
畳の上に敷くフローリングマットでカビ・ダニを防ぐのは難しい? 畳をフローリングに替えておしゃれな和モダン部屋に!
※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。
目次
「畳をフローリングに替えたいけれど、簡単にできるの?」
「畳の上に敷くフローリングマットは衛生的にどうなの?」
畳の傷みが目立つようになると、このようなお悩みを持たれる方も多いのではないでしょうか。「現代的な生活スタイルには畳よりフローリングのほうが合う」「手軽に和室を洋風の部屋に近づけられる」という理由から畳の上にフローリングマットを敷く方法が候補にあがりやすいですが、これには注意すべき点があります。
そこで今回は、フローリングマットの選び方について解説します。メリットだけでなく、畳の上にフローリングマットを置く場合の見落としがちなリスクや、畳からフローリングへのリフォーム、さらに和室×フローリングで和モダンインテリアをおしゃれに仕上げるコツもご紹介します。
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関連記事⇒「“畳の傷み”が気になったら、張り替えのサインでは? 適切な張り替えで和室を快適空間」
床の上に敷くフローリングマットとは
フローリングマットの選び方
まず、フローリングマットの選び方をいくつかご紹介します。

(※)写真はイメージです。弊社製品ではございません。
●デザインや色で選ぶ
畳の上に敷くマットのデザイン選びを工夫すると、手軽に和風から洋風の部屋へ模様替えができます。フローリングマットには様々な柄があり、中でも木目調のデザインは種類が豊富です。同じ天然木をモチーフにしたフローリングマットでも色合いによって印象が大きく異なるため、カラーリングを考える際は室内に置かれた家具の色などに合わせてうまくまとめましょう。
●部屋のサイズに合わせて選ぶ
フローリングマットは部屋の寸法を測り、広さに合うサイズを選びましょう。畳の上に敷くだけなので“何畳用”という製品表記に合わせればよいと思うかもしれませんが、畳は規格が統一されておらず“江戸間”や“京間”など地域によってサイズが異なります。フローリングマットの“何畳用”という表記は目安であり、メートル法の“センチメートル”で採寸した部屋の大きさに合わせるのが確実です。
●ペットの快適さで選ぶ
小型犬などの滑りに配慮したフローリングマットもあります。このような製品は、犬の爪が食い込んで歩きやすい、衝撃を吸収しやすい、汚れを拭き取りやすいといったメリットがあり、飼い主の負担を軽減してくれます。
●機能性で選ぶ
フローリングマットは、機能性で選ぶこともできます。例えば、抗菌や防カビなどの加工がされていて床を清潔に保ちやすいもの、衝撃吸収性が高く防音性のあるもの、畳の上でズレないよう裏地にすべり止め加工がされているものなどが市販されています。
畳の上に敷くフローリングマットのメリット

(※)写真はイメージです。弊社製品ではございません。
畳の上にフローリングマットを敷くことのリスクを伝える前に、まずフローリングマットのメリットについてご紹介します。
●大がかりな工事が不要
フローリングマットの設置は“敷くだけ”で完了するので、大がかりな工事が不要です。部屋の広さに合ったものを選んでサイズを調整し、畳の上に敷けば和室をフローリング風に変えることができます。また、簡単に取り外せるので、引越し先に持っていって繰り返し使うことも可能です。
●コストを抑えられる
フローリングマットは比較的安価な床材のため、畳を剥がしてフローリングに張り替えるリフォームと比較すると、コストを抑えてフローリング風の床にできます。
●バリエーションが豊富でイメージチェンジしやすい
フローリングマットは色や柄などのバリエーションが豊富なので、イメージに合わせたお部屋づくりができるでしょう。季節や気分でイメージチェンジできることも、フローリングマットのメリットといえます。
●接着剤などが不要で賃貸物件でも使用できる
畳の上に敷くマットは接着剤を使わずに施工できるケースが多く、置くだけで設置が完了します。引っ越しの際や不要になったときも簡単に外せるため、リフォームができない賃貸物件でも“原状回復”しやすいというメリットがあります。
このように一見便利なフローリングマットですが、畳の上に敷く利用方法には次の項目で紹介するデメリットがあるためおすすめできません。
畳の上に敷くフローリングマットのデメリット
置くだけで簡単に部屋のイメージを変えられるフローリングマットは取り入れやすく便利ですが、畳の上に敷く場合は注意が必要です。
畳の上にフローリングマットを敷くことにはどのようなリスクがあるのでしょうか。
●フローリングマット下の畳にカビが発生したりダニが増殖したりしやすい

