小規模オフィスのレイアウトのポイント│快適な業務空間を作るには?

目次
小規模オフィスは、一般的に数人から数十人程度の社員が働くオフィスを指しますが、明確な定義はありません。ベンチャー企業やスタートアップ企業・サテライトオフィス・シェアオフィスなどが小規模オフィスを検討するケースが多いです。
小規模オフィスはコストを抑えながらオフィスを構えられる半面、スペースの広さが限られているため、レイアウトやオフィスデザインには工夫が必要です。本記事では、社員が快適に働ける小規模オフィスの環境をつくるために、小規模オフィスのメリット・デメリットをはじめ、デスクのレイアウトや設計のポイントについて解説します。
小規模オフィスのメリット・デメリット
小規模オフィスには、大規模なオフィスにはないコンパクトなサイズ感ならではのメリットやデメリットがあります。
●小規模オフィスのメリット
規模が小さなオフィスを構えるメリットは、主に3つあります。それぞれを詳しく解説していきます。
・費用を抑えられる
小規模オフィスはスペースが限られているため、物件にかかる敷金や賃料、内装工事・照明・空調などの設備にかかる費用を安く抑えられます。また、基本的に小規模オフィスで働く社員は少人数なので、オフィスデスクや書類棚などの家具や、パソコン・複合機といったOA機器、消耗品などにかかる費用を抑えやすいのもメリットです。
特にスタートアップ企業の場合、オフィス自体にかけられる予算が少ないケースが多いことから、低価格でオフィスを構えられるのは大きなメリットとなるでしょう。
・社員同士がコミュニケーションを取りやすい
限られたスペースで働くため、社員同士の距離が必然的に近くなります。コミュニケーションが活発化しやすくなり、モチベーションの向上につながるのがメリットです。また、報告や相談がスムーズにおこなえるため、連携が密になり、チームの結束力も高まるでしょう。さらには、コミュニケーション不足によるトラブルも防ぎやすくなります。
・空間のデザインに統一性を持たせやすい
オフィス面積が小さい分、必要なオフィス家具や設備などの数が少なく済むため、家具や内装デザインなど空間に統一感を持たせやすくなります。スペースが広く物が多い大規模オフィスと比べると、細部にまでこだわったデザイン性の高い空間を実現しやすいでしょう。
●小規模オフィスのデメリット
メリットが多い小規模オフィスですが、いくつかデメリットもあります。オフィスレイアウトや内装を検討する前に、確認しておきましょう。
・パーソナルスペースを確保しにくい
スペースが限られている小規模オフィスは、他の社員との距離が近くなります。コミュニケーションがとりやすいメリットがある一方で、プライバシーが損なわれやすく、人によっては仕事がしにくいとストレスを感じる可能性もあるでしょう。
一人当たりの適切なワークスペースを確保し「必要に応じてパーテーションで区切る」、固定席以外に必要なときに集中できる「個室やブース・間仕切りを設けたミーティングスペースを設ける」といった工夫が必要です。
・音への配慮が必要になる
社員の作業スペースと、コピー機やシュレッダーといったオフィス機器との距離に余裕を設けにくいので、中規模・大規模なオフィスと比べると会話や足音、機械音などが気になりやすくなるのが、大きなデメリットといえるでしょう。特に自席での通話やオンラインミーティングは、他の社員の集中力低下につながり、業務の支障となる可能性も考えられます。
また、近年の働き方の多様化で固定デスクを設けない「フリーアドレス」を導入している会社が増えていますが、人の往来が多くなることで、防音対策をしないオフィスは生産性に影響する恐れがあります。業務を効率化するには、防音対策が非常に大切なのです。
・収納が不足しやすい
オフィス空間が限られているため、書類やオフィス用品などの収納スペースの確保が難しくなります。収納棚よりもデスクを多く置くほうが、一度に働ける社員を増やせるのが理由の一つです。ところが、収納が不足すると、ミーティング用のテーブルなどの上に物を置くようになり、オフィス空間が雑然とした印象になりやすいので注意が必要です。収納棚をパーテーションとして使用するといった、スペースを有効活用する工夫が求められます。
小規模オフィスにおすすめのデスクのレイアウトパターン
デスクのレイアウトは、業務効率やオフィスの快適性を大きく左右します。主な3つのレイアウトパターンを参考に、居心地のよいオフィス環境をつくりましょう。
●対向型(対向島型)

デスクを向かい合わせて設置し、島のようにレイアウトする方法です。社員同士が向かい合って仕事をするため、コミュニケーションが自然にとれて、効率的に仕事を進められます。スペース効率がよいレイアウトですが、小規模オフィスで対向型を採用する場合は、通路幅が狭くなり過ぎないように配慮することが大事です。特に、椅子の後ろにスペースが十分にない場合、通り抜けしにくくなり、快適性が損なわれてしまいます。
●同向型

