木目天井を公共施設に取り入れるメリットや効果・設計のポイント

市役所の内装設計

※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。

公共施設では、多様な利用者が安心、快適に過ごせる空間づくりが求められます。近年は、温かみのある空間を演出できることから、木目を取り入れた天井仕上げも選択肢の一つとなっています。

公共施設に木目天井を採用する場合は、不燃性や維持管理性、照明計画とのバランスなど、設計段階で検討すべき事項も少なくありません。

この記事では、公共施設に木目天井を採用するメリットや設計時のポイント、注意点を整理するとともに、建材選定の考え方について解説します。

公共施設に木目天井を取り入れるメリット・効果

木目天井は、意匠性を高めるだけでなく、利用者の心理面や空間体験にも影響を与えます。ここでは、公共施設で木目天井を取り入れる主なメリットや効果を紹介します。

●リラックス効果を得られる

木材や木目柄を壁や天井などの内装に取り入れることで、利用者の心理的な緊張を和らげ、落ち着いて過ごしやすい空間を演出できます。木材の香りにはストレスを軽減する作用があるほか、木目などの視覚的な要素にも、脳の活動を鎮静化させる効果があります。

天井は壁や家具とは異なり、視線に入りやすく、大きな面積を占める部位です。そのため、天井に木目を採用することで、空間全体の印象を自然に変えられます。利用者が無意識のうちに木のぬくもりを感じやすくなり、滞在時間の長い公共施設では、快適性の向上にもつながります。

参考:
建物の内装木質化のすすめ ─科学的データが示す内装木質化の効果─」(林野庁)

●「バイオフィリックデザイン」を実現できる

バイオフィリックデザインとは、人間が本能的に持つ「自然とつながりたい」という欲求に着目し、建築やインテリアへ自然の要素を取り入れる設計手法です。

公共施設では、利用者の年齢や利用目的が幅広いため、多くの人が心地良いと感じられる空間づくりが求められます。木目天井を採用すると、木の色合いや木目の模様が視界に入り、自然とのつながりを感じやすい環境をつくれます。その結果、安心感や快適性、幸福感の向上につながる効果が期待できます。

バイオフィリアとは? オフィスで自然を感じられるバイオフィリックデザインの魅力

●親しみやすさや高級感のある空間を演出できる

木目天井は、公共施設に温かみや上質感を与え、色味や木目の表情によって空間全体の印象を大きく左右します。

例えば、明るい色調の木目を採用すると、柔らかく親しみやすい雰囲気を演出しやすくなります。一方、濃い色調や落ち着いた木目は、重厚感や高級感のある空間を演出できます。

また、コンクリートや金属、ガラスなどの無機質な素材と組み合わせることで、木のぬくもりを際立たせながら、洗練されたデザインに仕上げられます。

公共施設における木目天井の設計ポイント

木目天井の魅力を十分に引き出すためには、空間全体との調和や利用環境を踏まえた設計が重要です。ここでは、木目天井の設計におけるポイントを解説します。

●圧迫感を軽減する

木目天井は空間に温かみをもたらす一方で、採用方法によっては利用者に圧迫感を与える可能性があります。特に天井高が低い空間や小規模な部屋では、木目の色味や柄の強さによって天井面の存在感が増し、白い天井材と比べて視覚的な重さを感じやすくなります。

そのため、空間のスケールに応じて、木目の明度や色調を調整することが重要です。天井高が十分に確保されていない場合は、明るい色調の木目を選ぶことで、軽やかな印象を与えやすくなります。吹き抜け天井や大空間では、中間色から濃色の木目を採用することで、空間全体に落ち着きや一体感をもたせられます。

●明るさを確保する

木目天井を採用する際は、室内の明るさを十分に確保できるよう照明計画と併せて検討する必要があります。木目仕上げは、一般的な白色の天井材と比較して光の反射率が低く、同じ照明条件でも空間がやや暗く感じられる場合があるためです。

