フレキシビリティを考えた空間デザイン 省施工・省コストでのレイアウト変更を実現するパーテーションと天井設計

フレキシビリティ

不特定多数の方が利用する公的な空間は、利用者の目的に合わせて様々な使われ方が求められています。
また、時代が変化していくと、今までになかった新たな利用方法が求められることもあります。
しかし、そのような需要の変化に合わせて頻繁に大規模な改修をしていくのは現実的ではありません。

本記事では、柔軟な対応で様々な需要に応える建築物の「フレキシビリティ」について解説し、フレキシブルな空間づくりに役立つ、パーテーションや天井材をご紹介します。

建築におけるフレキシビリティとは

フレキシビリティ

一般に、フレキシビリティとは、変化やイレギュラーな要求に対応できる柔軟さや融通性を表します。
転じて、建築の分野では、建物の用途(使用目的)や機能の変化、間取りの変更、増改築、修繕などに柔軟に対応できることを指します。

建築におけるフレキシビリティには、下記の2種類の意味合いがあります。

・今ある多様なプランに対応できるフレキシビリティ
・変化していく未来に向けて対応できるフレキシビリティ

後者は、時代が変わっても建物が使いやすいことを意味し、建物の長寿命化の観点からもメリットがあるといえるでしょう。
どちらもユニバーサルデザインに通じており、幅広いユーザーが使う公的な空間を設計する際は欠かせない考え方です。

フレキシブルな空間の例と実現するために便利なもの

フレキシビリティ

それでは、「フレキシブルな空間」とは具体的にどのようなものでしょうか。
ここでは以下のような例を紹介します。
・柱の少ない広い1室空間
・様々な広さの部屋があり、それぞれの用途や機能を組み替えられる
・パーツや部品の着脱によって、建物の部分的な改修や間取りの変更ができる

ポイントは、「大きな空間をパーツなどで分割し、手軽に広さを変えられること」といえます。

そのために便利なのが、フレキシブルに空間を分けられる「パーテーション」です。
床や天井に設置したレールに沿って動かせる可動パーテーションは、1室を複数のスペースに分ける使い方に適しています。
製品によっては防音対策も可能なので、会議室のように音漏れが気になるケースではチェックしてみてください。

また、より簡易的に1室をいくつかのゾーンに分けたい場合、衝立のようなパーテーションを採用するケースもあります。
視認性やプライバシー確保などの目的に合わせて高さの異なるパーテーションを組み合わせて使うことも可能です。
優しい雰囲気を演出したい場合は、植栽を代用してゾーニングするのも有効な手法といえます。

レイアウト変更が手軽にできる天井も

フレキシビリティ

建物の長寿命化を目指す場合、天井のレイアウト変更がしやすいように計画しておくと、よりフレキシブルな空間が実現できます。

まずは天井には種類があり、さまざまな工法でつくられていることを知っておきましょう。
天井の種類には下記が挙げられます。

●在来天井
天井の下地材に、岩綿吸音板などの仕上げ材を張る工法でつくられた吊り天井の一つ。

<メリット>
・イニシャルコストが安い
・仕上げ材が自由に選べる

<デメリット>
・照明などの移設が難しく、レイアウト変更しづらい

●システム天井
下地材で作ったフレームに、仕上げ材と空調などの設備をはめ込むようにして組み立てる、吊り天井の一つ。

<メリット>
・ワンタッチ接合なため、省施工、短納期を実現できる
・照明器具などの移設・増設に柔軟に対応でき、レイアウト変更しやすい

<デメリット>
・仕上げ材を自由に選ぶことが難しい

改築・改修を視野に入れる場合は省コスト・省資源化にもつながるシステム天井を採用することで、サステナビリティに貢献できるといえるでしょう。

パーテーションとシステム天井を組み合わせて活用することで、コストを抑えた柔軟なレイアウト変更が期待できます。

まとめ

コンクリートをはじめとした建材の長寿命化が進み、100年を超える建物寿命の実現が期待されています。
しかし、時代の変化に対応できず、使いやすさが失われれば、寿命を迎えることなく解体されてしまうでしょう。
公的な空間は、長く便利に使われることで地域に根差した愛される空間へと成長します。
そのためには、パーテーションやシステム天井などを活用したフレキシブルな建物の計画が有効です。
将来を見据え、フレキシブルな公共空間の実現を検討してみてはいかがでしょうか。

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