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目次
伝統的な建築工法で建てられた日本家屋は、今なお多くの人に親しまれている上質な建築スタイルです。今回は、日本家屋特有の間取りや外観・内装を取り上げ、その魅力を解説します。
さらに、日本家屋の建築に役立ち、快適性とデザイン性を兼ね備えたDAIKEN製品をご紹介します。
伝統ある日本家屋 そのメリットとは
近年、国土交通省において、伝統的な和の住まいや住文化の良さを再認識し、伝統技能の継承と育成などを図る取り組みがなされています。同時に、古民家再生が活発になったり、畳(たたみ)が新築住宅に変わらず用いられたりするなど、“和の住空間”が再評価されているようです。
参考:「和の住まいの推進」(国土交通省)
ここでは日本家屋のメリットについて整理します。
通風・採光にすぐれる
日本家屋の室内建具には、襖(ふすま)や障子(しょうじ)が使用されます。どちらも木や和紙を使用したもので、空気を通したり光を上手に採り入れたりする工夫がされた建具です。
外とつながる開口部から風が通り抜ける設計により、生活空間に新鮮な空気が室内を循環しやすく、木材の湿気や結露・カビの発生を抑えて住宅の耐久性を向上させていました。部屋の仕切りである襖や障子を開け放てば、奥の部屋まで風が通る造りになっています。
さらに開口部は採光も確保します。紙を張った障子は閉めていても光を室内に届けます。
屋内外をつなぐ空間がある
日本家屋には、屋内と屋外をゆるやかに結ぶ土間や縁側が設けられます。
土足のまま出入りする場所である土間は、農作物などの保存や農耕機を置く場所でもあった玄関土間や、かまどや水場を設けた土間台所などは、生活の利便性を備えた空間として使われていました。
縁側は室内から庭の景色を楽しみ、夕涼みやお月見など季節を身近に感じ、時には来訪者に応対する空間です。生活に豊かさや開放感を生む空間として、今の住まいにも引き継がれています。
自然素材による調湿性
夏は高温多湿になる日本では、昔から住まいの湿度対策が重要とされてきました。日本家屋には、木材をはじめ畳や和紙、壁材の漆喰(しっくい)など、調湿性があるとされる自然素材が使われてきました。
これらの自然素材は、湿度が高いときには湿気を吸収し、空気が乾燥すると溜め込んでいた水分を放出します。その結果、屋内の湿度が自然に調整され、快適な環境が維持されやすくなります。
間取りの変更がしやすい
木造軸組み工法(在来工法)で造られる日本家屋は、柱や梁(はり)などの骨組みで建物を支えます。そのため間口を調整しやすく、空間を広げたり、逆に分割したりと間取りの変更が比較的容易です。
加えて、襖や障子を外したり開け閉めしたりすれば部屋の広さを調整できます。
ライフスタイルや家族構成の変化に柔軟な対応ができる点も、日本家屋の魅力です。
夏は涼しく、省エネルギー性にも配慮
古来、日本家屋では蒸し暑い日本の夏を涼しく過ごせるような工夫が重視されてきました。例えば深い軒(のき)やすだれで日差しを遮るとともに、風通しの良い間取りにしたり自然素材を使用したりすることで、室内温度や湿気の上昇を抑え、夏の蒸し暑さをしのいできたのです。
設計や素材を工夫すれば、エアコンなどの使用を減らし、省エネルギーにつながります。
日本家屋で特徴的な各部の名称① 屋外・外観

(※)写真はイメージです。弊社製品ではございません。
ここでは、日本家屋で特徴的な屋外や外観に関する名称について紹介します。
瓦屋根
日本家屋を象徴する瓦(かわら)屋根は、美しい曲線と重厚感が特徴です。粘土を焼き固めて作る瓦は耐久性に富み、家を風雨や火災から守る役割を果たします。
軒
軒(のき)は建物の外壁から外側に張り出している屋根部分です。軒の裏側を“軒裏”あるいは“軒天”といい、軒の下部空間を“軒下”、軒の先端を“軒先”と呼びます。
日本家屋ではこの軒を深くすることで夏の日差しを遮り、雨の吹き込みを防いでいます。
坪庭
坪庭(つぼにわ)とは、建物の敷地内に設けられた建物や塀に囲まれた小さな庭です。
古くは通風や採光を目的に造られたものでした。やがて植栽や石灯籠(いしどうろう)などが施されるようになり、季節のうつろいを感じられる空間として、住人や来客の目を楽しませます。
関連記事⇒「1坪は何平米? 土地選びや家づくりの際に知っておきたい広さの単位」
平屋建て
平屋は、日本家屋では古くから広く採用されてきた1階建ての家屋です。1フロアに生活空間が集約され、生活動線がシンプルで暮らしやすいという特徴があります。
平屋は庭とのつながりを重視した設計が多く、自然との一体感を味わえます。近年、平屋建てはバリアフリー性や耐震性、開放感を重視される方が増え、再び注目されています。
関連記事⇒「平屋の間取り フラットな生活動線で老後も暮らしやすい家をローコストで」
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日本家屋で特徴的な各部の名称② 間取り

