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2025-07-07

離れを趣味部屋や仕事場に 離れの魅力と費用、建築条件などの基礎知識

家の敷地内に“離れ”があると、より快適な時間を過ごせるようになります。
今回は離れの活用方法や建てる際の費用、注意したい建築条件について詳しく説明します。あわせて、離れの収納におすすめのDAIKEN製品もご紹介します。

離れとは

母屋との違い

離れとは、主に住宅として使用される母屋(おもや)から独立して建つ別棟を指します。母屋が生活の中心であるのに対し、離れは趣味や仕事用として使う個室や、来客用のスペースとして使用される建物です。

多くは静かでプライベートな空間が求められるため、母屋とは距離を置いた場所に建てたり、渡り廊下などで母屋とつないだりすることもあります。建物の規模や用途により、外観や内部の設備は様々です。

離れを建てる際の費用目安

離れの建築費用は、広さや工法、設備の選択次第で異なります。一般的な目安は以下のとおりです。

【6畳(約3.3坪)】
・プレハブ:約150~250万円
・木造:約200~300万円
・鉄骨(鉄筋):約300~500万円

居室とトイレなど、基本的な生活を送れる最低限の要素で構成した部屋なら比較的安価に抑えられます。しかし、キッチンやバスルーム、床暖房など快適性を高める設備を追加すると費用が増加します。

さらに、土地や工事の難易度、建材の選定によっては価格が上がる場合もあるため注意が必要です。
(※)離れの費用の目安は一般的な例であり、工法や目的、設備によっても異なります。詳細は施工会社にご確認ください。

離れの用途、活用方法

離れの具体的な活用方法にはどのようなものがあるか、ご紹介します。

趣味の部屋

離れは、趣味を楽しむ部屋として理想的な空間といえます。音楽やアート、DIY作業などをする際、自由に使える場所として便利だからです。
楽器演奏が趣味なら防音設備を整えたり、絵や工芸などの創作を楽しむなら道具の保管場所を十分に準備したりすれば、ストレスなく過ごせる環境をつくれます。
関連記事⇒「セカンドハウスとは? 別荘との違いとその魅力 セカンドハウスローンのことも知っておこう

仕事部屋

離れは、在宅ワークやフリーランスの方にとって使い勝手の良い空間になり得ます。母屋と切り離すことで仕事に集中でき、メリハリのある生活につながります。
音漏れ対策をすれば、情報漏洩や音漏れを気にせずWEB会議に集中できます。

子ども部屋

離れを子ども部屋として活用すると、勉強や遊びに集中しやすい環境をつくれます。
母屋にいる家族が離れの様子を見守りやすい配置にすると、親も子も安心して使える空間になります。
リビングに置きにくい大型のおもちゃを持ち込むこともできます。

二世帯住宅

離れを二世帯住宅の1棟として活用する場合、親世帯や子世帯が独立してそれぞれに生活できる居住空間ができます。
例えば、老夫婦の部屋を離れにする場合は、キッチンとお風呂は母屋で子世帯と共有し、くつろぎの時間は離れで過ごせば程良い距離感で交流できます。

後述しますが、同じ敷地内に2つの独立した“住宅”を建てるには、土地の分筆(分割)や法的な手続きが必要です。キッチン・トイレ・浴室が離れにすべて揃うと、独立した住宅と判断される場合があります。ただし、渡り廊下で接続するなどの条件によっては、一体の建築物とみなされる可能性もあります。

土地の分筆や分割についてはこちらの記事でも解説しています。
関連記事⇒「家を建てる流れを知りたい! 土地のあり・なしで変わる手順と期間

ゲストルーム

離れをゲストルームとして活用すれば、親族や友人が訪れた際に快適な滞在時間を提供できます。独立した建物なので、プライバシーを守りつつ適度な距離感でおもてなしできるでしょう。

離れを小屋風にするのも趣が出ますし、空調設備を整えれば、長期滞在にも対応しやすくなります。

小規模店舗・教室

離れを小規模な店舗や教室として活用するのも1つの方法です。
例えば、アート教室やヨガ教室、美容サロンなど、規模が小さい場合でも設備を整えることでニーズに応えられます。

自宅の一部を使ったレッスンやサービス提供は小規模な集客となるかもしれませんが、一方で利用者との距離が近くなり目が行き届きやすいため、きめ細かい対応もしやすくなります。

倉庫・ガレージ

離れは倉庫としても利用できます。使わない季節のものを保管したり、趣味の道具を納めたりする場所として活用できるでしょう。

整理しきれないものを独立した収納スペースに移動することで、家の中もスペースが広がります。ガレージとして使えば、車やバイクの保管だけでなく、自転車や工具を整理するスペースとしても便利です。雨風に晒されないので安心できます。

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離れをつくる際の流れ

離れを建てる際の一般的な流れをみていきます。ただし、実際の手続きはお住まいの自治体によって異なる場合があるため、詳細は専門家・施工会社にご確認ください。

自治体窓口で増築の可否を確認

離れを建てる前に、お住まいの自治体窓口で建ぺい率・容積率なども含めて増築の可否を確認することが重要です。条例に基づき、敷地の広さや用途、周囲の環境などによって制限を受ける地域もあります。