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フローリングマットを床の上に敷く際の大きなデメリットとして、マットの下にカビの発生やダニの増殖が起こりやすくなるという点があります。
特に畳の上にマットを敷くとフローリングマットと畳との間に湿気が溜まりやすくなります。そのため、定期的にフローリングマットを外して掃除と換気をする必要があるのですが、毎回家具などを移動させて作業を行うには大きな労力が必要で、その間は部屋が使いづらくなるのも難点です。
これらのことから、畳の上にフローリングマットを敷くことはおすすめできません。
どうしても導入したい場合は、カビの発生やダニの増殖リスクを考えた十分な対策を行いましょう。
【カビ・ダニ対策】
・フローリングマットを敷く前に、畳をしっかり掃除する
・畳の上に防虫シートを敷いてからフローリングマットを敷く
・定期的にフローリングマットを外して掃除と換気を行う
上記対策を行ったとしても、カビの発生やダニの増殖が発生するリスクはあることを念頭に置いたうえで、自己責任で導入しましょう。
●部屋の隅などに段差が生じやすい
フローリングマットの一般的な厚さは5mmほどです。フローリングマットを畳の上に敷くとその厚みの分、床面の高さが上がり、ドアなどの建具と干渉して開閉しにくくなることがあります。また部屋の床面積とフローリングマットの大きさが合わず部屋の隅などに段差があると、家具などの移動がしにくくなったりつまずいて転ぶ原因になったりします。
小さいお子様や高齢者が一緒に住んでいる場合やバリアフリーを考えている場合は、暮らしにくさにつながらないかよく検討しましょう。
●畳の上に敷くマットの境目にゴミが入る
部屋のサイズにぴったりにフローリングマットを敷くのは簡単なことではないでしょう。フローリングマットが部屋の大きさより少しでも小さいと、隙間に埃やゴミが入り込んでしまいます。そのままにしておくと畳を傷める原因にもなるので、こまめにフローリングマットを剥がして掃除をしましょう。
●フローリングマットがズレる場合がある

(※)写真はイメージです。弊社製品ではございません。
畳の上に置くだけで設置できるフローリングマットを敷く場合、接着剤などで固定しないので、フローリングマットがズレる場合があります。滑り止め対策をしても毎日の歩行で徐々にズレて転倒につながるかもしれません。小さなお子様や高齢者がいるご家庭では特に配慮が必須です。
●質感が安っぽく感じられる
フローリングマットはあくまで“フローリング風”の床材なので、木質のフローリングと比較すると質感が劣って見える場合があります。経年劣化で表面が剥がれたり変色したり、何らかの熱で溶けたりすると部屋が古びて見えることもあります。畳の上に敷く場合に限りませんが、部屋の高級感を演出したいなら、床材の色や柄、質感をよく選び、メンテナンスにも気を配りましょう。
畳の上に敷くマットよりもフローリングへのリフォームがおすすめの理由
畳の上に敷くフローリングマットを使うと手軽にリフォームできますが、カビの発生やダニの増殖などのトラブルが発生するおそれもあります。長い目で見るなら、ある程度の費用や時間はかかっても、思い切ってフローリングへのリフォームを検討したほうがよいかもしれません。
●畳の上に敷くマットよりも衛生的