(※)写真はイメージです。弊社製品ではございません。
次に、日本家屋で特徴的な間取りに関する名称をご紹介します。
玄関土間
玄関土間とは、家に入ってすぐの場所に設けられる土足のまま出入りする空間です。屋外と室内をつなぎ、荷物を置いたり、軽作業をしたりする多目的なスペースとして活用されてきました。
日本家屋特有の合理的で機能的な空間が再評価され、玄関の土足スペースを広めに取る例もあります。
関連記事⇒「土間とは? 家に必要? 役割とメリット・デメリット 三和土(たたき)との違いもご紹介 」
縁側
縁側は、家の内と外をつなぐ板張りの細長い空間です。天気のよい日には腰掛けて庭を眺めたり、近所の人と世間話をしながら交流したりする憩いの場として親しまれてきました。
構造的にも概念的にも、屋内外をゆるやかに結ぶ日本家屋特有のスペースです。
関連記事⇒「縁側の魅力とは メリット・注意点を踏まえて美しい空間をつくろう」
床の間
床の間は、主として客間に一段高く設けられ、掛け軸や生け花、美術品などを飾り、訪れた客人をもてなすための空間です。現代でも和室の象徴的存在として受け継がれています。
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日本家屋で特徴的な各部の名称③ 内装・建具

(※)写真はイメージです。弊社製品ではございません。
日本家屋で特徴的な内装や建具に関する名称を紹介していきます。
畳
畳は、稲わらなどで作った畳床(畳の芯)に、い草を編んだ畳表(表面のござ)をかぶせて仕上げたもので、日本家屋に欠かせない伝統的な床材です。
断熱性・吸湿性にすぐれ、快適な空間をつくり出します。畳の敷き方や畳縁(たたみべり)のデザインによって格式や意味を表すという特徴があり、礼節と美意識が感じられます。
引き戸(襖・障子)
引き戸は、開け閉めのスペースを取らずに部屋を仕切ったりつないだりできる建具です。襖は木で作られた骨組みに紙や布を張った仕切り戸で、障子は格子に組んだ木枠に和紙を張った建具です。
襖紙や障子紙、木枠の組み方などによって空間の印象を変えられるデザイン性が魅力といえます。
見た目の美しさと実用性を兼ね備え、どちらも日本家屋の空間づくりにおいて重要な要素です。
地窓
地窓(じまど)は、床に近い位置に設けられる小さな窓で、主に採光や通風、室内の湿気対策を目的として設置されます。
居室に設けた場合は、外部の目を遮りながら座ったまま庭を楽しめるという特徴があります。
塗り壁
塗り壁は、竹などでできた下地に土や漆喰、珪藻土(けいそうど)などの自然素材を何層にも塗って仕上げた壁です。塗り方や素材ごとに独特の風合いがあり、呼吸する壁として室内の湿度調整を助けます。
防火性・耐久性にもすぐれるため、内装だけでなく外装材としても用いられています。
建具と関係の深い尺貫法についての記事もぜひご覧ください。
関連記事⇒「尺貫法とは? 間、尺、寸の長さはどれぐらい? 家づくりで耳にする単位をマスター!」
日本家屋のデメリット・注意点

