合わせて考えるケースが増えています。

●住宅ローン返済期間の平均

住宅ローンの返済期間の平均年数は約32~34年です(令和5年度)。借入期間の上限は一般的に35年となっているため、ほぼ上限に近い年数で融資を受けるケースが多くなっています。

家を建てる際の注意点

家を建てる際は様々なポイントに注意を払う必要があります。

●費用

家を建てるためにはさまざまな費用が必要となりますが、建てた後にもかかる費用まで考えておくことが大切です。外装や設備などの修繕に加えて子どもの進学や結婚など、将来のライフイベントにかかるお金も想定しましょう。貯蓄がゼロになってしまうような事態は避けなければならないので、長期的な視点で予算計画を立てる必要があります。

●建築会社の選定

建築会社の選定は家づくりの成否を左右するといってもよい重要な項目の1つです。選ぶ際は実績・評判・見積もりによる比較はもちろん、担当者と話をして自分たちとの相性を見ることも大切です。特に、どのような点を重視して家づくりをしているか、価値観に共感できる会社を選ぶと失敗するリスクが減ります。

●土地探し

土地探しにおける悩みの1つに、希望の土地がなかなか見つからないという問題があります。数か月以上探しても見つからないようなら、自分たちの希望と予算が合っているかどうかを確認しましょう。場合によっては予算に合うよう、エリアを広げるなどの対応が必要です。また、土地の購入を決める前には敷地調査を必ず行い、実際に足を運んで周辺環境の確認もしましょう。

●耐震性・耐久性

地震の多い日本で家を建てる際、耐震性・耐久性は大事なポイントです。家が地震に強いつくりになっているかどうか、耐久性のある材料を使っているかどうか、事前によく検討しましょう。特に木造の場合は構造部材や耐震部材が壁の中に隠れていることが多いため、疑問点があれば建築会社に積極的に質問して納得したうえで計画を進めましょう。

●デザイン・機能性

長く住む家を建てるならデザインにもこだわりたいものですが、デザインを重視するだけでなく使い勝手や機能性も大切にしましょう。「使いやすいか」「掃除がしやすいか」「必要な機能があるか」「不必要な機能はないか」などを検討し、そのうえでデザインが好みを満たしたものであれば理想的です。

●間取り

間取りは家族の人数やライフスタイルに合わせて柔軟に考えることが大切です。例えば、子どもの成長に合わせて部屋を仕切れるようにする、将来を見据えてバリアフリー設計を取り入れるなど、変化に対応できる工夫をしておくと安心です。また、家事動線に配慮した間取りを考えることも重要です。

●収納

クローゼットなどのような造り付けの収納は、設計段階でよく検討しておきましょう。出産やペットの飼い始めといった家族構成の変化や、成長に伴って子どもの持ち物が大幅に増える時期もあります。いろいろな場面やタイミングを想定して、収納スペースを考えてみましょう。

●メンテナンス

家というものは建てたら終わりではなく、数十年にわたるメンテナンスが必要です。設計段階から長期的な維持管理を視野に入れた計画が大切です。

まとめ

今回は家を建てる際の基本的な流れや期間、費用、注意点などをご紹介しました。家を建てることは人生の中でとても大きなイベントですが、計画的に進めれば比較的スムーズに実現できます。これらを参考に、自分たちの理想の家づくりを始めてみてはいかがでしょうか。

  • 淀川 美和
  • 監修者

    淀川 美和(よどがわ みわ)
    株式会社アートアーク一級建築士事務所代表。

    一級建築士、インテリアコーディネーター、2児のママ建築家。「ママをきれいにする空間づくり」 をミッションの一つに掲げ、住宅・店舗・ホテル等の設計、内装コーディネート、メディア出演等を行う。自身も仕事と家事と育児のバランスをとりながら、忙しいママがいかに快適に家族と暮らせるかに焦点をあてつつ「お部屋のコンシェルジュ」として皆さまのお役に立てるよう奮闘中。

    保有資格:一級建築士、インテリアコーディネーター、建築士会インスペクター、健康住宅アドバイザー、整理収納アドバイザー2級、アロマ検定1級

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