特に受付や待合スペース、多目的ホールなど、利用者の快適性や視認性が求められる公共施設では、自然採光と人工照明を組み合わせた計画が重要になります。窓からの採光を積極的に取り入れるとともに、ダウンライトや間接照明などを効果的に配置することで、木目の質感を引き立てながら十分な照度を確保できます。

●外とのつながりを意識する

公共施設では、建物内部だけでなく、エクステリアなどの外部空間との連続性を意識した設計も重要です。室内に加えて軒天にも木目天井を採用することで、屋内と屋外が緩やかにつながる開放的な空間を演出できます。

一方で、屋内と屋外では建材に求められる性能が異なります。軒天は雨風や紫外線、温湿度変化の影響を受けるため、耐候性や耐久性を備えた専用建材を選定することが不可欠です。

軒天を木目にするメリット・デメリットは?採用時の注意点や施工事例

公共施設に木目天井を採用するときの注意点

木目天井は意匠性や快適性を高める一方で、公共施設においては法規や維持管理性を踏まえた建材選定が欠かせません。木目天井を採用する際の注意点を把握しておきましょう。

●不燃化への対応

公共施設は多数の利用者が出入りするため、火災時の安全性を確保する観点から、建築基準法による内装制限が適用される場合があります。そのため、木目天井を採用する際は、デザインだけでなく、不燃性能を満たしているかを確認することが重要です。

内装制限の対象となる建築物では、用途や規模、居室の条件などに応じて、天井に不燃材料や準不燃材料などの使用が求められます。公共施設は用途が多岐にわたるため、建築基準法や関係法令を確認しながら適切な建材を選定しなければなりません。

参考:
建築基準法第三十五条の二」(e-gov 法令検索)

建築基準法における内装制限とは?対象となる建築物や緩和の要件

●耐久性の確認

公共施設は、長期間にわたって利用されることを前提としているため、天井材にも高い耐久性とメンテナンス性が求められます。初期のデザイン性だけでなく、経年変化を考慮した建材選定が重要です。

天然木を使用する場合は、湿度や温度の変化による反りや割れ、紫外線による変色・退色などが生じる可能性があります。また、空調設備や点検口周辺のメンテナンス作業によって天井材へ負荷がかかる場面も少なくありません。

そのため、施設の用途や維持管理計画を踏まえ、メンテナンスしやすい製品や、寸法安定性に優れた建材を選定することが大切です。

公共施設におすすめの木目天井材

DAIKENでは、質感に優れた木目天井材を複数取り扱っています。ここでは、公共施設におすすめの3つの製品について特長を解説します。

●グラビオ羽目板Ⅴ

グラビオ羽目板Ⅴ』は、木目の立体感や豊かな質感を表現した天井材です。木のぬくもりを感じられる意匠性と不燃性能を両立しており、庁舎や文化施設、教育施設など幅広い用途で採用しやすい製品です。

濃色から明るい色調まで豊富な樹種バリエーションがあり、古材柄もラインアップされているため、建物のコンセプトや空間デザインに合わせた選定ができます。また、壁材としても施工できるため、壁と天井を同じデザインで統一すれば、空間全体に一体感をもたせることが可能です。

基材には不燃材料である『ダイライト』を採用しているため、天然木で懸念される反りや割れが生じにくく、長期的な意匠性の維持も期待できます。公共施設で木質感とメンテナンス性の両立を図りたい場合に適した建材です。

軒天に『ダイライト軒天羽目板』を採用することで、屋内から屋外まで木目デザインを連続させた設計にも対応できます。

グラビオ羽目板Ⅴ

グラビオ羽目板Ⅴ 古木柄

ダイライト軒天羽目板

●グラビオUB

グラビオUB』は、不燃壁材として開発された製品ですが、3mm厚製品のみ、不燃天井材としての施工にも対応しています。壁と天井を同一デザインで構成でき、空間全体に統一感を持たせたい公共施設にもおすすめです。40種類の豊富な木目柄を揃え、さまざまな木質空間にもマッチします。

