2025-03-25

犬の脱臼“パテラ”を知っていますか? 愛犬の足腰の異変に要注意

犬が膝蓋骨を脱臼する関節疾患“パテラ”は、痛みを伴うだけでなく重症化すると歩行困難にもつながります。今回はパテラとはどんな疾患か、発症するとどうなるのか、早めに見つける方法などについてご紹介。また発症を防ぐために、飼い主はどんな工夫ができるのか、特に床の滑り対策について解説します。

パテラ(膝蓋骨脱臼)とは? (イラストの黄色い部分がずれる症状です)

パテラ

パテラ(膝蓋骨脱臼)とは、犬の膝蓋骨(膝のお皿)が脱臼している状態を指します。膝蓋骨は、本来は太ももの骨の滑車溝というくぼみにおさまっているのですが、何かの原因でそこから外れてしまうことがあります。

パテラには、膝蓋骨が膝の内側に脱臼する内方脱臼と、外側に脱臼する外方脱臼がありますが、一般的には内方脱臼のほうが多く、健康問題を引き起こします。軽度の場合、痛みを伴わずに歩行できることもありますが、重症化すると強い痛みや歩行障害を引き起こします。

愛犬が歩くときに片足を浮かせたり、スキップやぎこちない歩き方をしたりしているのが見られる場合、パテラを発症している可能性が考えられます。
参考:犬との暮らし大百科「犬の「膝蓋骨脱臼」通称「パテラ」について|飼い主が知っておきたいこと【獣医師監修】」 アニコム損害保険株式会社

なぜ犬は脱臼するのか?

パテラ

パテラを発症する原因の1つが、生まれつき膝関節に問題を持っているという遺伝的・先天的な要素です。特にトイプードルチワワ、ポメラニアンなどの小型犬は、遺伝的に膝関節の構造が弱い傾向にあります。小型犬の罹患率は大型犬の12倍という調査結果もあるほどで、小型犬を飼っている方は特に注意が必要です。

またパテラの発症原因には後天的なものもあります。転ぶ、高いところから落下する、事故などです。滑りやすい床での運動や、ソファなどの家具からのジャンプ、さらに体重増加などによって膝に大きな負担がかかると膝蓋骨が脱臼しやすくなります。

パテラのグレード

パテラは、その程度によって4つのグレードに分類されます。それぞれのグレードと症状を解説します。

●グレード1

膝蓋骨は正しい位置にあるものの、外部から力がかかるとすぐに脱臼しかねない状態です。動物病院での健診で発見されることが多く、普段の生活で症状はほとんど見られません。

●グレード2

基本的に膝蓋骨は正常な位置におさまっていますが、膝関節は不安定で、少しの動きで脱臼し、元に戻ることを繰り返している状態です。日常生活にはそれほど支障はなく、脱臼が元に戻ると普通に歩けます。しかし脱臼しているとスキップをするような跛行(はこう:足をかばったり、引きずったりしている状態)がみられます。

●グレード3

膝蓋骨が常に脱臼した状態です。脱臼した膝蓋骨は指で押し戻すことができますが、指で押すのをやめるとすぐに脱臼してしまいます。骨格の変形が目立つようになり、歩行異常の症状がみられます。

●グレード4

膝蓋骨が常に脱臼したままで、指で押し戻すこともできない状態です。歩行が困難となり、膝の関節を伸ばすことができず、うずくまるように歩いたりすることがあります。歩行時の痛みも強く、生活に大きく影響します。

パテラはグレード1〜2程度の軽症であれば、運動療法が可能です。しかし重度になると手術が必要になります。歩き方・座り方がいつもと違うと感じたら、早めに病院を受診しましょう。

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犬のパテラ発症リスクを軽減するために、またはすでに膝に問題がある愛犬が、より安全に過ごせるために、どんな工夫ができるでしょうか。膝への負担を減らす滑り対策についてご紹介します。

●ラグやカーペットでできる滑り対策

パテラを防ぐために床の滑り対策はとても重要です。手軽にできるのが、ラグやカーペットなどを敷くことです。ラグはある程度厚みのあるものを選び、裏には滑り止めを付けるなどして、犬が走ったり跳ねまわったりしても簡単にはズレないようにしておきましょう。爪が引っ掛からない素材を選ぶことも重要です。

