防音材とは?遮音材、吸音材との違いや気になる選び方もご紹介!
施設の音の悩みを解決する防音材。遮音材と吸音材の違いや、使用場所ごとの特徴を解説します。防音材を選ぶ際に基準となる、防音効果の算出方法もご紹介しているので、どの材料を使用するかお悩みの方はぜひご参考にしてください。
防音材とは
防音材とは、防音効果をもたらす素材の総称です。防音材はその性能によって、「遮音材」「防振材・制振材」「調音材」の3つカテゴリーに分けられます。
遮音材
遮音材とは、音が壁や天井を通過して向こう側に届いてしまわないように遮ることを目的に開発された材料です。発せられた音を遮音材によって跳ね返すことで、音の通過を防ぐ仕組みになっています。重いほど遮音の効果が高いため、比重の高い鉛シートなどが有名です。
天井・壁・床すべての部分の下地として使用されます。ただ、音を跳ね返すので室内が響くことになりやすく、調音材を併用することが多いです。
また開口部を遮音する防音ドアや遮音コンセントBOXなどもあります。
- 【大建工業(株)製品例】
- 遮音シート940SS,940SSE、 遮音パネル10,12.5,18.5、 防音ドアG40,G45、 防音ドアWタイプ[G30]、 遮音コンセントBOXなど
防振材・制振材
調音材
調音材とは、室内の音の反響を抑えて、音が響いている時間を調節したり音を拡散したりして、室内の音の響きをコントロールする建材です。主に音の響きを抑える「吸音材」と響きを広げる「拡散材」の2種類に分けられます。
また、調音材は表面に施工するので、意匠性や色柄も重要な要素になります。
- 【大建工業(株)製品例】
- オトテン(ロックウール吸音板)、 オトカベ、 オトピタなど
防音材の用い方
防音材は「どこ」で「何」をしたいかによって先の3要素に従って検討します。3要素をもとに「遮音」「防振・制振」「調音」について検討してみましょう。代表的なニーズごとに解説します。
- ・天井・壁の遮音
- ・開口部の遮音
- ・床の防振と遮音
- ・調音
天井・壁の遮音
壁の遮音性能を高めるには、下地の空間に吸音材を詰めたり遮音材を組み合わせたりする必要があります。一般的な壁(非防音の壁)の下地が石膏ボード(クロス仕上げ)のみなのに対して、遮音材が使用された壁は遮音性能が高く、静かな空間を生み出します。
遮音材にはいくつか種類があり、組み合わせ方によって遮音性能が異なるのが特徴です。通常、遮音材を多く使用すれば防音性能は高まりますが、施設の目的に合わせて必要遮音性能を検討し、それに見合った最適な組み合わせを選ぶのが大切です。
開口部の遮音
防音ドアは、隣接する部屋や廊下に音漏れを防ぐため、遮音材を使用しているものが多く、鉄鋼などの重い素材を使用することもあります。一方、壁や床と違い、ヒトの手による開け閉めを伴う場所であり、安全のためドアクローザーを装備させることが一般的です。
また、ドアの枠部にパッキン材を施すことで、音漏れの原因である「隙間」を密閉します。ハンドル部分に、扉とパッキンの密着度を高めるローラーハンドルや、レバーハンドルとロックが一体となったグレモン錠を使用するとより効果的です。
なお防音ドアと壁の遮音性能は同等にしないと弱い方から音漏れしてしまうので注意が必要です。
床の防振と遮音
調音
調音では施設や望む性能により、以下の調音建材を使い分けたり併用したりします。調音建材は主に、音楽教室やカラオケ施設といった、防音と音響を重視する施設で使用されます。選ぶ際は、お部屋の用途に合わせて残響時間をシミュレーションすることが大切です。
壁材
調音の中でも吸音材として認知が高いのは貫通孔加工がされた壁の仕上げ材です。クロス(壁紙)で仕上げる吸音下地材よりも吸音効果が高いので音楽室などに良く採用されています。また、音を拡散させる効果のある壁材もあります。 ホームシアターやピアノ教室など、音の響きを楽しみながら防音対策をするなら『 オトカベ』がおすすめです。
天井材
