オフィスに木目を取り入れる効果│設計時のポイントは?

オフィス木目

※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。

働き方の多様化やウェルビーイングへの関心が高まる中で、オフィス空間に木目(※)を取り入れる設計が注目を集めています。木の質感や色味は、単なる内装の装飾ではなく、働く人の心理面や企業のブランディングにも関わる重要な要素です。

本記事では、木目がもたらす効果から設計時に押さえておきたいポイント、木目の採用に適した場所、施工事例まで幅広く解説します。

※「もくめ」には「木目」と「杢目」がありますが、本記事では「木目」で統一しております。

オフィスに木目を取り入れることで得られる効果

オフィスに木目を取り入れることで、さまざまな効果が期待できます。ここでは、木目の採用によるオフィスへの好影響について解説します。

●リラックスできる空間になる

木目を取り入れた空間は、視覚的な温かみと落ち着きを生み出し、オフィスにおけるリラックス環境の形成につながります。

木目の自然な模様や色味は、視覚的刺激として過度に強すぎず、神経を穏やかにする効果があるとされており、これは従業員の心理的なストレスの軽減にもつながるでしょう。特に長時間のPC作業やミーティングなどが続く執務環境では、木目の持つやさしさにより従業員のパフォーマンス向上効果が期待できます。

●空間の雰囲気が良くなる

木目の採用により、空間の質感や印象は大きく変化します。スチールやプラスチックなど無機質な素材で構成されたオフィスに、木目のアクセントを加えると視覚的なバランスが取れ、空間全体が柔らかく感じられるでしょう。

このようなデザイン要素は、自然素材ならではの安心感や落ち着きをもたらす視覚的・触覚的効果があります。人は木質空間に居心地の良さを感じる傾向があります。そのため、従業員の空間への愛着や利用意欲にも好影響を与え、結果的に働く環境の満足度を高めることが期待できます。

●ブランディング効果が期待できる

木目が持つ自然な風合いは、温かみ・柔らかさ・安心感といった感情を視覚的に喚起するため、ブランディングにもポジティブな効果をもたらすとされています。

来訪者が最初に触れる空間に木の温もりがあると、「高級感」や「見栄えがする」といった感情につながり、空間に対する愛着が生まれやすくなります。そのため「人を大切にしている」「自然や環境への配慮がある」といったポジティブな印象を持たせやすくなります。これは社内外に向けた価値観の可視化としても機能し、ブランドの信頼性や親しみやすさの向上につながるでしょう。

⇒「今さら聞けない内装木質化とは?注目の背景とポイントを解説
⇒「【実証実験】シェアオフィスの個室ブースの内装木質化

参考:「建物の内装木質化のすすめ─科学的データが示す内装木質化の効果─」(林野庁)

オフィスに木目を取り入れる際のポイント

木目はやみくもに使用すれば良いわけではなく、ポイントを押さえて採用することが重要です。ここでは、設計時に意識したいポイントを紹介します。

●木材率の意識

オフィス内に木目を取り入れる際、意識したいのが「木材率」です。木材率は全内装面に占める木材の面積比率を示すもので、人の心理的な快適性に影響を与える要素とされています。

内装の木材率の違いによる見た目の印象を調査したところ、木材率が20%程度の場合に「感じの良い」空間と認識する、という結果が出ています。ただし、木材が多ければ多いほど印象が良くなるわけではない、ということもわかっており、空間の用途等を踏まえてバランス良く木目を取り入れる必要があります。

●内装制限の遵守

オフィスに木目を取り入れる際には、内装制限に対する配慮も欠かせません。特定の規模や用途の建築物では、天井や壁に準不燃・不燃材の使用が義務付けられており、木製の素材をそのまま使うことが難しいケースもあります。そのため、木目調の化粧シートが貼られた不燃パネルや、表面処理された耐火性能のある建材を選ぶ必要があります。

設計の初期段階で建物の用途や地域、階数、構造種別に応じた内装制限の確認を行い、法令に適合する建材を選定しましょう。内装制限について曖昧であれば、以下の記事を確認してください。

⇒「建築基準法における内装制限とは?対象となる建築物や緩和の要件

●耐久性・メンテナンス性の確保

日々使用されるオフィス空間では耐久性とメンテナンス性も重視すべき視点です。

本物の木材は質感に優れるメリットがある一方で、傷や汚れ、水分に弱いというデメリットもあります。UV塗装や樹脂シート加工が施された木目調パネルやリペアが容易な素材を選ぶと、長期間にわたり美観と機能性を維持しやすくなります。

初期コストだけでなく、将来的な維持費や補修のしやすさも含めた材料選定が、設計者としての力量を問われる部分と言えるでしょう。

オフィスに木目を取り入れる場合におすすめの場所

木目は空間の印象を大きく左右します。効果的な場所に採用し、オフィスの快適性とデザイン性を高めましょう。

●エントランス・受付

木目を取り入れるのに効果的な場所の一つがオフィスのエントランスや受付です。ここは来訪者が最初に目にする空間であり、企業の第一印象に影響する「顔」となる部分です。

木目を用いると温かみや品位を感じさせる演出が可能になり、企業の価値観や姿勢を視覚的に伝えることができます。間接照明との組み合わせにより木目の陰影を強調すれば、印象深く上質な空間をつくれるでしょう。

