吸音材・遮音材のおすすめタイプ4選!
効果を高める防音材の選び方や使用方法も解説

家の中の騒音で悩んでいる方は多いのではないでしょうか?日常生活の中で発生する騒音は、大きなトラブルに発展する可能性もあります。
また、アパートなどの賃貸物件で「どれだけ騒音対策ができているのか」は借り手が気にする大きなポイントです。

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騒音問題が気になる場合は、吸音材や遮音材のような防音材を活用すれば、音自体に対処できるのでトラブル回避に繋がります。

しかし、防音材の知識がないまま、間違った方法で吸音材・遮音材を設置すると、思うような効果が発揮されず、騒音を抑えることができません。そして、その状態が長く続くと、最悪の場合は賃貸契約の解約や、法的なもめ事に発展することも考えられます。

皆さんの身の回りにも日常生活に関わるこのような「音」の経験はありませんか?

リビングでは外の音がうるさいから、テレビのボリュームを上げたら音が響いて言葉が聞き取りにくくなり、思うように楽しめなくなった。居室では冷蔵庫やエアコンなど、家電製品の運転音や外を走る車のエンジン音など、いろいろな音が気になって気持ち良く昼寝ができない。テレワークやオンライン配信の普及によって家で過ごすことが長くなり、家族の声や家庭内で発生する音が気になって集中できない。雨が降ると屋根に当たる雨音が聞こえ、雨音に対して憂鬱な気分になる。などなど、私たちの身近では色々な音が密接に関わり合っています。音と防音材の適切な使い方を知れば、日常の暮らしはもっと快適になるはずです。

実際、大建工業が生活環境の「音」について調査をしたところ、隣人や隣家からの音よりも「自分の家の中で、家族や自分が立てる音」を気にする人が多いことがわかりました。特に「家の中で、家族や自分が立てる音」は43.1%と最も気になる音の半分近くを占めており、次いで「戸外から聞こえる音」が40.3%、「室内に響く音」が39.0%と続く結果となりました。

また、これと併せてリフォームするならコストをかけてでも改善したい「音」に関する調査も実施しました。家の中で最も音を何とかしたい場所は・・・?という質問に対しては、「ドア・引き戸・窓の開閉音」の割合が最も高く16%、以下「掃除機をかける音」が10.3%、「テレビやラジオの音」が9.0%、でそれぞれ続きました。他にも「子どもが走り回る音」、「換気扇の音」、「食器洗浄器の音」などが挙がり、少し余分にコストをかけても積極的に生活音を解決したいと思っている人が多いことも判明しました。

それらを踏まえた上で、今回は効果が高まる吸音材の使用方法やおすすめの選び方、遮音材と組み合わせるメリットを解説します。騒音で悩んでいる方や賃貸物件を取り扱う方、リフォームなどで建材を取り扱う業界の方は、本記事を参考にお気に入りの吸音材・遮音材を見つけて活用してみてはいかがでしょうか。

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吸音材の効果はある?

吸音材の効果はある?

吸音材は防音材の一種ですが、どのような効果があるのか分かっている方は少ないのではないでしょうか。
以下では、吸音材の具体的な効果と、効果を発揮するための条件について簡単に解説します。

吸音材の効果

吸音材というのは防音材の一種で、空気中に伝わる音のエネルギーを吸収し、熱エネルギーに変換することで音を減衰させる素材です。吸音材には壁に張ったりするタイプ、部屋に置くスタンドタイプなどがあります。
吸音材というのは防音材の一種で、空気中に伝わる音のエネルギーを吸収し、熱エネルギーに変換することで音を減衰させる素材です。吸音材には壁に張ったりするタイプ、部屋に置くスタンドタイプなどがあります。

しかし、音を減衰して反響を軽減させるといっても、吸音材だけでは防音材として不十分な場合もあります。吸音材の防音効果を発揮させるためには、遮音材と組み合わせて使用するのがおすすめです。

空間に合った吸音材が必要

吸音材は空間の広さや間取りによって使い方が変わります。

例えば、物が多くて人が出入りしやすいリビングでは、あらゆる方向から音が発生する可能性があるため、吸音材を分散させて設置するのがおすすめです。

大きな音がどこから出るかわかっている音楽スタジオなどは、反射する壁面を中心に吸音材を貼りましょう。

それぞれの空間に合った素材があるため、性能や貼り付けやすさ、強度などを比較することが吸音材を選ぶ時のポイントです。

吸音材を設置するメリット

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防音材として吸音材を設置するメリットには、以下の3点があります。
吸音材の設置を検討されている方は参考にしてください。

