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2025-05-20

軽量鉄骨造とは? 特徴と耐用年数 重量鉄骨造や木造、RC造、SRC造との違い

住宅を建てる際には構造の選択を慎重に行うことが大切です。住宅の構造には木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造などがあり、それぞれに特徴がありますが、中でも短工期・低コスト・安定品質を強みとしているのが軽量鉄骨造です。
今回は、そんな軽量鉄骨造の特徴や耐用年数について、プレハブ工法を中心に解説します。軽量鉄骨造ならではの不安を解消する方法にも触れるので、これからマイホームの建築を検討するという方はぜひご覧ください。

日本における建築物の構造は? 木造・RC造・SRC造の特徴

日本の建築物で主に採用されているのは木造(W造)、鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の4つです。それぞれがどのような素材を使い、どんな組み立て方をしているのでしょうか。

鉄骨造については後で詳しく紹介するため、まずそれ以外の3つの構造について解説します。

木造(W造)

木造建築は森林大国である日本において、古くから親しまれてきた構造であり、柱や梁(はり)に木材を使っているのが大きな特長です。コストが低い、加工しやすい、狭い土地でも施工しやすい、日本の気候に適応しているなどのメリットがあります。以前に比べて棟数が減ってきたとはいえ、今でも戸建て住宅の約9割が木造です。近年は脱炭素・カーボンニュートラルの達成に向けて再び脚光を浴びています。

鉄筋コンクリート造(RC造)

鉄筋コンクリート造(RC造)は、鉄筋を組んだ後に型枠をつくりコンクリートを流して固めたものを柱や梁として使用することで、鉄筋とコンクリートそれぞれの短所を補い合い、すぐれた強度を発揮させる構造です。高密度のコンクリートによって高度な防音性・防振性・耐久性を有しており、マンションでよく使われます。

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、上記の鉄筋コンクリートに鉄骨を内蔵することで、強度を高めた構造です。非常に強度が高いことから、大規模建築や大空間でよく使われていました。しかし、施工に手間がかかることや、コンクリートの強度が上がったため、近年は徐々に減っています。

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鉄骨造(S造)とは? 軽量鉄骨造と重量鉄骨造の違い

今回フォーカスするのは鉄骨造です。鉄骨造では柱や梁に金属(鉄骨)が用いられます。ちょうど木造建築の柱や梁が、金属に置き換えられている、というイメージです。

鉄筋と鉄骨、似た言葉ですが、人体で考えた場合、筋と骨が違う組織なのと同じく、まったく異なるものです。鉄骨造で使われている金属は、鉄よりも強い「鋼鉄(steel)」という合金です。鉄骨造は木造より耐久性がありますが、コンクリートを使わないので鉄筋コンクリート造より軽量で、コストも安くなります。

鉄骨造の種類は“重量鉄骨造”と“軽量鉄骨造”の2つ

鉄骨造は柱や梁に厚さ6mm以上の鋼材を使用した“重量鉄骨造”と、厚さ6mm未満の鋼材を使用した“軽量鉄骨造”の2つに分けられます。

一般的に鉄骨造と呼ばれている重量鉄骨造が大規模建築に採用されるのに対して、軽量鉄骨造は“プレハブ工法”の住宅でよく使われます。

鉄骨造の法定耐用年数

軽量鉄骨造がプレハブ工法だと聞くと、仮設建築のようなものを想像するかもしれません。しかし、プレハブ工法は部材を工場で生産・加工して現場で組み立てる工法のため、適切な手順で組み立ててメンテナンスすれば十分な耐用年数が確保できます。

住宅における構造種別ごとの法定耐用年数は以下の通りです。

・木造/22年
・軽量鉄骨造/鋼材の厚みが、3mm以下:19年、3mmを超え4mm以下:27年、4mmを超えるもの/34年
・重量鉄骨造/34年
・鉄筋コンクリート造/47年

“軽量”といっても3mm以下の薄肉でも木造住宅と同じぐらい、4mm以上の厚肉なら重量鉄骨造と同じぐらいの耐用年数ということが分かりますね。
※「法定耐用年数」は減価償却のために定められたものであり、必ずしも建物の寿命を示す指標ではありません。

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軽量鉄骨造の“プレハブ工法” その特徴は?

