オフィスで防音対策が必要な理由は? 音問題の原因と対処方法

※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。
オフィスの音環境は、働く従業員の集中力や生産性、さらには職場全体の快適さに大きく影響を与えます。
外部からの騒音や雑音、内部での音漏れは、業務の効率を低下させるだけでなく、機密情報の漏洩リスクや従業員間のコミュニケーションの障害にもつながります。そのため、適切な防音対策は、現代のオフィス設計において欠かせない要素といえるでしょう。
本記事では、オフィスで防音対策が求められる具体的な理由を深掘りし、音問題の原因とそれに対応する効果的な手法について解説します。
オフィスにおいて防音対策が必要な理由
オフィスで防音対策が必要な理由は以下の3つが挙げられます。
・騒音による従業員への影響の軽減
・情報漏洩リスクの低減
・コミュニケーションの円滑化
●騒音による従業員への影響の軽減
オフィスは、デスクワークが中心で集中力が求められる作業空間である一方、外部の交通騒音や内部の会話音など、多くの騒音が集まる場でもあります。これらの音は、従業員の注意力を削ぎ、業務効率の低下を招く大きな要因となります。例えば、隣席からの電話応対の声や、オフィス周辺の騒音が頻繁に聞こえる環境では、業務に対する集中力が低下するおそれがあります。そのため、オフィスの設計において防音対策を講じることは、静かで集中しやすい環境を実現するための基本的な施策となります。
●情報漏洩リスクの低減
情報漏洩は、企業の信用や競争力を損なう大きなリスクとなります。その一因として挙げられるのが、音漏れによる情報の流出です。会議室や打ち合わせスペースから話し声が外部に漏れた場合、機密情報が意図せず第三者に伝わる可能性があります。企業にとって、情報を守ることは経営戦略の一環です。そのため、防音対策を施した空間設計は、建築士や設計関係者にとっても、クライアントの信頼を得る重要なポイントとなります。
●コミュニケーションの円滑化
オフィスのワークスペースにおける円滑なコミュニケーションは、企業の活力を生み出す重要な要素です。しかし、音の反響が多い空間では、会話が聞き取りにくくなる場合があります。例えば、大型のオープンスペースや硬い素材が多用された空間では、音が反響して会話がかき消されるような現象が起きやすくなります。こうした問題への対策を空間設計に組み込むことで、企業が求める理想のオフィスづくりにつながります。
オフィスで防音対策が必要な場所の例
オフィスで防音対策が必要な場所の例として、「会議室」「応接室」「社長室」「休憩スペース」の4カ所について解説します。
●会議室

会議室はオフィスの中でも特に防音対策が求められる空間の一つです。
社内の打ち合わせや取引先企業との商談が行われるため、機密情報が飛び交う可能性が高い場所です。このような空間で音漏れが発生すると、情報漏洩のリスクが高まり、企業の信用に関わる問題につながる可能性があります。
また、会議室は従業員との個別面談などにも使用されるため、プライバシーへの配慮が必要です。評価面談や業務上の相談を行う際に、他の従業員に内容が聞こえてしまう状況では、当事者の安心感を損ねることになります。
さらに、会議室内の音響環境も重要です。音の反響が多い場合、複数人で話したときなどに会話が聞き取りづらくなり、議論がスムーズに進まないおそれがあります。近年、WEB会議が広まっていますが、吸音環境やマイク、スピーカーの環境を適切に設定していないとハウリングの問題も生じます。WEB会議を行うことを想定した会議室、会議ブースでは音の響きへの対策も考慮しましょう。
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●応接室

応接室は企業の印象に影響する重要な空間であり、防音対策が必要不可欠です。応接室では、顧客やパートナーとの交渉・打ち合わせが行われるため、会話内容が外部に漏れることは絶対に避けるべきです。商談内容が漏れた場合、信頼関係に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、応接室内の静けさの確保も重要です。外部からの騒音や執務スペースの音が応接室に届くと、来訪者に対して不快な印象を与えるだけでなく、話し合いの集中を妨げる可能性があります。
さらに、応接室の音響環境は話しやすさや聞き取りやすさに直接影響します。ビジネスの成功につながるよう、会話がスムーズに進む環境を実現することが推奨されます。
●社長室
社長室はオフィスの中でも特に高いプライバシーと遮音性が求められる空間です。社長室では、経営戦略の議論や人事に関する重要な会話が行われるケースがあるため、音漏れの発生は避けなければなりません。情報が外部に漏れて万が一競合他社に伝わった場合、企業の競争力に大きな影響を与える可能性があります。
また、社長室は社外からの重要な来客を迎える場としても利用される可能性があるため、外部の音を遮断し、静けさを確保することも求められます。
●休憩スペース

