化粧板とは?種類やメリット・デメリット、選び方【施工事例付き】

※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。
「化粧板」とは木材や不燃材などで作られた基材の表面に、化粧加工を施した建築材料です。ただし加工方法や使用している素材によって多様な種類があり、状況によって使い分ける必要があります。
本記事では化粧板の種類やメリット・デメリット、選定のポイントや実際の活用事例等について解説します。ぜひ内装設計にお役立てください。
化粧板の種類
化粧板は「天然木化粧板」と「特殊加工化粧板」の2種類に大別され、さらに表面材の厚みや素材の違いによって多彩なバリエーションがあります。
●天然木化粧板
天然木化粧板は本物の木材を表面材に使用しているため、木の自然な風合いや質感を得られるのが特徴です。木目や色合いに個体差があり、空間に温かみや高級感を演出できます。
天然木化粧板は「突板化粧板」と「挽板化粧板」の2種類に分かれます。突板化粧板は、厚さ0.2~0.3mm程度にスライスした天然木(突板)を基材の表面に貼り付けたものです。一方で挽板化粧板は、厚さ3~4mm程度にスライスした天然木(挽板)を使用しており、より重厚で立体的な質感を得られます。いずれも、木の美しさを活かした意匠性の高い仕上材です。
●特殊加工化粧板
特殊加工化粧板とは、樹脂や紙、フィルムなどに特殊な処理を施し、化粧材として仕上げたものです。加工方法や使用素材により多彩な種類があるため、用途や目的に応じて選択できます。
メラミン化粧板
メラミン樹脂を含浸させた紙を高圧で圧着して作られる化粧板です。表面硬度が高く傷や熱、汚れに強いことから、住宅や施設のカウンター、家具、什器など幅広く使用されています。
オレフィン化粧板
オレフィン系樹脂を用いたシートを基材に貼り付けた化粧板です。環境に配慮された素材で、焼却時に塩素系ガスが発生しない点が特徴です。主に、建物の内装や建具などに使われています。
ポリ(PVC)化粧板
塩化ビニル樹脂(PVC)製のフィルムを使った化粧板で、柔軟性や加工性に優れています。メラミン化粧板と比較して耐久性、耐水性、耐熱性は劣りますが、安価で軽量なため家具の内部等に多く用いられています。
プリント化粧板
木目や石目などの柄を印刷した紙をコーティングし、合板や木質繊維板に貼り付けた化粧板です。見た目のバリエーションが豊富で、コストパフォーマンスにも優れています。家具や建具によく使用される化粧板です。
DAP化粧板
DAP化粧板はジアリルフタレート(DAP)樹脂を含浸させた原紙を表面材とし、基材と一体化させてプレス成形される化粧板です。主に家電製品や自動車部品など、機能性が求められる分野で使用されることが多い素材です。
天然木化粧板のメリット・デメリット
ここでは、天然木化粧板のメリットやデメリットを解説します。それぞれの特徴を理解することが、適切な建材選びにつながります。
●突板化粧板
突板化粧板には薄くスライスした天然木が用いられているため基材が安定しており、温度や湿度による変形が起こりにくい点がメリットです。また樹種が同じであれば挽板化粧板よりも安価に導入できます。一方で、表面材が薄いため傷やシミが生じた際の補修は難しく、手触りもやや硬く冷たい印象があります。
●挽板化粧板
挽板化粧板には突板化粧板よりも厚みのある天然木が使用されているため、傷が目立ちにくいのがメリットです。また無垢材に近い自然な質感や温かみを感じられ、高級感のある仕上がりが得られます。一方で、温度や湿度の変化による伸縮や反りが起こりやすく、細かな加工には向いていません。
特殊加工化粧板のメリット・デメリット
ここでは、特殊加工化粧板のメリットとデメリットについて解説します。それぞれ適した使用場所が異なるので、違いをしっかりと理解しましょう。
●メラミン化粧板