一方で、ラグやカーペットは、犬の抜け毛が絡んだり、吐き戻しなどで汚れたりした時は、手入れが少し大変です。丸洗いできるものや、タイルカーペットのように汚れた部分だけ取り外せるもの、防水・撥水加工されているものがおすすめです。

●フローリング材でできる滑り対策

ラグやカーペットは手軽にできる滑り対策ですが、できれば床には何も敷かず、すっきりしたインテリアにしたいと考える方もいるかもしれません。そこでおすすめしたいのが、ペットの足腰にやさしいフローリング材を導入することです。

DAIKENのペット用フローリングとおすすめ建材について

DAIKENでは愛犬の足腰に配慮しつつ、インテリア性にも優れた床材を展開しています。おすすめの建材もあわせてご紹介します。

●愛犬の足腰にやさしい床材『ワンラブフロアⅤ』

パテラ

ワンラブフロアⅤ』は小型犬の足腰に配慮し、歩く時の滑りに配慮した戸建て向けの床材です。(※1)
しかも引っかき傷が付きにくい・目立ちにくいという特長があり、水濡れにも配慮。汚れたらさっと拭き取って掃除することができ、ワックスも必要ないのでお手入れが簡単です。

床暖房やホットカーペットにも対応しているため、犬も人間も快適に過ごせそうです。カラーバリエーションも豊富なので、小型犬を飼っている方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

●愛犬が歩きやすく階下への音を軽減する『ワンラブオトユカ45Ⅳ(147幅タイプ)』

パテラ

ワンラブオトユカ45Ⅳ(147幅タイプ)』はマンション向けの床材です。(※1)
こちらも小型犬の歩行に配慮した歩きやすい表面仕上げとなっており、ペットの傷・汚れにも強く、ワックス不要です。

また注目したいのが、『ワンラブオトユカ』の性能です。この床材は歩行時の沈み込み感が少なく、床衝撃音をやわらげます。
(※1)本製品は小型犬の肉球の滑り抵抗を考慮しておりますが、全てのペット(犬・猫)の歩行に最適とは限りませんのでご注意ください。

●抗菌仕様でやさしい使い心地の和紙畳『ダイケン畳 健やかくん』

パテラ

和室を好む方におすすめなのが『ダイケン畳 健やかくん』です。カビの発生やダニの増殖を抑えて快適さをキープします。(※2)
ペットの爪による傷も付きにくいため、「ペットがいるけど畳の暮らしも捨てがたい」という方にはぴったりの床材です。

●傷や汚れに強く簡単に取り入れられる和紙畳『ここち和座』

パテラ

ここち和座』は、畳での暮らしを簡単に取り入れられる床材で、フローリングの上に置くだけの置き敷きタイプと、敷き込みタイプがあります。(※2)

適度なクッション性があるので足腰にやさしく、しかもペット(小型犬)の爪やおもちゃによる傷が付きにくい、汚れも落としやすいなど、ペットにも人にも嬉しい機能が満載です。これまでラグを敷いていた方は、イメージチェンジに『ここち和座』を取り入れてみてはいかがでしょうか。
(※2)機械すき和紙を使用しています。コウゾ、ミツマタ等を使用した手すき和紙ではありません。

ある調査によると、パテラは子犬の約20%に発症するほど多い疾患です。小型犬に発症するリスクが高いですが、中型〜大型犬にも発症することがあります。普段からよく気をつけて、何か異常があれば早めに病院を受診しましょう。また犬の足腰にやさしい環境づくりを心掛け、パテラ発症の予防や進行防止に努めましょう。

  • 増山綾乃氏
  • 執筆者

    増山綾乃 (ますやま あやの)
    北海道大学獣医学部共同獣医学課程 修了。
    一次診療施設にて4年間勤務ののち、米国Purdue大学にて客員研究員として勤務。現在はカナダSaskatchewan大学にて獣医師として勤務。

    保有資格:獣医師免許