現在、多くの建築会社・ハウスメーカーが、軽量鉄骨を使ったプレハブ工法を採用しています。プレハブ工法で家を建てることにはどのような利点があるのでしょうか。主なメリットを3つご紹介します。

①安定した品質
工場で部材を生産・加工するため、現場の天候に左右されず、安定した品質が期待できます。

②リーズナブル
プレハブ工法は工場で同じ柱や梁(はり)を一括生産します。資材を大量に購入して大量生産することにより、低価格を実現できます。また、プレハブ工法で建てる家の多くは「規格住宅」として基本的な設計プランが決まっています。これだと設計の自由度は低くなりますが、設計工数を抑えることができるので、リーズナブルな家づくりにつながります。

③短工期
プレハブ工法は工場生産をベースにして、建設プロセスをシステム化しているため、短工期での計画・施工が可能です。通常の木造住宅は4~6か月程度の納期が一般的ですが、プレハブ工法を用いた場合は2~3か月の納期で建築できます。工期が短い分人件費も抑えられるため、コスト削減が実現できるでしょう。

軽量鉄骨造の“プレハブ工法” 音や振動、断熱性は大丈夫?

軽量鉄骨造は音や振動が伝わりやすい、断熱性が低いと言われていますが、設備や内装による対策でカバーできます。

例えば、防音面ではカーペットや遮音マットを敷く、防音性能が高い床材やドアを採用するなどの方法で、音漏れや物を落とした時の衝撃音を和らげることが可能です。

断熱性能に関して言えば、2015年公布の「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」などをきっかけに、住宅の断熱性能は以前よりも向上してきています。特に「住宅性能表示制度」を利用した戸建てプレハブ住宅の多くは、設定された基準をクリアする高度な断熱性能を有していると考えていいでしょう。断熱性能について気になる方は住宅のカタログなどで断熱・気密性をチェックしてみてください。

(※)住宅性能表示制度:良質な住宅を安心して取得できる市場を形成するためにつくられた制度で、住宅の性能に関する表示の適正化を図るための共通ルールなどを定めています。

DAIKENの『hapia 音配慮ドア』で防音性をアップ

(※)写真の『hapia(ハピア)』は2025年6月生産中止予定です。後継品は2025年6月発売予定の『ieria(イエリア)』をご検討ください。

DAIKENでは、軽量鉄骨造の住宅向きの建材を多数取り揃えています。その1つが『hapia 音配慮ドア』です。本製品は吸音材等を使用して日常生活で気になる生活音を軽減するドアです。

扉の上部や下部、縦枠に特殊気密パッキンを使用しており、一般的なリビングドアに比べて音漏れを約30~50%程度軽減(ドアの種類により性能は異なります)できるのが大きなメリットです。また、遮音パネルなどの防音性能が高い壁材と併用することで、より音漏れを軽減して快適な暮らしをサポートします。

まとめ

軽量鉄骨造は工期が短くリーズナブルにマイホームを手に入れられる人気の構造です。適切にメンテナンスすれば長く住むことができますし、設備や内装を工夫すればより快適に暮らすことができます。軽量鉄骨造を得意とする建築会社やハウスメーカーは、暮らしに役立つ様々なノウハウを持っているので、疑問や不安があれば相談してみましょう。

  • 淀川 美和
  • 監修者

    淀川 美和(よどがわ みわ)
    株式会社アートアーク一級建築士事務所代表。

    一級建築士、インテリアコーディネーター、2児のママ建築家。「ママをきれいにする空間づくり」 をミッションの一つに掲げ、住宅・店舗・ホテル等の設計、内装コーディネート、メディア出演等を行う。自身も仕事と家事と育児のバランスをとりながら、忙しいママがいかに快適に家族と暮らせるかに焦点をあてつつ「お部屋のコンシェルジュ」として皆さまのお役に立てるよう奮闘中。

    保有資格:一級建築士、インテリアコーディネーター、建築士会インスペクター、健康住宅アドバイザー、整理収納アドバイザー2級、アロマ検定1級

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