フローリングは土足で使える?土足対応フローリングの特徴と施工事例

土足対応フローリング

※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。

近年、店舗やオフィス、宿泊施設などの内装設計において、高い耐久性を備えた「土足対応フローリング」の需要が高まっています。従来のフローリングは素足やスリッパでの使用を想定した住宅向けが主流でしたが、近年は商業施設や公共施設といった多様な施設にも活用が広がっています。

この記事では、土足エリアで使用可能なフローリングの特徴や選定時の注意点、設計現場での活用事例を交えながら、建築士や設計担当者が知っておくべきポイントを解説します。

土足エリアにフローリングは使える?

一般的な住宅用フローリングは素足やスリッパなどでの使用を想定しているため、傷や汚れにそれほど強くありません。しかし「土足対応フローリング」なら耐摩耗性や耐汚染性に優れており、靴による摩擦や泥汚れにも強くなっています。

ただし、見た目や質感、メンテナンス方法が一般的なものと異なる場合もあるため、使用環境に合わせて建材を選定することが重要です。フローリングの特徴を理解した上で、導入を検討しましょう。

  • <改装時のフローリング選びの注意点>

    改装時にフローリングを選ぶ際は、デザインや耐久性だけでなく「厚み」にも注意が必要です。特に、既存の床の上から重ね張りをする場合は、段差が生じないようにしましょう。段差ができると見た目が不自然になるだけでなく、つまずきの原因にもなります。

    土足対応で改装にも適した床材としては、DAIKENの『デザインタフ アート』がおすすめです。厚さ4.5mmと薄いつくりになっており、既存の床との段差を抑えられます。納まりが美しく仕上がることで、空間の意匠性向上にもつながります。

    土足対応シート化粧床材 デザインタフ アート

土足対応フローリングの主な特徴

土足対応のフローリングは、一般的なフローリングで課題となる「傷のつきやすさ」や「水・汚れへの弱さ」といったデメリットを改善した製品が多くあります。土足での使用を想定して設計されており、耐久性やメンテナンス性に優れているのも特徴です。

●耐久性が高い

土足対応フローリングは、外部からの衝撃や摩耗に強い高耐久仕様が特徴です。一般的な木質フローリングに比べて硬度の高い素材を使用したり、表面に特殊な加工を施したりすることで、靴による摩擦や傷に強く仕上げられています。

例えば、DAIKENの独自技術である「WPC加工」を施したフローリングは、木の内部に樹脂を浸透させることで強度と耐摩耗性が向上しています。これにより、土足エリアでも美しさを長く保てるのがメリットです。

WPC加工で木に強さをプラス

●防汚性が備わっている

土足対応フローリングは、汚れが付きにくく落としやすい表面加工が施されているのが特徴です。靴底の泥汚れや砂ぼこりが付きにくく、飲食店やオフィスなど人の出入りが多い場所でも清潔な状態を保ちやすい仕様となっています。

●メンテナンス性に優れている

土足対応フローリングは、掃除やお手入れがしやすい点も大きな魅力です。耐水性や防汚性に加えて耐薬品性が備わっている(※)製品もあり、消毒液を使用しても染みになりにくいつくりとなっています。

衛生管理が求められる店舗や施設にも適しており、日常のメンテナンスを簡単にできる利便性の高い床材です。

※耐薬品性の有無や具体的な仕様は製品により異なります。

土足対応フローリングが求められる施設の例

土足対応フローリングは耐久性や防汚性に優れているため、多くの人が出入りする施設や衛生管理が特に必要な場所で重宝されています。用途に合わせて適切な製品を選ぶことで、快適で美しい空間を長く保てるようにしましょう。

●商業施設

商業施設は人の出入りが多く、靴底による凹み傷やすり傷、汚れが発生しやすいため、耐摩耗性に優れた土足対応フローリングが求められます。

特に靴裏のゴム跡など取れにくい汚れが付くこともあるため、防汚性の高い製品を選ぶことが重要です。土足対応フローリングなら、見た目の美しさと清潔感を両立しやすくなります。

●ホテル

ホテルは商業施設と同様に多くの人が出入りするため、傷や汚れがつきにくい土足対応フローリングが求められます。清掃や補修の手間を軽減できる耐久性・防汚性の高い床材を選ぶことで、長期間にわたり美観を維持できます。

また、ホテルは内装デザインの質が空間の印象を大きく左右するため、建材の質感や色柄といった意匠性も重視されます。高級感や温かみを演出できるフローリングを選ぶことで、快適で洗練された雰囲気を演出しましょう。

●医療・福祉施設

医療・福祉施設では衛生面と安全性の両立が求められるため、土足対応であることに加え、アルコールや消毒液に強い耐薬品性や、抗菌加工が施されたフローリングが適しています。これにより、清掃や消毒の際にも変色や染みが起こりにくく、清潔で美しい状態を維持できます。

また、車椅子や杖の利用を想定し、高い耐摩耗性を備えていることも重要です。土足対応フローリングは傷や凹みを軽減できるので、安全で快適な空間づくりに役立ちます。

【施設別】土足対応フローリングの施工事例

ここでは、土足対応フローリングの施工事例を紹介します。施設に合わせた内装となっているため、ぜひ設計の参考にしてみてください。

※製品は採用当時のものです。生産中止品も掲載されている場合があります。

●商業施設の施工事例

MUJIcom 武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス/東京都

土足対応フローリング

【使用製品】
床材:コミュニケーションタフⅡ FW<オーク(クリア色)>

土足対応フローリング

画像:©Shinichi Sato
【使用製品】
床材:コミュニケーションタフ DW(地域産材対応突板)<多摩産杉>

「タリーズコーヒー」の施工事例を確認する

●ホテルの施工事例

エグゼクティブスイート翠嶺/北海道

土足対応フローリング

【使用製品】
床材:コミュニケーションタフ 防音ⅡDW4<ウォールナット>
畳おもて:ダイケン健やかおもて 穂波<03灰桜色×乳白色×銀鼠色>

「エグゼクティブスイート翠嶺」の施工事例を確認する

三井ガーデンホテル柏の葉/千葉県

土足対応フローリング

【使用製品】 床材:WPC直張りフロア<タモ>

「三井ガーデンホテル柏の葉」の施工事例を確認する

●医療・福祉施設の施工事例

いきいきガーデン桂木/青森県

土足対応フローリング

【使用製品】
室内ドア:おもいやりドア<ライトオーカー柄>
床材:コミュニケーションタフⅡ DW<アッシュ(クリア色)>

多くの人が行き交う施設にこそ土足対応フローリングが有用

土足対応フローリングは、一般的なフローリングの弱点である傷や汚れへの弱さを改善し、耐久性や防汚性、メンテナンス性を兼ね備えた床材です。商業施設やホテル、医療・福祉施設など、多くの人が利用する空間でも美しさと機能性を長く維持できます。施設設計においては、建築士として意匠性や利便性にこだわることはもちろん、建築後の維持管理にまで配慮した提案を心掛けましょう。

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