天井材とは、表面にロックウール板などの吸音材、裏面に塩ビ樹脂といった遮音材が使用されている天井の仕上げ材のことです。こちらもクロス(壁紙)で仕上げる吸音下地材よりも吸音性能が格段にアップします。また、素材の吸音性能だけでなく、表面の加工によっても吸音性能が変わるのも特徴です。
天井には吸音性の高いロックウール吸音天井材『オトテン』がおすすめです。
音響インテリアパネル(後付け)
調音材には後付けできるものもあります。基材に吸音効果の高いグラスウール使用し、吸音性能を阻害しない高密度の不織布でくるんでいます。オフィスの会議室を始め、学習塾やセミナー会場など、既存施設の音響性能を高めたいときに設置します。
防音材を選ぶ際の流れ
防音材を検討している方の中には、より高い防音効果を望まれる方が多いですが、一般的に遮音性能が10dB上がると、費用は2倍になると言われています。そのため、防音材を選ぶ際は以下の流れで予算との兼ね合いを判断するのがおすすめです。
- 1. 対策すべき騒音レベルを確認する
- 2. 部屋に求める遮音性能を考える
- 3. 求める遮音性能に合った製品を選ぶ
- 4. 室内の響きについて検討し、目標とした響きになるように吸音材を選ぶ
1. 対策すべき騒音のレベルを洗い出す
上図を参考に、対策すべき騒音レベルを確認しましょう。例えばプロのピアノ演奏であれば約100dBです。
2. 部屋に求める遮音性能を考える
先程の図を参考に、求める遮音性能を考えましょう。例えば、快適に暮らせる範囲で問題ないのであれば50dB程度、安心して眠りにつけるほど静かな範囲であれば20dB以下です。
3. 求める遮音性能に合った製品を選ぶ
製品の遮音性能=現状の騒音レベル-求める遮音性能
「対策すべき騒音のレベル」と「部屋に求める遮音性能」が整理できましたら、上記の計算に該当する製品を探し出しましょう。例えば、対策すべき騒音が80dB程度で、聞こえてきても良い音量が50dB程度であるならば、30dBの遮音性能を持つ組み合わせを選ぶ必要があります。
4. 室内に求められる響きを検討し製品を選ぶ
響きは好みの部分ですので、正解がありません。ただ、用途別に大多数の方が支持する音響があります。
例えばカラオケをされる方はやや響く音響を好まれますし、ピアノ練習する方は余り響かない音響を好まれます。そこで用途に合わせた目標音響を決定し、残響時間シミュレーションを行って使用する調音材を選択しましょう。なお、DAIKEN製品の遮音性能は、以下製品紹介ページやカタログからご確認いただけます。
DAIKENの防音材のこだわり
豊富なデザイン
様々な柄を取り揃えた「クリアトーン」(天井材)や、木目のカラーバリエーションが豊富な「オトカベ」(壁材)、自由度の高い色と形が魅力の「KIN TONE」(吸音パネル)など。多種多様なデザインの中から、用途とお部屋の雰囲気に合った防音材をお選びいただけます。
全国のショールーム
DAIKENでは、防音室を体感いただけるショールームを全国各地にご用意しています。楽器やCDをお持ちいただき、実際の使用条件を再現していただくことも可能です。すでに図面や見積もりをお持ちの方は、材料や施工に関するご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
効果的な防音材選びで、人の集まる快適な施設づくりをしましょう
遮音材、防振材・制振材、調音材、といった防音材の種類、使用部位ごとの特徴や選び方についてご紹介しました。施設の防音性は、そこに集まる人々の感じる心地よさに直結します。用途に合った防音材を組み合わせて、快適な施設を作りましょう。
DAIKENでは、性能にこだわった多種多様な防音材を取り扱っており、これまで様々な公共施設や商業施設で使用された実績もございます。ぜひお気軽にご相談くださいませ。
施設の音響や防音対策を計画・検討されている方のご相談をお待ちしております。
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