デスクを一方向に向けて、横並びにレイアウトする方法です。社員同士が対面しないため、視線を気にせずに集中できるオフィス環境をつくれます。一方、対向型よりもコミュニケーションがとりにくいのがデメリットといえます。グループワークにも向いていません。
●背面型

小規模オフィスのレイアウト・設計のポイント
小規模オフィスを快適な空間にするために、必要なスペースの広さや、レイアウト・設計のポイントを押さえておきましょう。
●スペースや動線を工夫して動きやすく、使いやすいレイアウトにする
・一人当たりの必要面積を確保する
厚生労働省が定める「事務所衛生基準規則」では、1人当たりに必要な最低限の広さを下記のように規定しています。
-
事業者は、労働者を常時就業させる室(以下「室」という。)の気積を、設備の占める容積及び床面から四メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者一人について、十立方メートル以上としなければならない。
引用:「事務所衛生基準規則」(e-Gov法令検索)
上記規定から必要な床面積を計算すると、仮に天井高を2.5メートルとした場合は約1.2坪(約4平米)以上となります。ただし、あくまでも計算上の最低限必要な面積のため、快適に仕事ができる広さとはいえません。会社の規模や業種などによって異なりますが、仕事のしやすさを考慮すると、一人当たり2坪(約6.6平米)~4坪(約13.2平米)程度の広さを確保するのが望ましいでしょう。
・適切な量の収納を設ける
オフィスの快適性を保つには、十分な収納スペースの確保と適切な配置計画が欠かせません。必要な物がすぐに手に取れるように、設置場所と収納のサイズを決めることで、書類や備品、消耗品のストックが整理整頓しやすくなり、使い勝手も向上します。
・ゾーニングを意識する
小規模オフィスはスペースが限られているため、空間をどのように効率的に活用するかが重要な課題です。しかし、パーテーションや壁で区切ってしまうと、圧迫感が出てしまうことがあります。そこで、天井や床材を張り分けて視覚的にゾーニングすれば、空間を狭めず、空間を区切ることができるでしょう。さらに、メリハリが効いて奥行き感を演出でき、おしゃれな雰囲気も高まるでしょう。
効果的にゾーニングするには、適切な建材の選定が大切です。高級感のある天井を演出する『グラビオルーバーUS』や、吸音性に優れた『ダイロートン』を採用することで、デザイン性と音響環境の双方を向上させた、理想的なオフィス空間がつくれます。

●音に配慮して集中しやすい空間をつくる
・室内の防音性を高める
オフィスの環境づくりで、特に重要な要素となるのが、音への配慮です。防音性を高めることで、社員が集中して業務をおこなえる環境が整います。
防音対策には、「遮音」と「吸音(調音)」の2つの方法があります。
遮音は、音漏れを小さくすることです。オフィスを新築・改装する際は、壁や天井等に遮音下地材を入れたり、遮音性能の高いドアなどを使用したりするなど、外部からの音や部屋間の音を遮断しましょう。既存のオフィスで遮音性を高める場合は、防音効果に優れたパーテーションが役立ちます。音の伝播を抑えながら、プライバシー性を高めることができます。
一方、吸音(調音)は、音の響きを小さくすることです。オフィスを新築する場合は、タイルカーペットを敷いたり、天井に吸音天井材を使用したりする対策が考えられます。また改装する場合は、後付けできる吸音パネルや、室内に置ける吸音材などを採用するのがおすすめです。タイルカーペットにより移動の際の足音や椅子を引く際の音などが吸収されたり、吸音材によってWEB会議時の声の聞き取りやすさが向上したりと、オフィス全体の音の反響を和らげる効果が期待できます。
遮音と吸音をうまく組み合わせることで、快適で生産性が向上する業務空間を実現できます。
・ミーティングスペースを用意する
小規模オフィスで快適に仕事をするには、独立したミーティングスペースが必要です。ミーティング中の声や音が、他の社員に聞こえないように配慮することで、業務に集中できる環境をつくれます。ミーティングをする際に、他の社員に気兼ねする必要がなくなるのも、大事なポイントです。また、機密情報やセンシティブな内容を扱う場合に、他の社員や来客者などへの情報漏れを防ぐ意味でも役立ちます。
快適な小規模オフィスを実現するためにレイアウトにこだわろう
快適で効率的な業務環境を小規模オフィスで実現するには、デスクの配置や収納スペースの確保、防音対策など、さまざまな要素を考慮する必要があります。
オフィス空間をつくるアイデアが満載のカタログをご用意していますので、ぜひ参考にしてみてください。
お役立ちカタログ「5つのキーワードでつくるオフィスづくり」を資料請求する
建材選びのお悩みやご要望、公共・商業施設の建築・設計に役立つ情報収集に役立つサイト『D-TAIL』もおすすめです。会員登録のうえ、ご活用ください。
●本記事に関連する製品
・グラビオルーバーUS
・ダイロートン
・遮音パネル
・防音ドアWタイプ[G35]片開き
・サウンドトロン
・OFF TONE(オフトーン)
おすすめ製品