小大(こお)建築設計事務所に学ぶ、”和紙畳“で醸し出す和の風情

界 秋保(星野リゾート)|宮城県
界 玉造(星野リゾート)|島根県
小大建築設計事務所は、“自然素材”や“手仕事”に重きを置いた和の風情に溢れる建築を提案している。こうした表現に畳はもってこい。ただし、耐久性や日焼け、費用面などを考慮すると、いぐさの畳は採用しにくい。そのため、近年では“和紙[※]畳”として知られる『ダイケン健やかおもて』を採用している。
お話を聞いた方々
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(写真左)
株式会社小大建築設計事務所
小川 恭平 氏(写真右)
株式会社小大建築設計事務所
石川 岳 氏
自然豊かな場所に立地する星野リゾートの温泉宿「界 玉造」や「界 秋保」を担当する小川恭平氏は語る。
「宿泊施設は不特定多数の人が訪れる場所。“和紙畳”は耐久性に優れ、安心して使えます。なかでも『清流』は織がきめ細やかで、光を柔らかく拾ったときの雰囲気は客室にふさわしい。色柄の豊富な点も魅力的です。『界 秋保』では、地元に伝わる伝説“紺碧の淵”を想起させる色で窓際を彩りたかったので、“和紙畳”の色も深い青色としました[①]」。
「界 玉造」でも、窓際の床に「清流 灰桜色」を、ソファのある床に「清流 若草色」を敷いた[②]。家具や造作材、仕上げ材(珪藻土クロス)との相性を考えながら、場所ごとに色柄を切り替え、適度に変化をもたせた。

①「界 秋保」清流カクテルフィット〈24 栗色×藍色〉
 

②「界 玉造」左:清流〈14 灰桜色〉 /右:清流〈16 若草色〉
一方、“1000年後も日本人の感性と住まう豊かさを”をテーマに掲げ、マンション・リノベーションを主対象に設計サービスを展開する「一畳十間」でも“和紙畳”は採用されている。
設計を担当する石川岳氏は、
「性能に加え、『清流 若草色』は光が当たるときの畳の目の陰影が美しく、既存の躯体と調和。床下収納のある小上りの床材としても最適です[③]。実際、事務所にあるギャラリー「一畳十間」にも“和紙畳”を敷いていて、私たちも働きながら畳の上でくつろぐなど、心地よい時間を過ごしています」と語る。
和の風情に溢れた豊かな空間を表現してみたい……そんなとき、『ダイケン健やかおもて』は最適な“素材”である。

③「輪の家」清流〈16 若草色〉
※大建工業の“和紙畳”は、機械すき和紙を使用。コウゾ・ミツマタなどを使用した手すき和紙ではございません。
「建築知識」2025年4月号 掲載
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