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※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。
目次
「家の中に変化がほしい」「空間を有効活用したい」といった住まいの希望に応える方法の1つが“スキップフロア”です。面積が限られた平屋のような住まいでも段差を取り入れることで、立体感と開放感のある空間を演出できます。
今回は、スキップフロアを取り入れた平屋の特長や魅力と、スキップフロアに適したDAIKEN製品をご紹介します。
スキップフロアとは
スキップフロアは、リビングに設けたり畳スペースなどと組み合わせたりすると、フラットな造りの平屋でありながら段差による高低差が視覚的なアクセントになります。
スキップフロアの特長と平屋との相性についてご紹介します。
スキップフロアの特長と魅力
スキップフロアとは、1階と2階のように完全に分けるのではなく、床の高さを半階程度変えて1つのフロアに複数の階を設ける間取りで、“ステップフロア”と呼ばれることもあります。
スキップフロアの段差は、空間をつなげながらも自然に用途を分けてくれます。例えば、リビングに勉強できる場所を設けたり、子どもが遊ぶプレイルームをつくったりと、様々なプランが可能です。階段下は、収納スペースとしても利用できます。
なお、床を20~40cm程度高くした“小上がり”も広義にはスキップフロアの1つで、リビングの畳コーナーを小上がりにするというケースもあります。
平屋との相性が良い理由
平屋は、生活動線がシンプルで移動しやすく、1つの階で暮らしが完結する点にメリットがあります。一方で、すべての部屋が同じ高さでつながっているため、間取りに変化を付けにくく、室内の印象が単調になりやすいケースもあります。
平屋にスキップフロアを取り入れると、平屋のフラットなレイアウトに縦の動きが加わり、視覚的な広がりやリズム感が生まれます。
生活動線がシンプルで実用的な平屋と、遊び心のある空間づくりができるスキップフロアは相性が良いといえるでしょう。
家づくりに関する面積の単位についてはこちらでもご紹介しています。
関連記事⇒「1坪は何平米? 土地選びや家づくりの際に知っておきたい広さの単位」
スキップフロアで広がる 30坪平屋のおしゃれな間取り

(※)写真はイメージです。弊社製品ではございません。
30坪は、およそ100㎡で60畳分です。国土交通省が公表している「令和5年度 住宅市場動向調査報告書」によると、新築住宅の延床面積(全国平均)は、約116㎡(約35坪)とされています。
30坪はこれよりも少しコンパクトですが、おおむね平均的な広さといえます。
平均的な面積である30坪の家にスキップフロアを取り入れると、どのような間取りの変化を楽しめるのでしょうか。平屋の特長を活かした、おしゃれで実用的なアイデアをご紹介します。
“天井の高さ”と“光の採り込み方”を工夫して開放的に
家づくりでは、天井の高さをはじめ居室における採光のための窓や開口部の設置基準は、建築基準法によって定められています。
建築基準法による住宅の天井高は2.1m以上と決められていますが、実際には2.4m以上にすることも多くあり、上階のない平屋では、さらに高く設定できます。例えば、リビングを3m超の高天井にして高窓を設けると、光がたっぷり入る開放的なエリアになります。さらにスキップフロアを取り入れれば、より明るいプレイルームのようなスペースを演出できるでしょう。
スキップフロアを取り入れた間取りでは、段差の場所ごとに天井の高さが変わり、異なる広がり感をつくり出せるでしょう。
一方、スキップフロアの階段下スペースは天井がやや低めになるため、落ち着いた雰囲気や包み込まれるような安心感が生まれます。仕事や読書のスペース、寝室など、落ち着いて過ごす空間として活用できます。
平屋の間取りについては、こちらでも詳しくご紹介しています。
関連記事⇒「平屋の間取り フラットな生活動線で老後も暮らしやすい家をローコストで」
収納や、+αの趣味部屋として活用
スキップフロアの段差は、単なる高低差ではありません。段差の下部分を収納として使えば、スペースを有効活用できます。
30坪の家の多くは、キッチン、浴室、トイレなどの水回りや収納のほか、リビングダイニングと個室が3~4部屋という間取りになりますが、そのうちの収納スペースを充実させることができます。
半地下のような一角を設ければ、趣味の部屋やシアタールームなど特別な空間にできます。気兼ねなく趣味を楽しめる居場所になるでしょう。
自宅にシアタールームや防音室をつくるポイントや適した建材についてはこちらから。
関連記事⇒「自宅の部屋を防音室にしたい! ゲームやピアノを楽しむにはどのくらいの対策・費用が必要?」
関連記事⇒「自宅にシアタールームをつくりたい! 6畳から楽しめる設備と費用の目安」
自宅に趣味を楽しめる空間をつくり、サードプレイスにしてみませんか。
関連記事⇒「サードプレイス(第三の居場所)とは サードプレイスとしての時間と空間を自宅で楽しむコツ」
リビングに段差を取り入れるアイデア

