防音対策は遮音と吸音のバランスが大事! 遮音材の実力とは?

防音

人が集まる場所では、どうしても騒音が発生します。そのため、どのような施設においても音環境には配慮しておきたいものです。
そこで今回は音環境の大切さや、防音の基礎となる「遮音」「吸音」「防振・制振」について紹介していきます。

施設づくりの重要なポイント「音環境」

保育園・幼稚園、学校、高齢者施設、商業施設など人がたくさん集まる場所において、どうしても発生してしまうのが「騒音」の問題です。
総務省が全国の自治体に寄せられた苦情をとりまとめた「公害苦情調査結果報告書」でも、2014年から2020年まで連続で最も多い内容が「騒音」に関する苦情となっています。さらに、2020年度は前年比で苦情が10000件以上増加しており、その背景にはコロナ禍による在宅時間増加の影響があると考えられます。

どのような施設であっても、音に配慮することは大切です。そのため、まずは音についての基礎知識を身につけましょう。

防音の方法には「遮音」「吸音」「防振・制振」がある

防音

一言で「防音」といってもその方法にはいくつか種類があり、主に「遮音」「吸音」「防振・制振」という3つの方法をバランスよく組み合わせることで行います。
それぞれの特徴について紹介します。

●遮音とは「音を跳ね返す」防音方法

遮音とは、文字通り音を遮断する防音方法です。遮音をする建材を「遮音材」といい、主に壁・床・天井の下地などに設置します。音が建物の中から外に出ていかないように内側に音を跳ね返す効果がありますが、遮音性を高くしすぎると跳ね返された音が室内で過剰に反響してしまうため、環境にあわせて後述の「吸音」も行う必要があります。

●吸音とは「音の響きを抑える防音方法」

吸音とは、音を吸収して響きを抑える防音方法です。吸音をする建材を「吸音材」といい、主に天井や壁などに設置します。学校の音楽室などに小さな穴だらけの壁(有孔ボード)があったことを覚えている方も多いと思いますが、あの壁は小さな穴から音を吸収して、ボードの裏面にある空気層で響きを抑えるという吸音効果があります。基本的に防音をする際には、室内の環境に応じて、バランスよく遮音と吸音を調整する必要があります。

●防振・制振とは「振動エネルギーを抑える防音方法」

防振とは、振動エネルギーを伝えにくくする防音方法です。たとえば洗濯機の脚などに敷くゴムなどが防振材にあたります。
制振とは、振動そのものを抑える防音方法です。たとえば洗濯機の振動を抑えるために、鉄板部分に貼るシートなどが制振材にあたります。
上記と仕組みは異なりますが、直貼りの防音床材も制振建材のひとつです。遮音と防振が一体となっている遮音マットなどもあります。

施設の種類によって、防音したい音は様々でしょう。話し声などが外に漏れるのを防ぎたい場合と、振動する楽器などを抑制したい場合では、用いる建材は変わってきます。遮音と吸音のバランス調整が基本となりますが、まずは下記の図などを参考に、何の音をどれぐらい防ぎたいのかを考えて、建材選びをしたいところです。

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日常的に比較的快適に暮らせるのは環境音が40~50dB(デシベル)程度なので、可能であればそのレベルまで騒音を下げられると良いでしょう。上記の例でいくと、ピアノ演奏(アマチュア)をしたい場合は90dB程度の騒音レベルを想定して、遮音性能が40dB以上になるように防音材の種類や量を選ぶ形となります。

防音のためには設計の段階からの備えを  

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実際に防音材を導入する場合、防音性能を持つ複数の建材を組み合わせて使うことで、より防音効果を高めることができます。基本的に、防音材を増すほど防音効果は上がっていきますが、防音材を増やせばその分コストも上がってしまいます。具体的には遮音性能を10dB上げるごとに費用は2倍になると言われています。予算も考慮しながら施設にあわせた防音材を選んでいきましょう。

音の響きを抑える吸音パネルなどは、大がかりな工事なしで後から付け足せるものもありますが、ある程度の防音効果が想定されている施設の場合は、備えとして設計段階から下地材に防音効果がある建材を用意しておきたいところです。その際にはあらかじめ高性能な遮音パネルなど選択し、設置しておくと安心です。
なお、防音の目的や建物の構造によって適する建材は異なるため、防音のプロに相談して、施設に合った防音設備導入を検討しましょう。

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