災害の被害を抑える企業のオフィスづくり　避難経路の確保と耐震対策がされた吊り天井で従業員を守る

企業のオフィスづくりにおいて、従業員の働きやすさや企業イメージの向上は重要ですが、それ以上に最優先されるべきは安全性です。災害が発生した際、被害を最小限に抑えるための対策は不可欠であり、従業員の命を守るためには避難経路の確保が重要です。
本記事では、災害時の被害を軽減するためのポイントやそれに関連する法律、そして安全なオフィス環境とするための対策ついて紹介します。安全性を高めたオフィスづくりで非常時における災害のリスクを減らしましょう。

企業のオフィスにおけるレイアウトでは、廊下や通路が非常に重要なポイントとなります。日常の業務での安全な通行はもちろん、災害時の避難経路としての役割も担います。オフィス内の主要な廊下や通路では、従業員が無理なくすれ違える程度の十分な幅を確保しましょう。日常の快適さを確保しつつ、緊急時にはスムーズな避難も可能となります。
また、オフィスのレイアウトを考える際には、デスクとデスク間やデスクと壁の間、家具や什器、コピー機周辺など、日常的に通路として利用されるスペースにも配慮が必要です。これらのスペースを適切に管理することで、日常の作業効率の向上と非常時の安全な避難経路の確保を両立させることができます。

オフィスの安全性と機能性を高めるためには、これらの要素を総合的に考慮したレイアウト設計が求められます。従業員の日常的な安全と非常時の対応を両立したオフィス環境を構築することは、安全性の高いオフィスづくりには欠かせない要素です。

オフィスの廊下や通路は建築基準法や消防法に基づく法規制が適用され、法律を遵守することが義務付けられています。

建築基準法では、両側に居室がある廊下の幅は最低1.6ｍ以上でなければなりません。これはドアが開いても人が通行できる幅を確保するためで、その他の廊下では1.2ｍ以上の幅が求められています。これらの基準は、主に病院における患者用の通路や共同住宅、もしくは住室の床面積の合計が100㎡をこえる階における共用のもの、その廊下に面する出入口が3室以下のものを除き居室の床面積が200㎡を超える階などに適用されます。
※出典：国土交通省「建築基準法施行令第119条 廊下の幅」

消防法では通路幅に具体的な数値の規定は設けられていませんが、避難口や避難通路の維持管理が重要視されています。これは、非常時に迅速かつ安全な避難を確保するために必要な措置です。
また、避難通路の維持管理以外に非常時の備えとして、消火設備（消火器、屋内消火栓、スプリンクラーなど）や警報設備（自動火災報知装置など）、避難設備（避難器具、誘導灯など）、消防用水、消防活動に必要な施設（連結送水管、排煙設備等）などの設置と維持が義務付けられています。

オフィスにおける避難経路の確保は、非常に重要な安全対策です。避難経路を常に確保するためには、廊下や通路に物を置かないことが基本です。しかし、それだけでは十分ではありません。特に地震などの災害時には、オフィスの家具や什器の転倒などで避難経路が塞がれないように、適切な耐震対策が必要となります。

また、地震の揺れによる天井の落下が大きなリスクをもたらすことをご存じですか？　実は東日本大震災では、約2000件の天井脱落被害が報告されています。これを防ぐためには、天井を耐震化することが不可欠です。耐震天井の採用はリスクを低減する重要な手段となります。さらに仕上げの天井材を軽量のものにすることで、万が一落下しても、被害を軽減させることが可能となります。

このように、避難経路の確保には物の配置だけでなく、建物自体の耐震対策も重要なポイントです。天井の耐震化は、災害発生時の従業員の安全を守るために欠かせない対策の一つといえます。

企業のオフィスにおける安全性の確保は、災害時の被害を最小限に抑える上で極めて重要です。オフィスのレイアウト設計では、廊下や通路の安全性を最優先し、これらを非常時の避難経路として機能させることが求められます。
さらに、避難経路の確保には天井の耐震対策を行っておくことも大切であり、災害時の安全性を高める上で重要な役割を果たします。
より安全で快適な環境の実現に向け、しっかりと対策を講じたオフィスづくりを計画していきましょう。