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※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。
目次
キッチンは住まいの中でも特に使用頻度の高い空間だからこそ、家づくりの段階からしっかりと考えて使い勝手の良いキッチンにしたいものです。キッチンを使う人に合わせた間取りや設備にすれば家事効率が上がるだけでなく、身体への負担も減らせるでしょう。
今回はキッチンの寸法に関する基本的な知識や、使いやすいサイズの目安、設計時のチェックポイントについて解説します。また台所の収納力を高めるDAIKEN製品もご紹介します。
キッチン設備の寸法には尺モジュールとメーターモジュールがある

家づくりはモジュール(基準寸法)に基づいて進められるのが一般的です。キッチンのサイズやデザインも、通常、モジュールに合わせて決められます。そこでまずは日本の家づくりで主に使われている2つのモジュール、“尺モジュール”と“メーターモジュール”について解説します。
尺モジュールとは
尺モジュールは、3尺(約910mm)を基準とする、日本で昔から使われているモジュールです。日本の木造住宅では今でも尺モジュールによる設計が主流であり、多くの建材や建具が尺モジュールに合わせ製品化されています。
リーズナブルかつ短工期で済むことから多くの住宅で採用されているシステムキッチンも、国内メーカーの製品は尺モジュールに基づいてサイズバリエーションが展開されています。家づくりに尺モジュールを採用すれば、自分好みの設備を探しやすく、また工務店などに戸建て住宅建設を依頼する場合も比較的スムーズに工程が進むでしょう。
尺モジュールや尺貫法については下記の記事もご参照ください。
関連記事⇒「モジュールとは 尺モジュールとメーターモジュールの違いとそれぞれのメリット」
関連記事⇒「尺貫法とは? 間、尺、寸の長さはどれぐらい? 家づくりで耳にする単位をマスター!」
メーターモジュールとは
メーターモジュールは、「1m(1,000mm)」を基準とする国際的なモジュールです。尺モジュールと比べて基準となるマス(グリッド)が1割ほど大きいため、空間にゆとりを生みやすいのがメリットです。日本でもいくつかの大手ハウスメーカーが採用しています。
メーターモジュールは広い部屋や廊下をつくれるため、海外製の設備を導入しやすいほか、バリアフリーや介護を見据えユニバーサルデザインを目指したキッチンづくりにもおすすめです。
使いやすいキッチンのサイズ・高さの目安

使いやすいキッチンをつくるためには、自分に合ったサイズを選ぶことが大切です。一般的なキッチンの規格サイズや、使いやすいキッチンのサイズの目安を知っておきましょう。
一般的なシステムキッチンの規格サイズ
どのモジュールを採用しているかにもよりますが、一般的なシステムキッチンは以下のようなサイズバリエーションで展開されています。
・間口(横幅):2,100mm、2,400mm、2,550mm、2,700mm(1,650~3,000mm)
・奥行き:I型・L型650mm(600~700mm)、ペニンシュラ型・アイランド型750~1,000mm
・高さ:800mm、850mm、900mm
(※)キッチンサイズの単位としてよく使用されるmmで表記しています。
日本の住宅で一般的なキッチンサイズは、間口2,550mm、奥行き650mm、高さ850mmといわれています。その理由は、尺モジュール(910mm単位)で設計された間取りに採用しやすいからです。例えば一般的な6畳間の場合、空間の短辺が2,730mm、長辺が3,640mmとなりますが、キッチンの間口が2,550mmであればどちらの壁にもきれいに収まり、長辺に設置する場合は、余ったスペースに冷蔵庫を置くこともできます。
6畳間のレイアウトに関しては、下記の記事をご参照ください。
関連記事⇒「6畳は何平米? 狭さを活かしたお部屋のレイアウトと快適なマイルームのつくり方」
キッチンの間口は150mm(15cm)刻みで調整可能なケースが多く、間取りや確保したい収納力などに応じて選択できます。
奥行きは標準的な壁付けキッチンであれば650mm(65cm)が一般的です。ただしペニンシュラ型やアイランド型は750~1,000mm(75~100cm)程度の奥行きが必要なので、幅だけでなく奥行きにも十分な設置スペースがあることを確認しておきましょう。
使いやすいキッチンのサイズ
キッチンの高さが身体に合っていないと作業がしづらく、無理な姿勢が負担になってしまいます。使いやすいキッチンをつくるための目安をご紹介します。
・間口(横幅)
間口が広いと作業スペースが増えて便利ですが、調理中にキッチン内を移動する距離は長くなります。一般住宅のキッチンで使いやすいのは、2,850mm(285cm)程度までが目安といえるでしょう。
シンク・コンロ・冷蔵庫をつないだ三角形の作業動線をワークトライアングルと呼び、三角形に近い形状にすると作業効率が上がるとされています。バランスの取れたワークトライアングルの目安は以下の通りです。
【使いやすいワークトライアングルの目安】
・シンクからコンロまでの距離:1,200~1,800mm(120~180cm)
・コンロから冷蔵庫までの距離:1,200~2,700mm(120~270cm)
・冷蔵庫からシンクまでの距離:1,200~2,100mm(120~210cm)
・3辺の合計距離:3,600~6,000mm(360~600cm)
・奥行き
キッチンの奥行きが大きいほど、広い作業スペースを確保できます。一方、手が届かないほど奥行きがあると、奥のモノを取りにくくなり、壁掛け収納も使いづらくなります。奥行きは容易に手が届く範囲で設定しましょう。
・高さ
使いやすいワークトップの高さの目安は、「身長÷2+5cm」とされています。身長に応じた目安は以下のとおりです。
・身長170cm ⇒ ワークトップ高さの目安900mm(90cm)
・身長160cm ⇒ ワークトップ高さの目安850mm(85cm)
・身長150cm ⇒ ワークトップ高さの目安800mm(80cm)
最近では肘(ひじ)の高さを基準にする方法も一般的になってきています。
この方法では、肘を90度に曲げて床面から肘までを測りマイナス100mm(10cm)した高さを、使いやすいキッチンの高さとしています。
もちろんこれらはあくまで目安であり、体格や腕の長さ、スリッパの有無などによって適切な高さは異なります。キッチンを複数人で使う場合は、よく使用する人に合わせるとよいでしょう。
ショールームなどでキッチンカウンターの前に立ってみて、作業しやすい高さを決定しましょう。
関連記事⇒「対面キッチンのレイアウト 開放感があり、会話が弾むオープンなキッチン」
関連記事⇒「住宅のショールームとは? 訪問のタイミングと見学時のポイント モデルハウスとの違いは?」
キッチンのサイズを検討する際のポイント

