音楽療法とは? 音楽の持つ力を活用したリハビリテーションのやり方と必要な設備

音楽療法

童謡などの曲を聴いて昔の記憶が蘇り、心が安らぐ…と感じた経験はありませんか? このように音楽を聴いたり、歌ったり、あるいは楽器を演奏することでリハビリテーションを行うのが音楽療法です。音楽の持つ力を活用して脳を活性化させたり、心身に良い影響を与えることができるといわれています。
本記事では音楽療法とはなにかを解説し、音楽療法の種類とやり方についてまとめています。また、後半は音楽療法での注意点から、必要と思われる設備をご紹介します。

音楽療法とは

●音楽療法とは

音楽療法とは、簡単に言えば音楽が持つ力を用いたリハビリテーション手法の一種です。主な対象者は障がい者や病人ですが、健康維持や病気の予防、子どもの発達促進に用いられることもあります。
なお、日本音楽療法学会による音楽療法の定義は次のようになっています。
「音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用すること」

※引用元:日本音楽療法学会 関東支部パンフレット

●音楽療法の目的・メリット

音楽療法

音楽療法には身体面(運動機能の向上)、心理面(心の安定)、社会面(交流のきっかけ)、認知面(記憶を刺激)、と幅広い領域に渡ってメリットがあります。どのようなメリットを活かして音楽療法を実施するかは、リハビリテーションの対象者によってそれぞれ異なります。
例えば、認知症の方を対象とした音楽療法では対象者にとっての思い出の曲(童謡など)を使うことで心を安定させる効果が期待され、特に行動心理症状(BPSD)と呼ばれる、うつ・徘徊・暴力・暴言などの認知症の症状に効果的といわれています。また、体操や脳トレと組み合わせることで健康的な高齢者の認知症予防にも利用されます。さらに音楽は他者とのコミュニケーションや自己表現ともつながっているため、心の病気を持つ人の対人関係回復を目的として音楽療法が実施されることもあります。

●音楽療法が受けられる主な場所

音楽療法は、病院などの医療機関、高齢者施設及び福祉施設等で音楽療法士(音楽療法の専門家)が実施していることが多いです。さらに音楽療法センターやスタジオ、在宅医療の中で音楽療法が行われている場合もあります。

音楽療法のやり方

音楽療法

●音楽療法の種類

音楽療法の種類は主に2種類あります。
1つは音楽を聴く活動を通して行われる「受動的音楽療法」です。童謡などの懐かしい曲や思い出の歌を聞くことで「心が安らぐ」「不安が解消する」といった効果が期待できます。
もう1つは対象者自身が音楽を演奏する「能動的音楽療法」です。音楽に合わせて体操などの動きを取り入れる場合もあります。リハビリテーションや社会参加につながる治療方法です。

●音楽療法のやり方の例

音楽療法のやり方の一例を紹介します。

・導入:季節の話題や行事の話などを行い、療法の始まりを意識してもらう。
・歌詞を読んで声を出す練習をする。
・簡単な運動で体を活性化させる。
・合奏や合唱をする。
・終了:落ち着く音楽を聴いてクールダウンし、療法の終わりを意識してもらう。

ここで示したやり方は、あくまで一例です。効果を出すためには、リハビリテーションの対象者に合ったプログラムを実施する必要があります。

音楽療法をやる上で必要な設備とは

音楽療法

●音楽療法における注意点

音楽療法を行う上での注意点としては、だれでも参加しやすい雰囲気づくりを心がける点があげられます。グループで行う音楽療法の場合は、参加者内に様々な差(楽器に対する演奏経験、好みの曲・思い出の違いなど)が生じます。例えば同じ高齢者でも、80才と100才の間には20年の年齢差があります。思い出の曲や集中力にギャップがあるのは当然のことといえるでしょう。そのため、参加者それぞれに寄り添った選曲やプログラム時間を考えていくことが重要です。

また、聴覚の差異も注意事項の1つです。特に高齢者は老化による聴力の衰えで、音楽が聞き取りづらいことがあります。そのような方に対しては個別のフォローが必要となるでしょう。
音楽療法の実施場所によっては、室外への音漏れへの配慮も必要になってきます。参加者が安心して音楽療法に集中できるような防音・遮音環境を整えられるとよいでしょう。

●音楽療法を効果的に行うために必要な設備

防音機能がある建材を用いると、音漏れ対策が可能です。例えば、カラオケボックスなどに採用されている防音ドアを設置する方法が考えられます。また、壁の遮音パネルは室内の音を反射することで外部への音漏れを軽減してくれます。室内の音楽を聞きとりやすくしたい場合は、吸音機能を持つ天井材との組み合わせがおすすめです。遮音機能で跳ね返された音が反響しないよう、吸音材が音を吸収してくれるからです。
防音・遮音・吸音機能のある建材を上手に組み合わせて、効果的な音楽療法が行える環境を整えてみてはいかがでしょうか。

リハビリに関しては下記の記事もご参照ください。
「医療リハビリと介護リハビリの違いとは? 安心してリハビリに集中できる設備導入を」

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