建築確認申請が必要な場合や、規制の対象となる土地がある点も考慮して、事前に必要な手続きを確認しましょう。

施工会社選び・打ち合わせ

施工会社を選ぶ際は信頼できる会社を選び、しっかりと打ち合せしましょう。具体的な予算や間取り、使用する建材、スケジュールなどを話し合い、希望を明確に伝えましょう。

複数の会社から相見積もりを取って比較すると納得のいく選択につながります。施工会社の実績や評判も考慮し、慎重に選びましょう。

建築確認申請

建築確認申請とは、離れを建てる前に自治体に書類を提出し、建物が建築基準法に適合しているかを確認するための手続きです。申請には、設計図書や建物の用途、規模などの詳細が必要です。

審査を受け、問題がなければ許可が下ります。それまでには数週間から数か月かかる場合があるため、計画的に進めましょう。

工事完了・登記

工事が完了したら、次は登記手続きをします。登記は、所有者名義や土地の面積、離れの用途などが記録され、不動産としての証明を得るための重要な手続きです。登記完了後は正式な建物として認められ、法的にも保護されます。

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離れの建築条件や注意点

ここでは、離れを建てる際の建築条件や注意点についてご説明します。

“住居用”にしない

離れを増築する際は、“住居”として扱わないことが重要です。 建築基準法では原則「1つの敷地に1つの建築物」のみ建てられますが、「母屋と渡り廊下でつなぐ」など一定条件による例外もあります。離れを独立した“住宅”とみなす場合は、土地の分筆や登記の分離が必要になる場合があるので、事前に自治体や建築士にご確認ください。

建ぺい率・容積率の範囲内に収める

建ぺい率や容積率とは、敷地面積に対する建物の規模や延床面積の制限を示す法的基準です。離れを増築する際は、制限を守ることが求められます。

具体的には「敷地面積の一定割合以上の建物を建てない」「建物の総延床面積が制限を超えないようにする」など、法律に定められた範囲内でしか増築できません。
関連記事⇒「2階建ての魅力 総二階とはどのようなもの? 部分二階との違いとメリット・デメリット

斜線制限・高さ制限を守る

斜線制限や高さ制限は、周囲の環境や景観を保護するために設けられた規制です。離れを建てる際は、隣接する建物との間に適切な高さの差を設ける必要があります。

地域によっては、日光や風通しを確保するために高さや斜線に制限が設けられている場合もあります。この規制を守らないとトラブルの原因となるため、設計時にしっかり確認することが重要です。

固定資産税の増加に注意

離れを増築すると、固定資産税が増加する可能性もあります。新たに建物が加わることで延床面積が増える分、評価額や建物の価値が上がって税金が増えるためです。

建てた離れが“住居”扱いになると課税が高額になる場合があるため、税金がどの程度増えそうか、事前に影響の度合いを確認して予算に組み込んでおくと安心です。
関連記事⇒「カーポートとは? ガレージとの違いと値段、固定資産税についてもチェック!

離れにおすすめの設備

ここでは、離れにおすすめの設備についてご紹介します。

エアコン

離れで快適に過ごすためにはエアコンが重要です。 特に長時間過ごすことを想定しているなら、空気清浄機能付きのエアコンもおすすめです。

音響機器と防音建材

映画や音楽を楽しむ場合、音響機器と防音建材の使用も検討しましょう。 音響機器にこだわることで臨場感のある音楽体験ができます。さらに、防音建材を使用すれば外部の音を遮断し、内部の音が漏れないように制御しやすくなります。

コンセント・インターネット環境

離れを快適に使うために、十分な数のコンセントの設置と、快適なインターネット環境の整備が重要です。仕事や趣味に必要な電子機器をスムーズに使うための環境を整えましょう。

収納家具

離れの限られた空間を有効活用するためには、収納家具をうまく配置するのもポイントです。多機能な収納家具を選ぶと、部屋を美しく保てます。

DAIKEN『MiSEL(ミセル)』でおしゃれな収納に!

離れを仕事場や子どものための部屋にするなら、収納の使い勝手についても十分に検討しましょう。DAIKENの『MiSEL(ミセル)』シリーズは、スタイリッシュなデザインと実用性を兼ね備えた収納家具です。「見せたいものをディスプレイし、見せたくないものを隠す“魅せる収納”」として、飾りたいものと隠したいものをバランスよく収納できます。

横幅や高さに合わせて選べるユニットに加え、テレビボードやデスク、クローゼットをはじめ、引き出しや扉などオプションが豊富です。加えて多彩な色柄が揃い、様々なインテリアコーディネートが可能です。

まとめ

離れを快適な空間にするには、エアコンや音響機器、防音建材など目的に合った設備を計画することも重要なポイントです。また、思わぬトラブルを招かないためにも、建築基準法や固定資産税などについては施工会社とよく相談し、自治体に確認しましょう。

収納家具は、適切なものを選んで限られたスペースを有効活用すれば、心地良い離れに仕上げられるでしょう。

  • しかまのりこ
  • 監修者

    志鎌のり子(しかまのりこ)
    一般社団法人日本模様替え協会 理事/COLLINO一級建築士事務所代表。

    日本女子大学住居学科卒業、五洋建設でマンション・ビルの設計監理/内装デザインを10年担当。その後、日本ERIにて住宅検査など10年担当、設計・検査・審査した住戸数は延べ5,000件以上にのぼる。現在は部屋を「機能による空間分け」「動線」「収納」の観点から模様替えする独自のメソッドにより、機能的な部屋づくり/仕組みづくりなどを提案。書籍「家具配置のルール」のほかSUUMO、AERAwithKids、建築知識ビルダーズ、住まいの設計など著書多数。

    保有資格:模様替えアドバイザー 一級建築士 建築基準適合判定資格者 住宅性能評価員 建物耐震診断士 フラット35適合証明検査員 など

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