WEB会議でOJT! 介護施設の人材育成でカギとなる“QOL向上”の視点

WEB会議でOJT

介護施設における介護サービスを充実させるには、スタッフの人材育成が不可欠です。中でも、入居者のQOLの維持・向上について学ぶことは大切です。なぜなら、スタッフの質の向上が、入居者に「その人らしい生活」を送ってもらうことに結果としてつながるからです。

また介護の研修方法はコロナ禍の影響で、WEB会議の研修が増加するなどの変化もみられています。そのような変化や利用者からのニーズに対応するために、介護施設における人材育成の重要性、WEB会議でスタッフが学びやすい環境について解説します。

介護施設で人材育成が重視される理由

介護施設で人材育成が重視される理由は、経営の安定化のために被介護者から選ばれる必要があるためです。選ばれる介護施設になるためには、介護サービスの質の維持・向上が欠かせません。
特に、被介護者と接する介護スタッフのスキル・知識を深めることは、効果的な対策といえます。

また、介護人材の不足も人材育成が重視される理由です。人材不足のためスキル・知識の豊富な人材を採用するのが難しく、事業所内で介護初心者からでもキャリアアップできる仕組みを構築する必要があるためです。人材育成により良質な介護サービスを提供することは結果的に、入所者のQOL向上に寄与します。QOLとは生活の質のことで、ADL(日常生活動作)と密接に関わっています。

参考記事:ADLとQOLの違いを知り、自立支援を! 介護スタッフと高齢者施設に求められるものは?

介護施設の研修内容とは。ポイントは入所者のQOL向上

WEB会議でOJT

介護施設の研修で一般的に行われているのはOJTです。OJT(On the Job Training)とは、先輩から後輩などのように、実際の仕事を通じて知識や技術を指導する研修方法です。ただし、介護施設におけるOJTは先輩と新人職員のマンツーマン形式だけではなく、取り組みの孤立を防ぐために上司・研修担当者・管理者の介入などで重層化されています。さらに全職員が取り組むための工夫として、技術評価やキャリア形成にも組み込まれ、より体系的に活用されているのもポイントといえます。

なぜ介護施設でOJTを活用しているかといえば、人材育成をしながら実際の利用者のサービス向上を図るためです。例えば、「排泄介助」や「食事介助」など、個々の利用者で手順や手法が異なることも珍しくありません。

また、個々に適した介護方法を習得し実務に活かすことは利用者のQOL向上につながり、個人としての尊厳を守り、自立を支援することにもなります。

参考記事:人間の尊厳とは? 尊厳の保持と自立支援につながる施設環境づくり

介護施設における研修内容は、OJTのほかにも外部講師による講習会など、様々な研修があります。現場以外で知識や業務内容を身につける方法は、Off-JTと呼ばれています。
またキャリアレベルに応じた階層別研修も、キャリアアップのためには欠かせません。例えば新人・中堅・指導者・主任などで到達すべき目標を設定し、研修のプログラムを構築するといった具合です。このようなキャリアレベルに応じた研修は、施設全体の介護サービスの質向上につながります。

介護施設ではWEB会議によるOJTが増加

WEB会議でOJT

最近では、介護施設でもWEB会議によるOJTが増加しています。WEB会議が増えた要因は、コロナ感染拡大の防止や業務効率化の観点から2021年度の介護報酬改定で活用が認められたためです。また新型コロナが5類に移行した後も、WEB会議の活用が続いています。その理由は2025年問題などに代表されるように、介護施設の人手不足が深刻ななか、スタッフが遠方の施設に出向く研修を減らすためです。

参考記事:2025年問題とは? 超高齢化・人手不足がもたらす医療・介護ほか様々な分野に与える影響

WEB会議による研修で注意したいこと

WEB会議でOJT

介護職員がWEB研修を受講するのは、主に職場の会議室でしょう。研修内容によっては、入所者のプライバシーに関する情報をやり取りすることもあるためです。自宅や移動中の電車といった場所では情報が漏洩するリスクもあるため、適切とはいえません。

また、WEB研修を職場の会議室で行う場合でも注意が必要です。
オンライン会議の際のオフィスの音環境についてDAIKENが調査したアンケートでは「音が反響して聞き取りづらい」という回答が多く、続いて「音漏れのリスクが不安」という声もあがっています。

●音が反響して聞き取りづらい

現代の会議室の内装は気密性が高い傾向にあり、意外にスピーカー音が反射し響きやすい空間になっている場合があります。詳しくはこちらをご覧ください。
「吸音材で職場環境改善! WEB会議の質が向上する吸音の方法」

●音漏れのリスクが不安

入所者のQOL向上の検討など、プライバシー情報に関わる研修では研修室からの音漏れに配慮する必要があるといえるでしょう。

病院での音漏れ対策としては下記があります。ぜひご参考にしてください。
「医師と看護師に関わる守秘義務の話 会話漏れを防ぐ音対策で選ばれる病院へ」

WEB会議の研修場所は、吸音や防音性能のある建材や建具で室内の反響を抑え、外部への音漏れを防ぐ環境づくりが必要です。WEB会議の会話を聞き取りやすくする対策としては、音の響きを吸収して反響を少なくする吸音性能のある壁材や天井材を用いるとよいでしょう。

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