メラミン化粧板は耐久性が高く、傷や熱、汚れに強いのが大きなメリットです。またデザインや色柄が豊富で、多様なインテリアに対応できます。一方で、表面の劣化や損傷が起きた場合は修復が難しい点がデメリットです。
●オレフィン化粧板
オレフィン化粧板は環境負荷が低く、エコな素材として注目されています。汚れが付きにくくメンテナンスが簡単で、色柄のバリエーションも豊富です。一方で耐火性や耐水性はさほど高くなく、火気や湿気に弱い点がデメリットです。また表面は硬く冷たい触感のため、温かみのある仕上がりを求める場合は注意が必要です。
●ポリ(PVC)化粧板
ポリ(PVC)化粧板は基板の上にフィルムを貼る構造のため、比較的安価な点がメリットと言えます。また加工しやすいことから、家具内部の板材等に適しています。一方で紫外外線や高温に弱く、変色や劣化が起こることがあります。
●プリント化粧板
プリント化粧板は、多彩なデザインやパターンを低コストで実現できる点がメリットです。木目や石目などリアルな柄も豊富で、さまざまなテイストの空間にマッチします。ただし表面が紙ベースのため、耐久性は天然木や樹脂系化粧板に比べて劣り、傷や水濡れに弱い点がデメリットです。
●DAP(ダップ)化粧板
DAP化粧板は、耐久性や耐摩耗性、耐熱性に優れ、電気絶縁性も持つ高機能な建材です。立体成形が可能で複雑な形状の仕上げに適しています。作業台やキッチンの面材、キャビネットの底板などに使用されることもありますが、一般の内装や家具用としてあえて選定されるケースは少なく、主に家電製品や自動車部品など特定分野で使用されます。
化粧板の選び方
化粧板には多くの種類があり、設計時にどの製品を選択するかは悩みどころでしょう。ここでは、「用途」と「デザイン」という2つの観点での選び方を紹介します。
●用途で選ぶ
化粧板には、種類によって耐摩耗性や耐汚性、耐水性、耐薬品性など多様な機能が付加されています。例えば厨房やトイレのように水や汚れが飛びやすい場所では、耐汚性や耐水性に優れた化粧板を選ぶことで清掃が容易になり、劣化もしにくくなるでしょう。
また病院など衛生管理が重要な空間では、消毒薬に強い耐薬品性のある化粧板を使うことで、長期間にわたって劣化を軽減できます。このように、使用環境に応じた機能性を考慮して選ぶことが重要です。
●デザインで選ぶ
化粧板は、表面材の種類により多彩な色や柄を再現できます。石目や木目といった本物に近い質感を持つ化粧板もあり、こうした製品を採用することで、空間の雰囲気や印象を大きく高められます。
設計においては空間の意匠性も重要な要素になるため、どのような空間を演出したいかを明確にした上で、色や柄、質感などデザイン面を考慮して選ぶようにしましょう。
化粧板を用いた施工事例
ここでは、化粧板を用いた施工事例について解説します。実際のイメージを参考にすることで、ぜひ設計に活かしてみてください。
※製品は採用当時のものです。生産中止品も掲載されている場合があります。
●北海道胆振総合振興局室蘭建設管理部苫小牧出張所/北海道

【使用製品】
壁材:グラビオUS<北海道産杉(板目)>
壁造作材:グラビオルーバーUS 直付式<北海道産杉(板目)>
設計:株式会社ドーコン
施工:菱中・盛興 特定建設工事共同企業体
施工:岩倉建設株式会社
「北海道胆振総合振興局室蘭建設管理部苫小牧出張所」の施工事例を確認する
 
●東北大学(青葉山3)国際放射光イノベーション・スマート研究棟/宮城県

【使用製品】
壁材:グラビオUB<クリアベージュ柄>
天井造作材:グラビオルーバーUB 直付式<クリアベージュ柄>

【使用製品】
壁材:グラビオエッジ ブロッコ<ライトブラウン柄>
適切な化粧板を選定して設計の質を高めよう
化粧板は主に天然木化粧板と特殊加工化粧板に大別され、用途やデザイン性などに応じて選ぶことが重要です。耐摩耗性や耐水性、耐薬品性など機能面も考慮し、施工場所や空間の雰囲気に合った化粧板を選びましょう。
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