日本家屋を建てる際には、いくつかのデメリットや注意点も存在します。メリットとあわせて理解しておくと、設計時の参考になるでしょう。
平屋だと広い敷地が必要
生活空間を1フロアに収めた平屋建ての日本家屋は、2階建てに比べて広い敷地が必要になります。また、2階建てに比べて基礎部分や屋根面積が広くなるため、建築費用は高くなる傾向があります。
住宅の密集した都市部では土地の確保が難しい場合もあり、ゆったりとした平屋を建てる際は土地探しから始める必要があります。
コストについては一般的な例です。詳細は専門家や施工会社などにご確認ください。
シロアリなどの被害が発生しやすい
自然素材を多用する日本家屋は、シロアリや木材腐朽菌といった害虫・害菌による被害を招きやすい側面があります。
定期的な点検を行い、防蟻処理を施すなど、建物の寿命を延ばす対策が重要です。詳しくは専門家や施工会社などに相談しましょう。
洋風インテリアとの組み合わせが難しい場合も
日本家屋と洋風インテリアは、雰囲気を調和させにくいことがあります。特に個性的なデザインのアンティークインテリアはコーディネートが難しいかもしれません。
そのようなときは“和モダン”のインテリアスタイルに挑戦するのも一案です。「モダンな柄のラグを敷く」「カラーの障子紙に貼り替える」「直線を活かした木製の家具を選ぶ」「インテリアの色味を合わせる」といった工夫で、モダンでおしゃれな居心地の良い空間を実現できます。
和の住空間をつくったり、日本家屋の中に洋室を設けたりする場合は、DAIKENの和紙畳をはじめ『ieria(イエリア)戸襖』のように「片面が洋風ドア、片面が襖」といった製品を取り入れる方法もおすすめです。
和室や和モダンに興味がある方はこちらの記事もぜひご覧ください。
関連記事⇒「和室は必要? 知っておきたい和室の名称と利便性 おしゃれな和モダン演出のコツ」
DAIKENの『ここち和座』『ieria(イエリア)戸襖』などで活きる和風建築
日本で昔から親しまれている畳や襖などは、現代では機能性やデザイン性にすぐれた製品が生み出されています。より自分好みで快適な空間に近づけるために、アップデートされた畳や建具の導入を検討してみるのもおすすめです。
和紙の素材を活かした『ここち和座』

日本家屋は、自然素材を活かしたぬくもりある空間が魅力です。例えばDAIKENの『ここち和座 敷き込みタイプ』は、和紙をこより状に加工し、樹脂でコーティングして編み込んだ和紙畳(※)で、昔ながらの畳の心地良さはそのままに、耐久性や耐光性、抗菌性があります。懐かしさがありながら、今の暮らしに調和する“和の空間”を生み出します。
(※)機械すき和紙を使用しています。コウゾ、ミツマタ等を使用した手すき和紙ではありません。
(※)表面に撥水加工していますが、しょう油やコーヒーなど液体をこぼした場合は乾いたタオルでただちに(2~3分の間に)拭き取ってください。長時間放置すると汚れが落ちにくくなります。
洋室と和室が溶け合う『ieria(イエリア)戸襖』

『ieria(イエリア)戸襖』は、片側が洋風、片側が襖になっていて洋室と和室が隣り合う空間を違和感なく仕切れる室内ドアです。「開き戸」「引戸・片引」「3枚引違」など豊富な種類を展開しており、和洋それぞれの空間イメージを損なわないコーディネートができます。
和室側は黒縁と白縁の2種と、様々な和室に合うベーシックな2種の襖紙をご用意しています。また、洋室側は、木目のない<パウダーホワイト柄>と、明るい色からダークな色までの木目7色からお選びいただけます。
開き戸のハンドルや引き戸のデザインも含めて上手にコーディネートすれば、伝統と現代を調和させた心地良い住まいづくりができるでしょう。
まとめ
日本家屋には、自然と調和した美しいたたずまいや通風や採光を活かした快適な住環境といった特徴があります。特に玄関土間や縁側、畳などの要素は、現代の生活に合わせてアレンジされ、受け継がれてきました。
伝統美を守りつつ機能性を高めるDAIKENの『ここち和座 敷き込みタイプ』や『ieria(イエリア)戸襖』を取り入れて、日本家屋の良さを継承しつつ現代のライフスタイルに合った快適で豊かな暮らしを実現しましょう。
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監修者
志鎌のり子(しかまのりこ)
一般社団法人日本模様替え協会 理事/COLLINO一級建築士事務所代表。日本女子大学住居学科卒業、五洋建設でマンション・ビルの設計監理/内装デザインを10年担当。その後、日本ERIにて住宅検査など10年担当、設計・検査・審査した住戸数は延べ5,000件以上にのぼる。現在は部屋を「機能による空間分け」「動線」「収納」の観点から模様替えする独自のメソッドにより、機能的な部屋づくり/仕組みづくりなどを提案。書籍「家具配置のルール」のほかSUUMO、AERAwithKids、建築知識ビルダーズ、住まいの設計など著書多数。
保有資格:模様替えアドバイザー 一級建築士 建築基準適合判定資格者 住宅性能評価員 建物耐震診断士 フラット35適合証明検査員 など
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