(※)写真はイメージです。弊社製品ではございません。
カビの発生やダニの増殖リスクを考えた場合、畳の上にフローリングマットを敷くより、畳をフローリングに張り替える方が衛生的で、畳の掃除をするためにフローリングマットを外すといった手間がかかりません。食べ物や飲み物をこぼしてしまっても、さっと拭き取るだけでよい表面塗装をしたものを選ぶと、お掃除が簡単になります。
●フローリングならではの味わいと高級感がある
木質のフローリングなら、木の質感を味わえます。天然木を使用した製品であれば、退色したり多少の傷が付いたりしても経年変化として楽しめるでしょう。また、最近の複合フローリングには無垢フローリングと見分けがつかないほど意匠性が高いものもあり、高級感を演出できます。
●豊富なバリエーションから好みや目的に合わせたフローリングを選べる
フローリング材は色や板幅などのバリエーションが豊富なので、用途や目的に合わせたお気に入りの商品がきっと見つかるはずです。DAIKENではデザイン性や機能性にこだわった様々な床材をご提案しています。
「フローリング・床材」⇒ 詳しくはこちら
●複合フローリングなら機能性も豊富
「傷や汚れに強い」「階下への音を軽減する」など、複合フローリングには機能性や耐久性、遮音性にすぐれた製品がたくさんあります。多くの世帯が暮らすマンションの床は、階下に音が響かないよう床材の指定がされているケースも少なくありません。
DAIKENではマンション対応の床材をご提案しています。
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「和室は古臭いしお手入れが大変」? 畳リフォームで一新 和モダンな部屋のつくり方

畳の上に敷くフローリングマットの活用を考えるきっかけとしては、「昔ながらの和室の雰囲気を変えたい」「傷んだ畳のお手入れは大変」という動機があるでしょう。
そのようなケースは、おしゃれな“和モダン”へのリフォームも検討してみてはいかがでしょうか。
●和モダンとは
和モダンとは、伝統的な和の要素と現代的なモダン要素をあわせもったスタイルを指します。和モダンな空間を演出するには、和風と洋風のアイテムを上手く組み合わせてインテリアをつくることがポイントです。
●ジャパンディとは
和モダンと似ているインテリアスタイルに、“Japandi(ジャパンディ)”があります。和モダンが和の要素をベースに深みのある色やデザインのアイテムを使って陰影を活かしたインテリアをつくるのに対し、明るめのニュートラルカラーを中心にした北欧インテリアスタイルの中に、ワンポイントとして和の要素を合わせるのがジャパンディスタイルです。
畳からフローリングにリフォームした和室を和モダンやジャパンディスタイルにするにはどうすればいいでしょうか。ポイントをご紹介します。
●和モダンな部屋のつくり方
和モダンな部屋のつくり方を畳、建具、家具、照明の観点から考えます。自然素材を多用し、茶・白・ベージュ・落ち着いた緑などのアースカラーをベースにした色使いに、アクセントとして日本の伝統色・伝統的な小物を取り入れます。
・畳
畳からフローリングへの床リフォームで壁や天井は和風のままでも、部屋の一部に畳スペースをつくったり、フローリングの上で“置き畳”を使ったりすると全体が調和します。
置き畳は耐久性が高くてメンテナンスもしやすく、色も豊富で和モダンな雰囲気に合う現代的なカラーの製品もあります。例えば明るさの異なる同系色の畳や、グレー系とブルー系の2色の畳を市松模様に並べると、モダンでおしゃれに見えます。
・建具・間仕切り
襖(ふすま)や障子(しょうじ)、直線で構成された格子状の間仕切りなど、和の雰囲気を強調するアイテムは和モダンなインテリアで大きな役割を果たします。襖の柄が純和風で和モダンを演出しにくいなら、モダンな柄の襖紙に貼り替えるとよいでしょう。
・家具
収納棚:格子模様の棚や凝ったデザインの金具などは、和の雰囲気が強くなります。棚はできるだけ高さが低いものを選び、床座で過ごす和室ならではの空間の余白を大切にしましょう。
ベッド:洋風の家具であるベッドも和モダンな部屋に合わせられます。高さが低めで、畳素材を使ったものやフレームが木のベッドなどがおすすめです。大きな家具なのでシンプルなデザインを選びましょう。
テーブル:床座で過ごすこたつや座卓を取り入れてみましょう。座椅子と組み合わせるとより和の雰囲気が強まります。
・照明
和モダンな部屋には、シェード部分に木や竹、藤、麻、和紙などを使ったナチュラルな雰囲気の照明が似合います。背の低い家具に合わせて低くしたペンダントライトや床に置いたフロアランプなど、照明の位置を工夫するとよりまとまったインテリアが完成します。
和とモダンのアンサンブル『JAPANESQUE』のコーディネート例
DAIKENでは、洗練されたモダン空間をベースにしつつ、和のデザイン要素を繊細にアレンジした『JAPANESQUE(ジャパネスク)』というインテリアテイストも提案しています。木のぬくもりを活かしたインテリアに、障子や畳などの伝統的な意匠、落ち着いた色調、伝統工芸品や和食器などを取り入れてアジと奥行きを演出します。
ここでは『JAPANESQUE』のコーディネート例をいくつかご紹介します。