グラビオUB

●グラビオルーバーUS

グラビオルーバーUS』は、天然木突板の質感に加え、ルーバー形状による立体感を演出できる不燃造作材です。フラットな天井とは異なる陰影が生まれるため、公共施設のエントランスやホールなど、印象的な空間づくりにおすすめです。

ルーバーのリズムが天井面に奥行きを与えることで、木目の表情をより魅力的に見せられます。空間のアクセントとして部分的に採用するほか、天井全面へ施工してダイナミックなデザインを実現することもできます。

グラビオルーバーUS

木目天井の施工事例

ここでは、実際にDAIKENの木目天井材を採用した公共施設の施工事例を紹介します。

※製品は採用当時のものです。生産中止品も掲載されている場合があります。

●ファミリースイート松阪中央 別邸かがり/三重県

ファミリースイート松阪中央 別邸かがり/三重県

【採用製品】
天井材:グラビオUB 3mm〈ダルブラウン柄〉
 
設計:地主建築設計事務所
施工:株式会社松本工務店

●渚の交番 SEABRIDGE/広島県

渚の交番 SEABRIDGE/広島県

【採用製品】
床材:コミュニケーションタフ DW〈オーク(クリア色)〉〈オーク(アンバー色)〉〈チェリー〉〈栗〉
天井造作材:グラビオルーバーUB ボルト固定式〈ライトオーカー柄〉〈トープグレー柄〉〈UB28〉〈UB30〉
天井材:グラビオUB〈UB28〉
※『コミュニケーションタフシリーズ』はレンガ張り、乱張りが標準施工です。本物件は、工事業者・納材店と免責事項の取り交わしを行い、ご採用いただきました。
 
設計:環境計画スタジオ 一級建築士事務所 建築家/一級建築士 橋本 健 氏

●横手市立体育館/秋田県

●岡山市新庁舎/岡山県

岡山市新庁舎/岡山県

【採用製品】
天井造作材(屋内):グラビオルーバーUB 直付式(特注品)
軒天井材(屋外):ダイライト軒天羽目板(特注品)
 
設計:山下設計・丸川建築設計共同企業体

●倉敷ふれあいの丘公園(交流棟)/岡山県

倉敷ふれあいの丘公園(交流棟)/岡山県

【採用製品】
軒天井材:ダイライト軒天30〈トープグレー柄〉
 
設計:丸川・リスプ設計共同体〔株式会社 丸川建築設計事務所/有限会社 リスプ環境・都市建築研究所〕

木目天井の設計ポイントを押さえて効果的に活用しよう

公共施設において木目天井の採用は、温かみや上質感をもたらすだけでなく、利用者の快適性や空間体験の向上にも貢献します。一方で、公共施設では不燃性や耐久性、維持管理性など、多角的な視点から建材を選定することが求められます。

天井は室内でも大きな面積を占めるため、木目の色味や柄、照明計画、壁材や床材との組み合わせによって空間全体の印象が大きく変わります。施設の用途や利用者層を踏まえながら、建物全体のコンセプトに適した木目天井を計画することが重要です。

設計を進める際には、製品ごとの性能や施工方法、納まり、対応する不燃認定なども事前に確認しておくことで、設計品質の向上や円滑なプロジェクト進行につながります。DAIKENでは、木目天井をはじめとした不燃建材の情報をまとめたカタログをご用意していますので、ぜひご確認ください。

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さらに、施設設計や建材選定に関する最新情報を継続的に収集したい場合は、プロ向け情報サイト『D-TAIL』への登録もおすすめです。製品情報や設計コラム、施工事例、各種カタログなど、施設設計に役立つ情報を効率良く収集できるため、日々の業務にぜひお役立てください。

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