進化するデータセンター設計 ~最新事例から設計ノウハウ・社会課題への対応まで~

進化するデータセンター設計

※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。

情報社会を支える基盤インフラであるデータセンター(DC)。AI時代を迎え、増加の一途を辿るデータセンターの設計について、市場動向から最新技術、設計時のポイント、課題と対応策などを技術要素に焦点を当てながら、幅広く解説します。登壇者は25年以上データセンターの構築や設計・運用支援に携わってこられた、篠原電機株式会社 ITソリューション事業部の佐伯尊子氏です。

  • お話を聞いた方

  • 佐伯 尊子 氏
  • 篠原電機株式会社
    ITソリューション事業部
    佐伯 尊子 氏
    データセンター構築・運用で25年以上の経験を持つインフラスペシャリスト。
    IXやISPの通信記録設計、光ファイバ通信など、LAN/WAN技術にも精通し、施工監督や事業者選定も対応。CDCE、DCDC、RCDD資格保有。
    標準化活動にも参画し、現在は篠原電機で参事としてコンサルティング業務に従事。

データセンター(DC)とは?

情報インフラの拠点であり、IT機器を設置し、安定的に動作・運用するために作られた施設、それがデータセンターです。インフラ設備で連想しやすいのは、電力なら発電所や変電所、水道なら浄水所や下水処理場などですが、データセンターはごく一般的な建物に見える場合がほとんどです。

情報インフラと他インフラの違い

情報インフラと他インフラの間には、2つの違いがあります。
1つ目は、コピーして増やせること。2つ目は、情報に上下関係がないこと。電力は大きなところから小さなところへ、水道は浄水場から家庭を経て下水道へと一方通行の流れを持ちますが、情報インフラに関しては上下の区別がありません。

データセンターの構成要素

データセンターの構成要素は主に4つです。
1つ目は、「建物」。2つ目は「電気・冷却」です。「電気・冷却」は近年、電力不足や水使用などの観点から注目されている部分です。3つ目は、データセンターの主役ともいえる「通信・IT機器」。IT機器の設置場所への通信配線、電力の供給などが重要です。4つ目は、継続的に使用するための「運用」です。
データセンターの主役は人ではなく、IT機器であることが重要なポイントです。

データセンター(DC)とは?

佐伯尊子氏「進化するデータセンター設計」より

今、データセンターが注目されている理由

右肩上がりで拡大する市場規模

データセンターの市場規模の推移を見ると、2023年以降の2020年代に国内市場規模は約1.5倍、世界市場規模は約2倍の成長が予測されています。
世界では国内以上に多くのデータセンターが開設されており、その半数以上が米国に集中しています。詳しい数値についてはセミナーでご提供するグラフをご参照ください。

右肩上がりで拡大する市場規模

佐伯尊子氏「進化するデータセンター設計」より

データセンターにはホールセール(ハイパースケール)型とリテール型の2種類があります。国内で増加しているのは主に外資系企業が建設するホールセール型で、今後も建設数の伸びが予測されています。一方、国内企業が建設するリテール型の新設数は、ほぼ変化していません。

国策からの支援

国内データセンター企業を推進するため、国も支援策を打ち出しています。
特筆すべきは、総務省・経済産業省が提供する「ワット・ビット連携」です。これは電力が余っているにも関わらずデータセンターが存在しないゾーンと、データセンターを建設したいのに電力が不足気味なゾーンのミスマッチを解消しようとする施策です。データセンターを適材適所に配置し、データセンターを取り巻く投資の無駄を防ぎ、速やかにデータセンターを稼働させようという流れが、国内でも進みつつあります。
他にも内閣府や総務省の支援策などをセミナーでご紹介しています。

国策からの支援

逆風への対応

近年の風潮として、騒音・健康被害・公共料金の値上げなどを理由に、地域住民の方々がデータセンター建設に反対する動きが報告されています。データセンター設計も人との対話が求められる時代になりつつあり、セミナーでは米国での解決策などをご紹介します。

データセンター設計のポイント

将来の撤去まで考えた設計を

データセンターを建設する際、土地確保・設計から施工、運用を経て、最終的に撤去して更地にするまでを一連のサイクルとして考える必要があります。このとき、撤去まで考えないケースが少なくありませんが、設計の時点で更地にする費用まで見積り、建設プロジェクト全体を動かしていくことが、本来あるべき姿です。

将来の撤去まで考えた設計を

佐伯尊子氏「進化するデータセンター設計」より

目的・設置場所・最大受電電力を考える

設計を進めていくにあたり、まずはデータセンターを設立する目的を考えます。目的により、「どこに設置するか」「どのような業務を取り扱うデータセンターなのか」などの要素が明確になります。目的がブレると、のちのちのコストなどに影響がありますので、しっかりと固めておく必要があります。
次に検討を進めたいのが、「設置場所」です。特にリテール型の場合、お客様をお呼びするため、ある程度交通の便を考えなくてはなりません。
さらに、最大受電電力について検討します。例えば、ビルのワンフロアをデータセンターにする場合、ビル自体の受電電力量が決まっているため、そのうち何パーセントをデータセンターに振り分けられるか。郊外のホールセール型なら、当初の受電容量と将来の電力増強を見据えながら、設計する必要があります。

目的・設置場所・最大受電電力を考える

また、建物全体で使う電力使用量のうち、IT機器が使う電力使用量を表す電力使用効率性PUE(Power Usage Effectiveness)、同様に水の使用量を表す水使用効率性WUE(Water Usage Effectiveness)なども、データセンターを設計するうえで考慮すべきポイントです。

4つの構成要素における設計ポイント

前述のポイントを踏まえて、冒頭に登場したデータセンターの4つの構成要素「建物」「電気・冷却」「通信・IT機器」「運用」について、具体的に設計を進めていきます。なかでも「通信・IT機器」はデータセンターの主役であるため、もっとも配慮すべき部分です。
セミナーでは4つの要素ごとに設計ポイントを詳しくご紹介しています。詳しくはセミナー動画をご覧ください。

データセンター設計の特徴

データセンター設計には大きく分けて2つの特徴があります。
① IT機器の進化の早さに対応する建物の建設
② 設置場所への対応

AIブームが始まった2020年以降、電力を大量消費するIT機器(GPUサーバー)が急増し、それまで空気で冷やしていたIT機器を「水で冷やす」必要性に迫られました。従来、「水は厳禁」といわれてきたIT機器の設置場所に向けて、どのように水を送るのか、どのように冷やすのか、設計思想の転換が起きました。
こうしたIT機器の進化スピードに少しでも追いつくため、求められるのが設計~竣工のスピード感です。実際、北米では1GWクラスのデータセンターを短工期化する事例が報告されています。短工期化の手段やポイントについては、セミナーで詳しくご説明します。

データセンター設計の特徴

佐伯尊子氏「進化するデータセンター設計」より

設置場所については、AI、IoT、自動運転などのニーズに応えるため、私たちの身近な場所にもデータセンターが必要だとされています。近い将来、洋上、宇宙などへも設置場所が広がるともいわれています。

課題とその対応

データセンターの課題には、膨大な電力量への対応、人材の確保と教育、損害保険とSLA(サービスレベル)があります。セミナーでは、その解決策についても言及していますので、ぜひご参照ください。

課題とその対応

今回ご紹介した内容に関して詳細やセミナーの全容をお知りになりたい方は、会員登録のうえ、アーカイブ動画をご視聴ください。