●会議室・応接室

会議室・応接室では、社内や社外を問わず重要な打ち合わせが行われることがあり、堅すぎず、かつ信頼感のある雰囲気が求められます。

木目はその両立を可能にし、落ち着いた雰囲気の中で議論や商談が行いやすくなります。壁面の一部やテーブルの天板など、触れる・視線が集まる部位に木目を使用すると、空間に自然な緊張と親しみやすさを加えることが可能です。

●執務スペース

執務スペースでは、集中力を高めつつ過度な緊張を和らげる環境づくりが求められます。デスクまわりのパーテーションや書類棚、ロッカー、キャビネットなどの収納家具に木目を取り入れることで、自然な形で木質化を図れます。

また、天井や柱周りにアクセントとして木目を活用すれば、執務室全体のトーンを調和させることが可能です。木目により過度な緊張が和らぎ、従業員間でのコミュニケーションも取りやすくなるでしょう。

●リフレッシュスペース

昼食や休憩に使われるリフレッシュスペースは、従業員が気分転換できるような空間にすることが望ましいです。

床材や腰壁、家具などに木目を使用することでカジュアルな雰囲気になり、利用者の心身をリフレッシュさせる効果が見込めます。木目によって視覚的に安心感を与えることで、短時間でも質の高い休息を取れるようになるでしょう。

オフィスに木目を取り入れたい場合におすすめの建材

オフィス空間に木目を取り入れる際には、意匠性だけでなく防火性や耐久性、音環境への配慮など、多角的な観点からの建材選定が重要です。ここでは、意匠性や機能性に優れたDAIKENの木目建材を紹介します。

●グラビオフィットUB

グラビオフィットUB』は不燃性能を備えた壁材でありながら、リアルな木目の風合いを再現しています。木口の四方巻込み仕様により目地がシャープに仕上がるため、スタイリッシュさを演出したい空間にもおすすめです。表面がフラットで清掃性も高く、清潔感を保ちやすい点も魅力です。

●グラビオUS

グラビオUS』は突板仕様の不燃壁材で、天然木ならではの味わいが魅力です。スギやヒノキをはじめ7種類の樹種バリエーションがあり、空間のテイストに合わせて選択できます。軽量で柔軟性があり、手のこで切断できる施工のしやすさも特長です。

●グラビオルーバーUS

グラビオルーバーUS』は不燃性能のある突板造作材で、アクセントとして使用することで空間に高級感を加えてくれます。壁や天井にフラットな建材のみを使うと、反響音が大きくなり会話が聞き取りにくくなることがあります。そういった空間にルーバーを採用することで、音の拡散や吸音効果が期待できるため、会議室や集中したいスペースなど、音環境に配慮したい場所への採用もおすすめです。

●コミュニケーションタフ バイオリーフ DW

コミュニケーションタフ バイオリーフ DW』は、意匠性と耐久性を備えた土足対応のフローリングです。汚れや傷、水濡れに強く、長期的なメンテナンス性にも優れています。環境に配慮したバイオマス塗装を施しているため、社会的な貢献をブランドメッセージとして打ち出したい企業にもおすすめです。

●グラビオ羽目板V

グラビオ羽目板V』は、木目の立体感ある風合いが魅力の不燃天井材です。天井だけでなく壁にも使用でき、同じ製品を天井と壁に貼ることで、統一感のある空間を演出できます。

木目を取り入れたオフィスの施工事例

ここでは、DAIKENの木目建材を取り入れたオフィスの事例を紹介します。実際の施工例を見ることで、設計の参考にしてください。

※製品は採用当時のものです。生産中止品も掲載されている場合があります。

●松本工業株式会社 新社屋/静岡県

木目を取り入れたオフィス

【使用製品】
床材:コミュニケーションタフⅡ DW(地域産材対応突板)<富士市産檜>
天井材:グラビオ羽目板V<ティーブラウン柄>
軒天井材:ダイライト軒天羽目板<ティーブラウン柄>
 

木目を取り入れたオフィス

【使用製品】
床材:コミュニケーションタフⅡ DW(地域産材対応突板)<富士市産檜>

「松本工業株式会社 新社屋」の施工事例を見る

●PFCミートセンター住之江/大阪府

木目を取り入れたオフィス

【使用製品】
天井造作材:グラビオルーバーUB 直付式<ライトオーカー柄>

「PFCミートセンター住之江」の施工事例を見る

●株式会社AQ Group 本社屋/埼玉県

木目を取り入れたオフィス

【使用製品】
天井造作材:グラビオUS(特注サイズ)<US12(ヒノキ)>
※設計・施工業者様の発案・工夫により、施工されています。

「株式会社AQ Group 本社屋」の施工事例を見る

●鬼塚電気工事・鬼塚産業 本社ビル/大分県

木目を取り入れたオフィス

【使用製品】
床材:コミュニケーションタフ DW<杉>
撮影:©masayo momijiya
 

木目を取り入れたオフィス

【使用製品】
床材:コミュニケーションタフ DW〈杉〉
撮影:©masayo momijiya

木目を取り入れて快適なオフィス空間を設計しよう

オフィスに木目を取り入れることは、単なるデザインの演出にとどまらず、従業員の心理面や空間全体の印象、さらには企業のブランドイメージにまで影響を与え得る重要な設計要素です。

建築士や設計者には、木質化の意図を構造的・法的・心理的な視点で理解し、適切に活用する力が求められます。素材を「選ぶ」だけでなく「活かす」視点を持つことが、空間の質と設計者としての価値を高める鍵となるでしょう。

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