
畳からフローリングにリフォームする? 知っておきたい畳のメリット・デメリットと湿気・防音・断熱、3つのポイント
「畳が傷んできたのでフローリングにしたい」、「子どもが大きくなってきたので、和室をリフォームして子ども部屋にしたい」。ライフステージの変化に伴い、部屋の使い方や住まいの間取り変更を検討している方も多いのではないでしょうか。
畳からフローリングに替えるような本格的なリフォームは、時間や予算がかかります。後からモヤモヤすることがないよう、メリット・デメリットなどを考慮した上で、素敵なリフォーム生活を叶えましょう。
畳をフローリングにする前に要確認!

畳からフローリングに替える際に注意しておくべき点は下記の3点です。
・無垢のフローリング以外は調湿機能が期待できない
・畳と比べるとフローリングは防音効果が低い
・合板フローリングは冬に冷たさを感じやすい
畳には調湿性能があるので、高温多湿の夏の暑い時期に湿気を吸い取り、冬の寒く乾燥した時期に湿気を放出することで、心地よい湿度環境を実現します。しかし、畳からフローリングにすることで、今までに比べて快適な湿度環境を実感できなくなる可能性があります。
遮音性に優れている畳は、階下の部屋への音を軽減する効果があります。そのため、畳からフローリングに張り替えることで遮音性能が低くなり、階下へ音が響く可能性があります。マンションの場合は、近隣への配慮から管理規約によって使用できるフローリングの遮音性能が決められているケースが多いため、リフォームする際は注意しましょう。
また、畳からフローリングに変更することで、冬場に足元がひんやりと冷たく感じることがあります。とくに、空気層のない合板フローリングを使用する場合や、戸建の1階の部屋で断熱性能が低い場合には、底冷えすることも。リフォームをする際は、断熱材を入れるなどの対策が必要になるでしょう。
●畳からフローリングに替えた後で、リフォームしたことを後悔しないために
近年、住宅の洋風化が進み、手入れが必要な畳のある和室の需要が減ってフローリングを導入する傾向があります。しかし、安易に畳からフローリングに替えてしまったことで後悔することも少なくありません。そうならないよう、畳に多くのメリットがあることも認識しておきましょう。
「重ね張り」「上張り」とは 和室からフローリングに変える手軽な方法

畳の和室からフローリングに変える方法は張り替えだけではありません。畳の上にフローリング素材を敷く「重ね張り(上張り)」もその一つ。それぞれの流れと違いを見てみましょう。
●フローリング張り替えとフローリング重ね張り(フローリング上張り)の流れの違い
・畳→フローリング張り替えの流れ例
1. 畳を全部剥がして下地材を取り除く。
2. 下地が傷んでいる場合は修繕する。
3. フローリングの高さを畳を敷いた時と揃えるため、新しい下地材を造作する。
4. フローリング張り替えを行う。
5.壁とフローリングの間に巾木(壁を保護するパーツ)を付ける。
・畳→フローリング重ね張りの流れ例
1. 畳をきれいに掃除する。
2. 防虫シートなどを敷いて畳を保護する。
3.フローリング重ね張りに使う素材(クッションフロアやマットなど)を、貼り付け後隙間ができないようサイズ調整する。
4. 4. 両面テープなどで素材を畳に固定する。
●フローリング張り替え とフローリング重ね張り(フローリング上張り)の違い
和室からフローリングに変える方法でも、張り替えと重ね張りではかなり違います。
フローリング張り替えには多くの工程があり、廃材も出るので費用や時間がかかってしまいます。築年数が経過している部屋などは、畳をはがしたら下地の状態が良好とは言えない可能性もあるでしょう。このような場合は下地の補修費用が追加されるのでより料金がかかります。
一方のフローリング重ね張りにも素材の厚さと同等の段差ができてしまったり、下地の状態が確認できなかったりというデメリットがあります。しかし、工程が単純で費用が安い点は魅力的です。畳を廃棄しないのでゴミが出ず、環境にも優しい方法と言えます。
また、フローリング重ね張りには畳の部屋に戻しやすいというメリットもあります。後述するように、畳には様々な機能性があります。フローリングに変えた後で畳の良さを再認識することもあるでしょう。やり直しができるフローリング重ね張りは試しやすいリフォーム方法です。和室からフローリングにする際は、お部屋と予算、工事に掛けられる時間などをもとに、より適した方法を選びましょう。
畳の機能性を再認識しよう
現代は空調技術や建築材料の機能が向上したことで、居室の快適さを保てるようになっていますが、高い技術がない昔の日本では、自然界にある材料を使用して居室の快適さを保てるよう工夫していました。その一部を担っていたのが「畳」です。畳はフローリングでは味わえない居室を快適に維持してくれるメリットが多くありますが、耐久性の問題やダニが発生しやすいというデメリットもあります。しかし現代では「畳製品」の質は向上し、畳のメリットを生かしデメリットを低減させた商品もあります。
●畳のメリット