メリット1.音の吸収性能が高い

吸音材は音を吸収して反響音を減少させる防音材です。小さな穴で摩擦を起こして音の振動エネルギーを熱エネルギーに変えて音を吸収することで内側の反射を抑えて残響を防ぎます。吸音材は室内の空気に触れた状態で機能するため、壁に直接設置できるパネルやシート状のものが多く、自分の手で簡単に取り付けることができます。

吸音材と同じように防音材としてよく使われるものに遮音材があります。遮音材は音を通さないため、外部への音漏れを防ぐ防音材といえます。

なお、遮音材はこのような性質を持つこともあり、反響音を減少させるといった音の吸収性能は高くありません。

メリット2.工事を必要としない

吸音材には吸音板や吸音フォームなど、様々な種類があります。

いずれの吸音材もマスキングテープや養生テープを使って壁や床の保護をした上で、専用の接着剤や金具、両面テープなどによる貼り付けが可能です。吸音材は業者に工事を依頼する必要がなく、壁などへの設置が簡単にできるものも豊富です。

また、部屋の隅などに置くだけで吸音可能な吸音材もあるため、自分の希望にあったタイプを選ぶことで、より手軽に設置することができます。

メリット3.すぐに対応ができる

壁に張るなど簡単に設置できる分、剥がれてきてもすぐに修繕できます。

頻繁に剥がれてしまう場合は一般的なテープではなく、吸音材専用の接着剤やテープを購入・使用するのがおすすめです。

少々コストは高くなりますが、頻繁に修繕することを思えば、メンテナンスも安く抑えられる場合もあるため、現在かかっている費用を計算して検討してみましょう。

防音材選びの参考になる音の種類と単位

防音材選びの参考になる音の種類と単位

防音材には「遮音材」「防振材・制振材」「調音材」の3種類があり、吸音材は「調音材」の一種に位置づけられます。

このように防音材は種類がいくつかに分かれていますが、それは対策すべき騒音の種類が多様であることの表れでもあります。

騒音の種類や防音材の性質を知る手掛かりとなるのが音の単位です。ここでは、2つの単位を紹介しましょう。

Hz(ヘルツ)

Hz(ヘルツ)は周波数を指す単位で音の高さを表します。低い音ほどHzの値も低くなり、高い音ほどHzの値も高くなります。
Hzは防音にも関係が深い単位です。波長の長い低周波の音(例えば空調機や換気扇などの音)ほど吸音・遮音しにくくなるからです。低周波の音は人の耳では聞き取りにくいので、騒音として感じるかどうかは個人差があります。その分、騒音を感じている側と騒音を出している側の認識にずれがあったり、周りに騒音と理解してもらえなかったりする可能性があって対策が難しい側面もあるでしょう。また、耳で聞こえなくても体が低周波の音を感じ取り、体調不良の原因となるケースもあります。低周波音には遮音材や防振材といった防音材を組み合わせて地道に対策する必要があるでしょう。
一方、高周波の音は比較的吸音、遮音が容易です。
吸音材の中には吸音率の単位にHzを使ったグラフを使い、どの周波数の吸収率が高いか提示している製品もあります。吸音材を選ぶ際は防ぎたい音と同じ周波数の周辺で吸音率が高いかどうかをチェックしてみましょう。

dB(デシベル)

dB(デシベル)は音圧(音のエネルギー)の単位で、音の大きさを表します。 騒音規制法や各種条例では、このdBという単位をもって、どのレベルまでを許容範囲にするか定めています。また、騒音に関する裁判では問題となっている音をdB単位で測定し、各種法令や条例の内容と照らし合わせて判決の根拠とすることがあります。
遮音性性能を表す値にDr値(旧D値)というものがあります。これは遮音材によって平均どれだけのdBが遮断されたかを表すJIS規格の一種で、Dr値が大きいほど遮音性が高くなります。例えばDr-20だとピアノの音やラジオがかなりうるさく感じますが、Dr-60になるとほとんど聞こえなくなります。Dr値を用いると音の透過をどれだけ防げるのかが評価しやすくなるため、dBやDr値がどういう単位なのか知っておけば、遮音材を選ぶ際の参考になるでしょう。

