システム天井の種類や特徴は? メリット・デメリット、おすすめの天井材

※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。
近年、建築物の天井設計において、規格化された「システム天井」を導入するケースが増えています。システム天井は、標準化された部材を使用することで、省施工・省コストを実現しているのが特徴です。
本記事では、システム天井と在来天井(在来工法天井)との違いやメリット・デメリット、また天井材の種類について紹介します。
システム天井とは
まずシステム天井の概要や特徴について説明します。従来までの在来天井との違いを理解することで、天井の計画に活かしてみましょう。
●システム天井はどのような天井?
システム天井とは「吊り天井」の一種で、あらかじめ工場で製造された天井部材を現場で組み立てるのが特徴です。具体的には、天井材を金具やバーで構造体から吊るす構造となります。この方式により、建設現場での作業が効率化され、品質の安定した施工が可能になります。
システム天井の主要な特徴としては、機能性の高さとメンテナンスのしやすさが挙げられます。建物の構造部材と天井部材の間に空間を確保することで、配線や照明器具、空調ダクトの設置がしやすくなり、天井設備のレイアウト変更も容易です。また近年は、地震対策の観点からも耐震仕様のシステム天井が注目されており、天井の安全性と信頼性が向上しています。
●システム天井と在来天井(在来工法天井)の違い
「システム天井」のほかにも天井の種類はあり、代表的なものが「在来天井(在来工法天井)」です。
在来天井とは、構造体の骨組みに石膏ボードなどの仕上材を直接張り付けて施工する天井です。在来天井は、システム天井と同じく吊り天井の一種であり、低層の住宅から商業施設に至るまで幅広い建築物に採用されています。施工方法のシンプルさやコストパフォーマンスの良さから、天井の仕上工法として広く普及しています。
しかし、在来天井にはシステム天井に比べて、照明や空調などの設備の移動が難しいというデメリットがあります。設備の位置を変更する際に、仕上材や骨組みを外す必要があり、手間がかかることが理由です。
一方で、システム天井は部材が規格化されているのが特徴で、これにより現場での施工が効率的になり、メンテナンスやレイアウト変更が容易に行えます。また、照明器具や空調設備などの配置変更にも柔軟に対応できるため、デザインや空間用途の変化に適応しやすいのも大きなメリットといえます。
システム天井の種類
ここでは、主なシステム天井の種類について紹介します。建物の構造や部屋の使用目的に応じて、適切なタイプを選びましょう。
●グリッドタイプ

グリッドタイプは、天井の下地材が格子状に配置されているシステム天井です。天井パネルに照明や空調などの設備が設置されているため、メンテナンスやパネル交換がしやすいのが特徴です。
また、レイアウト変更にも柔軟に対応でき、仕上材の取り付けが比較的簡単に行えます。さらには、ラインタイプと比較して地震等の際に仕上材が落下しにくいため、耐震性を求める場合にもおすすめです。
●ラインタイプ

ラインタイプのシステム天井は、直線ライン上に照明や空調、スピーカーなどの設備が配置されているタイプです。仕上材と設備を一体化した状態で配置するのが特徴で、ラインが視覚的に引き立ち、モダンな印象を演出できます。
ただし、照明器具と仕上材が一体化しているため、向きの変更等は難しくなる点には注意しましょう。また、グリッドタイプに比べるとパネルの落下リスクがあることから、状況に応じた計画が求められます。
システム天井のメリットやデメリット
ここでは、システム天井のメリットやデメリットについて説明します。在来天井に比べて多くのメリットがあるものの、デメリットもあるためしっかり理解して適切な天井を選択しましょう。
●システム天井のメリット
システム天井は、構造の特性上パネルの交換や点検がしやすく、メンテナンスが簡単に行えます。また、使用目的や環境に合わせて、天井材だけでなく、照明器具やスピーカーなどの天井設備の変更を容易に行えます。柔軟な構造のため、空間用途の変更や設備の再配置に適応しやすく、改装や設備の追加が比較的スムーズに行えます。
●システム天井のデメリット
在来天井と同じくシステム天井も吊り天井の一種であるため、大きな地震の際には落下のリスクがあります。そのため、安全面に考慮した耐震仕様の部材選定やブレース(筋交い)の設置が重要です。
また、システム天井はあらかじめ指定された部材を組み合わせる方式のため、自由に部材を選べないことが多いです。こういった事情から、防音性や断熱性などの性能を高めることが難しいケースがあります。ただし、設計段階で性能の優れたシステム天井を選定すれば、これらのデメリットを軽減できることもあります。
システム天井におすすめの天井材
ここでは、システム天井におすすめの天井材について取り上げます。現在多くの種類が展開されていますが、なかでも『ダイロートン』がおすすめです。
●『ダイロートン』の特長
DAIKENの『ダイロートン』は、優れた吸音性能と環境配慮を実現した天井材です。表面に多数の吸音穴が設けられており、耳障りに感じやすい中・高音域の音を効果的に抑えることで快適な空間を作り出します。製鉄時に発生する副産物「スラグ」を繊維化したロックウールを活用しているため、環境に配慮した建築資材でもあります。
また、DAIKENでは『ダイロートン』を使用したシステム天井を提供しており、オフィスや商業施設等の天井としておすすめです。次項では、『ダイロートン システム天井』の特長や製品ラインアップについて紹介します。
●DAIKENのシステム天井『ダイロートン システム天井』の特長
DAIKENの『ダイロートン システム天井』は、標準化されたモジュールと規格化された部材を使用し、省施工とコスト削減を両立したシステム天井です。空間に応じて「グリッドタイプ」と「ラインタイプ」から選べるため設計の自由度が高く、多様な用途に対応します。
『クロスシリーズ グリッドタイプ』

『クロスシリーズ グリッドタイプ』は、スチールTバーを格子状に組んでからダイロートン・グリッドを落とし込む工法です。天井板の4辺をTバーに乗せこんでいるため落下しにくく、耐震性に優れています。また、天井パネルに照明や空調設備を設置しやすく、レイアウトの変更にも柔軟に対応できます。
『ラインシリーズ ラインタイプ/長尺ラインタイプ』

※写真は『システム天井ラインシリーズ ラインタイプ』
『ラインシリーズ ラインタイプ/長尺ラインタイプ』は、設備がライン上に配置されることから、空間がすっきりした印象に仕上がります。照明や空調といった付帯工事が合理化されることで、スピーディな施工が実現するのも特徴です。デザイン性を保ちながら、必要な設備をスリムに配置できるため、デザインを重視する空間に適しています。
また『長尺ラインタイプ』であれば、長さ3,000mm程度のダイロートンで仕上げるため継ぎ目が少なくなり、さらにすっきりとした天井になります。
システム天井で機能とデザイン性を両立させよう
システム天井は、省施工・省コストといった特徴を持っており、デザイン性や機能性にも優れた天井材と組み合わせることでより魅力的な建材になります。オフィスや商業施設といった意匠性と機能性の両立が求められる建築物の天井においては、有力な選択肢となるでしょう。一方、耐震性や選択できる部材の制限といった注意点もあるため、建築士や設計関係者の方はメリット・デメリットを踏まえて施主へ提案するように心がけましょう。
本記事で取り上げた『ダイロートン システム天井』は、下記のカタログでより詳しく説明していますので、気になる方はぜひご請求ください。
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