キッチン台のサイズ以外にも、使いやすいキッチンを実現するために気をつけたい点がいくつかあります。理想のキッチンづくりに役立つポイントを3つご紹介します。
① 必要な作業・収納スペースを確保する
食材を切ったり、お皿に盛りつけたりする作業スペースを確保することは重要ですが、十分な収納スペースを確保することも大切です。後からキッチンに収納スペースをつくるのは難しいので、家づくりの段階から食材・調味料・調理器具を収納するのに必要な容量を確保しましょう。収納物が増えることも見越して、収納スペースには少し余裕を持たせると安心です。
② 適切な通路幅を設定する
キッチンの通路幅をどれぐらい取るかも、快適性には重要なポイントです。1人で作業するなら800~1,000mm(80~100cm)あれば問題ありませんが、2人以上で作業する場合は最低でも1,000mm(100cm)、より快適に作業するなら1,300mm(130cm)程度は確保したいところです。
また通路幅を設定する際には、前述のワークトライアングルのバランスも考慮しましょう。
③ 効率的な作業動線を意識する
家事の効率が向上する作業動線を意識することも重要です。パントリーやランドリースペースなどとの位置関係を考慮しながら間取りを計画し、家事全般をスムーズにこなせるようにしましょう。
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『FiTIO(フィティオ) 背面棚柱タイプ』は、背面の壁に棚柱を取り付け、棚板を設置する収納ユニットで、天井までのスペースを無駄なく活用できます。キッチンに適した「キッチンプラン」のほか、常温保存食品や調理器具の保管に向いている「パントリープラン」など多彩なプランをご用意しています。
まとめ
キッチンのサイズは、調理の快適性に直結します。設計段階でしっかりシミュレーションし、高さや広さを決定しましょう。また設計者とよく相談し、収納計画も考えることが使いやすいキッチンづくりに大切です。今回ご紹介したサイズの目安を参考に、自分にぴったりの使い勝手の良いキッチンづくりを目指してください。
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監修者
志鎌のり子(しかまのりこ)
一般社団法人日本模様替え協会 理事/COLLINO一級建築士事務所代表。日本女子大学住居学科卒業、五洋建設でマンション・ビルの設計監理/内装デザインを10年担当。その後、日本ERIにて住宅検査など10年担当、設計・検査・審査した住戸数は延べ5,000件以上にのぼる。現在は部屋を「機能による空間分け」「動線」「収納」の観点から模様替えする独自のメソッドにより、機能的な部屋づくり/仕組みづくりなどを提案。書籍「家具配置のルール」のほかSUUMO、AERAwithKids、建築知識ビルダーズ、住まいの設計など著書多数。
保有資格:模様替えアドバイザー 一級建築士 建築基準適合判定資格者 住宅性能評価員 建物耐震診断士 フラット35適合証明検査員 など
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