おすすめの吸音材・遮音材をタイプ別で4選

おすすめの吸音材・遮音材をタイプ別で4選

防音材の一種である吸音材・遮音材は、設置方法によってもタイプが分かれています。部屋の雰囲気に合わせやすい吸音材・遮音材、使用目的に応じた吸音材・遮音材など、タイプごとの吸音材・遮音材に特徴があります。

前提として、音響設計の基本は室内に音の焦点(音圧の極端に高い部分)や死点(音圧の極端に低い部分)を作らないことです。 そうすることでフラッターエコー(不自然な音の響き)やブーミング(室内共鳴)現象を防ぐことができ、良好な音場(おんじょう=音波の存在する空間)を効果的に作り出すことができます。
また、響きを抑えるためには室内の「吸音力」を上げる必要があります。しかし、ただ吸音すればいいわけではなく、聞き取りやすさや話しやすさを考慮した最適な残響空間に設定する必要があります。

以下に挙げる4つのタイプを参考に適切な吸音材・遮音材を選びましょう。

タイプ1.貼るタイプの吸音材

タイプ1.貼るタイプの吸音材

貼るタイプの吸音材は、部屋全体の音を抑えるために壁や天井など、音の反射点に配置するのがおすすめです。

自由にカットできる吸音材も多いため、壁だけでなく家具の隙間や窓のスライド部分の窪みなど、細かい箇所に設置することも可能です。

吸音材と聞いてモノトーンで柄のない見た目を想像する方も多いかもしれませんが、壁や天井に貼るタイプの吸音材には様々な色や柄があるのも魅力です。部屋の雰囲気と合うように、吸音材の見た目にも注目してみましょう。

タイプ2.置くタイプの吸音材

タイプ2.置くタイプの吸音材

置くタイプの吸音材は、特定の場所に置くだけで吸音効果を発揮します。

吸音材を設置するためにマスキングテープを貼り付けて壁を保護し、上から接着剤等で貼り付けるなどの面倒な作業が必要なくなります。

設置後に防音材としての効果が感じられない場合、手間をかけず簡単に場所を移動できる点もメリットのひとつです。

また、置くタイプの吸音材には大きく分けて2つの種類があります。音楽の収録やゲームの実況などに適しているスタンド型と、デスクワークに適しているパーテーション型です。

スタンド型はスタンドに吸音材が付いており、立たせて使用します。部屋の四隅や壁際に設置することで、室内の音響調整ができるので、音楽や配信などの防音材として使用する際に便利です。

高さのあるパーテーションタイプは、仕切りをつけたい場合に使用する吸音材です。会議や打ち合わせをする時などに防音材として役立ちます。

会議などの場合は机の近くに設置して使われることがあります。空間を仕切って外部からの視覚情報を減らすことで、集中しやすい作業環境作りにも利用できます。

床に置くタイプだけでなく、デスク上の作業スペースを囲む製品もあり、動画鑑賞やゲームなどをデスクで楽しむ方におすすめです。場面に合わせて使いやすい製品を選びましょう。

タイプ3.挟み込むタイプの吸音材

挟み込むタイプの吸音材は、ロール状に巻かれた細長い製品です。

貼るタイプの吸音材を壁や天井に貼り付ける場合、端に隙間ができることがあります。貼るタイプの吸音材をカットして壁・天井の隙間を埋める場合もありますが、より細かい隙間に使用する場合は挟み込むタイプの吸音材がおすすめです。

挟み込むタイプの吸音材を使うと貼るタイプを細かくカットするよりもキレイに仕上がります。部屋の防音性を高めるには隙間を作らない吸音材の設置が大切です。

設置に関しても両面テープの付いた製品が多いので簡単です。
また、防音材としてだけでなくドアや窓のクッション材としても効果を発揮します。

タイプ4.敷くタイプの遮音材

敷くタイプの遮音材は、日常生活で発生する足音や床に物を落としてしまった時の音など、物体から振動として伝わる固体伝搬音の反響を防ぐのに適しています。

例えば、集合住宅で2階以上のフロアに住んでいる場合、階下の住人に迷惑をかけないように足音などの騒音に配慮する必要があります。

しかし、小さなお子さんがいる場合は、足音が響く可能性も高くなります。
敷くタイプの遮音材を使用すれば、階下への騒音を減らすことができます。騒音による近隣住人とのトラブルを防止するためにも、設置しておくことをおすすめします。