休憩スペースは、従業員が業務の合間にリフレッシュするための場所です。こうした空間では、執務スペースと休憩スペースの間で音による干渉を最小限に抑える必要があります。具体的には、休憩スペースでは従業員が自由に会話を楽しめる空間を実現しながら、執務スペースへ騒音が届くことを防ぐ配慮が求められます。
また、休憩スペース内で音が反響しすぎると居心地が悪くなる場合があります。従業員が快適に休憩スペースを利用できるよう音環境を整え、落ち着ける空間を設計しましょう。快適な休憩スペースを設計することは、従業員の満足度や生産性の向上につながります。
オフィスで音漏れする原因と対策
ここでは、オフィスで発生する音漏れの原因と具体的な対策について説明します。
●オフィスで音漏れが起こる原因
オフィスで音漏れが起こる原因は、主に「隙間からの侵入」「音の透過」「音の振動」が考えられます。
隙間からの侵入
オフィスでの音漏れの主な原因の一つは、ドアや窓、壁に生じる隙間です。これらの隙間は音が通り抜ける経路となり、音漏れを発生させます。特に、ドアの下部や窓の枠周りに隙間がある場合、外部からの音が内部に侵入したり、内部の音が外に漏れたりしやすくなります。
また、天井や床下も音が漏れるポイントです。天井からスラブ(構造体)までの空間内や、スラブからOAフロアまでの床下の配線スペースに間仕切りがない場合は、音の伝播を助長する可能性があるため注意が必要です。
音の透過
建材の種類によって音の漏れやすさに違いがあることも音漏れの要因となります。一般的に、重たく密度の高い素材は音を透過しにくい性質があります。一方で、軽い素材は相対的に音を透過しやすく、音漏れが起こりやすい環境になる傾向があります。
例えば、コンクリートは音を遮断する能力が高い一方で、木材は軽量であるため音を通しやすい性質を持っています。そのため、音漏れを防ぐには使用する素材の特性を理解し、適材適所で選定することが重要です。
音の振動
音は空気中を伝播するだけでなく、振動によって壁や床・天井などの物体を介しても伝わります。
例えば、スピーカーの低音や機械の振動が壁を伝わって隣室に響くといったケースが挙げられます。これらの振動音は、通常の空気音よりも防ぎにくいため、設計段階での工夫が求められます。
●オフィスの防音対策
オフィスの防音対策には「遮音」「吸音(調音)」「制振・防振」の3つの方法があります。
遮音
遮音とは、音漏れを物理的に防ぐための手法です。例えば、遮音性能の高いドアや壁材を採用すると、外部の音を遮断し、内部の音が外部に漏れるのを防げます。DAIKENの『防音ドアWタイプ[G35]』は、特殊気密パッキンを使用しており、ドアの気密性を確保することで、音漏れを防ぐ効果を得られます。また、壁や天井に遮音下地材『遮音パネル 18.5』を採用するのも音漏れ対策として有効です。

吸音(調音)
吸音は空間内で反響音を抑えることで、音環境を改善する手法です。吸音材を適切に設置すると、会話や機械音が空間内で響きすぎるのを防げます。DAIKENの吸音建材としては、『OFF TONE(オフトーン)』や『オトカベF-1』があります。吸音パネル『OFF TONE(オフトーン)』は、音環境の改善に役立つことはもちろん、色柄が豊富なためオフィス空間のデザイン性向上にも寄与します。また、パーテーションなどに後付けできるため、既存のオフィスで手軽に吸音性を高めたい場合にも有力な選択肢になるでしょう。

『オトカベF-1』は不燃認定を取得している吸音壁材で、高い吸音性能があるため会議室や応接室などでの使用がおすすめです。こうした吸音効果を持つ建材を用いることで、オフィス内での反響音を抑え、会話しやすい空間を実現できます。

制振・防振
制振・防振は、音の振動を抑える対策として用いられる手法です。音を伝える振動を軽減することで、壁や床を介した音漏れを防ぎます。DAIKENでは、制振・防振効果を得られる建材として、『遮音マット』や『オトユカベースN』を用意しています。『遮音マット』は木造向け、『オトユカベースN』はコンクリート造向けの床下地材で、仕上材の下に敷き込むことで制振・防振効果を発揮します。
防音性能を高めて静かで快適なオフィスの実現を
オフィスにおける防音対策は、快適で効率的な業務環境を構築するうえで欠かせない要素です。オフィスの防音性を向上させることは、従業員の集中力を高めて生産性を向上させるだけでなく、機密情報の漏洩を防ぎ企業の信頼性を守ることにもつながります。設計段階から防音の視点を取り入れ、質の高いオフィスづくりに貢献していきましょう。
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