畳はクッション性がよく適度な弾力もあるので、転倒の際に衝撃を少なくする特徴があります。また、住空間を快適にしてくれるメリットもあります。
・調湿効果
畳おもての原料「い草」は湿気を吸収し乾燥時には湿気を放出してくれる調湿機能があるので、室内を快適に保ってくれます。
・遮音効果
畳の中に含まれるたくさんの空気は、床衝撃音を吸収する効果があるため階下へ音が伝わりにくくなります。
・断熱効果
空気は熱を伝えにくい性質があります。「い草」は空気を多く含んでいるため、断熱性に優れており、夏は涼しく、冬は暖かい環境を作り出してくれます。
畳をフローリングへ変更する前に、畳のメリットを見直しておくのも良いですね。
●デメリット
室内環境を快適に保ってくれる畳ですが、フローリングと比較すると耐久性や管理方法によってダニなどが発生しやすいというデメリットもあります。
・耐久性の問題
畳床の寿命は10〜20年といわれており、へこみができたり、歩いた時に「ふかふか」した感触があったりすると交換時期となります。しかし、畳表面が変色しているだけであれば、表替えで対応できる場合があります。
・カビ・ダニの問題
畳は「カビ・ダニ」が発生しやすい傾向があります。温度が20〜30℃、湿度が70%前後、また、畳内部にチリ・ゴミ・フケ・食べかすなどの栄養源が蓄積されるとカビ・ダニが発生しやすくなり、駆除するのも一苦労です。
畳の寿命を延ばすためにも、しっかりとデメリットを理解してお手入れをする必要があります。
畳からフローリングへのリフォーム時の懸念点を解消するには

畳をフローリングへと変えるリフォームでは、防音効果の低下、室内の湿度調整の問題、床が冷たくなるなどの懸念点があるので、対応策を考えながらリフォーム計画を考えていきましょう。
●防音床材で階下への音を軽減する
防音効果を得るためには、階下への音を軽減する「防音床材」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。特にマンション(集合住宅
)で畳から木質フローリングにリフォームする場合では防音床材の使用は必須となることも多いため、積極的に検討してみましょう。
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●床暖房で足元の冷たさを解消する
温かみのある畳と違い、フローリングは性質上冷たく感じられます。冬は畳とフローリングの温度の違いを実感することでしょう。そこで、フローリングの冷たさを解消するために有効なのが「床暖房」です。冬の寒い日の床暖房は足元から体を温めるので畳からフローリングへリフォームする際は導入することをおすすめします。
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ペットがいる場合は滑りにくい材質を選ぶ

犬や猫と一緒に暮らしている場合、フローリングの材質によってはつるつると滑って大切なペットの足腰に負担をかけてしまう場合があります。脱臼や骨折などの原因になるので、滑りにくい材質を選びましょう。また、爪による引っかき傷に強い材質かどうかも確認しておくと、きれいな状態で使い続けられるので安心です。
●下地の状態に応じて補修や調整を行う
築年数が古い家の場合、畳をはがしてみたら床の下地が傷んでいたというケースが多く見られます。そのままフローリングを張ってしまうと、長持ちしない、きれいに仕上がらないといった問題が出てくる可能性があるので、必要に応じて下地を補修する必要があります。 また、畳は厚みがあるので、フローリングに変えることで他の部屋と段差ができないように下地を調整することも大切です。隣接する部屋とフラットに繋がるように仕上げることで、安心して過ごせるバリアフリーの住まいになります。
●高機能でモダンな和紙(※)畳を取り入れる
畳からフローリング床に一新するリフォームも現代住宅にマッチした方法ですが、「和」を洋室やリビングに取り込む「畳エリア」の配置もモダンで畳の良さを実感できる空間作りのひとつといえます。和紙畳は色柄のバリエーションが豊富にあり、縁のないデザインを選べば和モダンな雰囲気を演出できます。畳ならではの風合いを楽しみながら、フローリングとはまた違う趣を楽しめるお部屋づくりができます。

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畳をフローリング床にリフォームする際はメリット・デメリットを確認し、快適な空間作りのために懸念点に対する解消方法を検討した上でリフォーム計画を進めたいものですね。
(※)DAIKENの和紙畳は機械すき和紙を使用しています。コウゾ、ミツマタなどを使用した手すき和紙ではありません。
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公開日:2022.10.26 最終更新日:2024.11.20