上記写真のコーディネートでは、木のぬくもりと直線状の造作を組み合わせ、ナチュラルテイストにまとめました。洋風のフローリングの上には、床に敷くマット代わりに<灰桜色>の置き畳を設置します。ここにローテーブルを組み合わせ、くつろげる和モダンのスペースをつくりあげています。

こちらは、黒と白の壁材や床材によるインテリアの例です。同じデザインのペンダントライトとフロアランプで低い位置に光を当て、陰影を活かした和モダンな雰囲気を盛り上げています。市松模様に並べた畳でつくった少し広めの和風スペースが、スタイリッシュながらどこかあたたかみを演出しています。
DAIKENでは、フローリングの部屋にもマッチする、バリエーション豊かな畳をご提案しています。
『ダイケン畳健やかくん』⇒ 詳しくはこちら
また、フローリングの上にラグを敷く感覚でご使用いただける置き畳なら、気軽に和モダンな雰囲気を取り入れられます。
『ここち和座 置き敷きタイプ』⇒ 詳しくはこちら
フローリングに敷くだけで畳スペースがつくれる方法は、下記の記事をご参照ください。
関連記事⇒「畳をフローリングに敷いて寝転がる快感! 気軽に楽しめる“置き畳”の魅力と畳の部屋の使い方」
まとめ
和室の畳をフローリングにすると、部屋の雰囲気は大きく変わります。簡単に取り入れられるフローリングマットは便利ですが、畳の上に敷く場合のリスクも知っておきましょう。思い切ってフローリングにリフォームし、和モダンなインテリアを楽しんでみませんか。
こちらの記事もぜひチェックしてみてください。
関連記事⇒「畳からフローリングにリフォームする? 知っておきたい畳のメリット・デメリットと湿気・防音・断熱、3つのポイント」
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監修者
志鎌のり子(しかまのりこ)
一般社団法人日本模様替え協会 理事/COLLINO一級建築士事務所代表。日本女子大学住居学科卒業、五洋建設でマンション・ビルの設計監理/内装デザインを10年担当。その後、日本ERIにて住宅検査など10年担当、設計・検査・審査した住戸数は延べ5,000件以上にのぼる。現在は部屋を「機能による空間分け」「動線」「収納」の観点から模様替えする独自のメソッドにより、機能的な部屋づくり/仕組みづくりなどを提案。書籍「家具配置のルール」のほかSUUMO、AERAwithKids、建築知識ビルダーズ、住まいの設計など著書多数。
保有資格:模様替えアドバイザー 一級建築士 建築基準適合判定資格者 住宅性能評価員 建物耐震診断士 フラット35適合証明検査員 など
公開日:2022.09.06 最終更新日:2025.09.26