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吸音材は失敗しない選び方で購入

吸音材は失敗しない選び方で購入

吸音材は複数の観点から目的・用途に応じた製品を選ぶことが大切です。設置する場所や環境に適した製品を選ばないと、質の高い製品でも期待通りの効果が得られない可能性もあります。

以下の項目を購入する際の参考にしてみてください。費用面も合わせて考えていきましょう。

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素材で選ぶ

吸音材は素材によって防音材としての効果が変わることがあります。吸音効果以外にも安全面などの特徴が違うため、それぞれの素材が持っている効果をチェックした上で適しているものを選びましょう。

以下では、いくつかの素材について紹介します。

・ウレタン
カットしやすく調整しやすい点と豊富な色柄が特徴です。コストパフォーマンスも良く、様々な状況に適用しやすいため、人気のある素材です。
・メラミン
吸音材の中では、比較的軽量な素材です。燃えにくい上に、ウレタンと同じく加工性にも優れているため、広い分野で使用されています。
・グラスウール
吸音材としては比較的コストパフォーマンスに優れた素材です。細かいガラス素材を使って作られており、不燃性なので断熱材としての一面も持っています。
・ロックウール
岩石などを使用して作られているため、防火性・断熱性に優れている点が特徴です。また、グラスウールに比べて湿気に強いため、カビにくい点もメリットのひとつです。

使用目的で選ぶ

吸音材を効果的に使いたいという方の目的は音の反響・残響を減少させることですが、自宅やオフィス、音楽スタジオなど、シチュエーションによって選ぶ吸音材は違ってきます。

集合住宅にお住まいの方は足音が想像以上に響き渡るため、敷くタイプの吸音材を使用して固体音の反響を防ぎましょう。

賃貸住宅にお住まいの方は設置した跡が残らない製品を選ぶことも大切です。対策をせずに設置してしまうと、壁紙ごと剥がれてしまう可能性があります。

キレイな部屋を維持するため、壁や床に使用しても傷や汚れが残らないかチェックしましょう。賃貸住宅に住んでいる方だけでなく、持ち家を汚したくない方も同様です。

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吸音材・遮音材におすすめの使用方法

吸音材は単体で使用するより複数の吸音材を組み合わせて使用したり、遮音材など他の防音材と組み合わせたりして使うと、より大きな効果が望めます。

目的によって必要な吸音材の種類を見極め、その強度を意識して防音対策をしましょう。

方法1.複数の吸音材を組み合わせる

複数の吸音材を組み合わせて使用すると、防音材としてより大きな効果が見込めます。

例えば、壁に貼る吸音材を主に使用した上で、吸音効果が足りなければ置くタイプの吸音材を使うなど、複数の吸音材タイプを組み合わせれば、より快適な空間を作ることができます。

しかし、吸音材を使い過ぎると必要以上に音の反響が抑えられてしまい、違和感を覚える可能性もあるので注意が必要です。

方法2.遮音材と併用する

音を摩擦によって熱エネルギーに変えて吸収する吸音材と違い、遮音材は内側からの音を遮音して外部に漏らさない防音材です。

吸音材だけでは音が遮断できないこともあるため、遮音材と組み合わせて使用するのがおすすめです。

壁に貼るタイプの吸音材と遮音材を組み合わせる場合は、外部に音が漏れるのを防ぐ遮音材を先に貼ってから吸音材を貼ると大きな防音効果が得られます。

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おすすめの吸音材・遮音材のまとめ

吸今回は、防音材の一種である吸音材・遮音材の効果を引き出すための選び方や使用方法を紹介してきました。吸音材・遮音材の質には大きな差があるため、目的に適した素材や用途を理解した上で、予算に注意しながら効果的な製品を選びましょう。

適切な吸音材・遮音材を購入したら、下準備を忘れず丁寧に貼り付け・設置を行いましょう。挟み込むタイプや敷くタイプの場合も、小さな隙間を生まないように設置した上で、より効果的な防音対策を目指しましょう。

防防音材を適切に設置すれば、過ごしやすさが向上するだけでなく、近隣住民とのトラブルも防げます。
本記事で紹介した素材の特徴なども参考に、吸音材・遮音材の設置を検討してみてください。

※ここに掲載されている情報は2024年5月時点のものであり、最新の情報が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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