(※)写真はイメージです。弊社製品ではございません。
リビングにスキップフロアの段差を取り入れると室内にアクセントが加わり、インテリア全体が洗練された印象になります。
リビングの一角を小上がりの和室スペースにすると、横になってくつろげる場や、来客をおもてなしするなど複数の用途を兼ね備えたエリアとして活用できるでしょう。
30坪の住まいは少しコンパクトな印象ですが、このような工夫を取り入れることで、広さを感じられるようになります。
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2025.06.23
注意したい点と快適に暮らすためのポイント
スキップフロアは、段差の影響を理解して快適に暮らすポイントを押さえて設計すると、より魅力的になります。導入の際には、使い勝手や住み心地を意識して計画しましょう。
バリアフリーに配慮が必要
家族に高齢者や小さなお子様がいるお住まいにスキップフロアを採用する場合は、段差の縁に滑り止め加工を施したり、手すりを取り付けたりするなど安全面への配慮が必要です。
建築基準法では、床からの高さが1m以下の階段部分には手すりを付けなくてもよいとされていますが、バリアフリーに配慮し手すりを設置すれば、転倒などのリスク軽減につながるでしょう。
段差が見にくい場合は、夜でも足元が確認できるフットライトなどの照明を設置したり、床材の色味を変えたりして見分けやすくする方法もあります。
冷暖房の効率への影響を考慮する
上下に空間がつながるスキップフロアは、室温のムラが生じやすい場合もあります。特に天井の高い場所では暖かい空気が上部に溜まり足元が冷えやすくなるケースもあるため、注意が必要です。
室温の課題に関しては、空調を設計する段階で対策を講じておきましょう。空気の循環を促すシーリングファンを設置したり、床暖房を取り入れたり、冷暖房の効率を考慮して室内の温度を均一に保つように設計します。
建築費用が高めになる
スキップフロアはフラットな構造よりも施工が複雑になり、建築コストが上がるケースもあります。また、スキップフロアで居室となるスペースを作る場合は、建築基準法や耐震性能に照らし合わせた高度な構造計算を踏まえた設計をしなければなりません。設計者や施工会社には豊富な知識や経験が求められるため、実績のある建築家や施工会社に依頼することが大切です。
関連記事⇒「設計事務所に注文住宅を依頼するメリットは? 設計施工分離発注と設計施工一括発注の違い」
そして、スキップフロアを居室扱いにすると固定資産税が上がることもあります。延床面積を増やさずに実質的な生活空間を増やせることがスキップフロアのメリットですから、居室扱いにするかどうかはよく検討する必要があります。
自治体によってスキップフロアの床面積算定の規定が異なるので、法的な規定も踏まえて自治体に確認し、設計担当者と相談しながら進めましょう。
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2025.05.20
スキップフロア×畳で叶える、落ち着きと機能性を兼ねた住まい 『ここち和座 彩園』の魅力
畳スペースはスキップフロアとの相性が良く、空間に落ち着きをもたらします。今回は、デザイン性と使いやすさを備えた畳製品『ここち和座』の魅力をあわせてご紹介します。
スキップフロアと相性が良い畳スペース
スキップフロアに畳スペースを組み合わせると、“和のくつろぎ感”をもたらす空間が生まれます。リビングの一角に畳敷きの小上がりを設けると腰掛けやすく、ちょっとした休息やお子様のお昼寝などにも便利です。
今の暮らしになじむ『ここち和座 彩園』の魅力

『ここち和座 置き敷きタイプ 彩園』 <ダーク>

『ここち和座 敷き込みタイプ 彩園』<ブラウン>
DAIKEN『ここち和座 敷き込みタイプ 彩園』『ここち和座 置き敷きタイプ 彩園』は、機械すき和紙を使用した和紙畳(※1)で、2色の緯糸で織られた彩り豊かな畳表です。
『ここち和座 敷き込みタイプ』は、厚さ12mmと一般的なフローリングと同じ厚みで、下地の落とし込みが不要で、カッターナイフを使ってカットできる手軽さが利点です。
『ここち和座 置き敷きタイプ』は、フローリングの上に置くだけで、簡単にくつろぎのスペースを作り出せる製品です。自由にレイアウトして個性的なインテリアを演出できます。
いずれも製品表面には抗菌加工が施されており、衛生面の配慮が行き届いています。撥水性があり、飲み物などをこぼしてしまった場合でも汚れがつきにくく(※2)、お手入れがしやすいほか、カビの発生やダニの増殖を抑える高機能な和紙畳です。
(※1)機械すき和紙を使用しています。コウゾ・ミツマタ等を使用した手すき和紙ではありません。また、本ページで記載の和紙の畳とは、畳のおもて部分のことを指し、畳床部分まで、すべてが和紙製ではありません。
(※2)表面に撥水加工していますが、しょう油やコーヒーなど液体をこぼした場合は、乾いたタオルでただちに(2~3分の間に)拭き取ってください。長時間放置すると汚れが落ちにくくなります。
まとめ
スキップフロアは、限られたスペースに立体的な広がりを生み出し、視線の変化や高低差によるスタイリッシュな印象を演出できます。特に30坪前後の平屋や狭小住宅では、段差を活かした+αの空間をつくり出すのに適しています。
設計時は、段差への配慮や冷暖房の効率に注意しながら、適切な建材選びや空調計画について検討しておきましょう。
「床面積を有効に使いたい」「個性的な間取りにしたい」とお考えの方には、スキップフロアが魅力的な選択肢の1つといえるでしょう。
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監修者
志鎌のり子(しかまのりこ)
一般社団法人日本模様替え協会 理事/COLLINO一級建築士事務所代表。日本女子大学住居学科卒業、五洋建設でマンション・ビルの設計監理/内装デザインを10年担当。その後、日本ERIにて住宅検査など10年担当、設計・検査・審査した住戸数は延べ5,000件以上にのぼる。現在は部屋を「機能による空間分け」「動線」「収納」の観点から模様替えする独自のメソッドにより、機能的な部屋づくり/仕組みづくりなどを提案。書籍「家具配置のルール」のほかSUUMO、AERAwithKids、建築知識ビルダーズ、住まいの設計など著書多数。
保有資格:模様替えアドバイザー 一級建築士 建築基準適合判定資格者 住宅性能評価員 建物耐震診断士 フラット35適合証明検査員 など
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