商業施設とは?定義や設計の注意点、こだわりたいポイントについて

商業施設の設計では、デザインだけでなく集客や利便性、店内の過ごしやすさといったさまざまな点を考慮することが求められます。しかし「そもそも商業施設のコンセプトとは?」「おしゃれな空間を演出する方法がわからない」と悩んでしまうケースも少なくありません。
そこで本記事では、商業施設の設計のポイントやおすすめの建材選びについて紹介します。商業施設の設計を成功させたい建築士の方は、ぜひ参考にしてみてください。
商業施設とは
商業施設とは商業活動を目的とした建築物を指し、商品やサービスの販売・提供を通じて多くの来客者を引きつけるために建築されます。
代表的な商業施設としては、百貨店やスーパーマーケット、ホームセンター、ショッピングセンターなどがあります。特に大規模なショッピングモールやアウトレットモールなどは広大な敷地に多数のテナントが入居し、利用客に幅広いサービスを提供します。
商業施設の建築においては、一般住宅とは異なる機能や設計上の配慮が求められます。また商業施設の外観や内装のデザインは、店舗のブランドイメージや来客者が感じる印象に影響を与えるため、施設全体で統一感と個性を表現することが重要です。
商業施設における建築・設計の流れ
ここでは、商業施設における建築や設計の流れについて解説します。プランニングに失敗しないために、しっかりと理解しておきましょう。
●立地を考慮して設計する
商業施設の立地条件は、設計方針に大きな影響を及ぼします。たとえば公共交通機関でのアクセスが多い立地であれば、駅やバス停からの動線をスムーズにして歩行者用のアクセスを確保します。一方で自家用車での来店が多い場合は、駐車場の設計や駐車スペースの広さに配慮する必要があります。さらに、施設が大きな幹線道路に面している場合、駐車場の出入口をわかりやすい位置に配置し、渋滞を防ぐための流れを考慮した設計が必要です。駐車場の配置や広さ、出入口の数や位置も施設内部の動線やレイアウトに影響するため、車の出入りがスムーズにできるような工夫を施しましょう。
また周辺環境や地域の生活特性も、設計において重要な要素です。たとえば近隣に住宅地がある場合は、防音対策や夜間の照明計画なども工夫すべきでしょう。地域住民の生活に配慮した設計をすることが、施設運営の評価や信頼にもつながります。
●ターゲットとニーズを明確にする
商業施設の設計においては、施設を利用するターゲット(想定顧客)の年齢層や購買行動、生活スタイルなどを詳細に分析することが重要です。たとえばトレンドに敏感な若年層をターゲットとする施設では、デザイン性の高い空間や最新のトレンドを反映したインテリアが好まれる傾向があります。一方でファミリー層が主な顧客となる施設では、家族で来店しやすいように、休憩スペースや親子で楽しめるエリアが求められるのです。
そしてターゲットのニーズに合わせて、商業施設のレイアウトやゾーニングを工夫する必要があります。たとえば購買行動に応じた誘導性のある動線設計や、滞在時間を増やすための工夫を盛り込むことで、来客者の満足度を高められるでしょう。
●コンセプトを反映させたデザインにする
商業施設のデザインは、見た目の美しさだけでなく施設全体のコンセプトを際立たせることが重要です。これにより他の商業施設との差別化につながり、強い印象を与えられます。
まずは設定したコンセプトに基づき、外観や内装のデザインを計画します。外観は施設の第一印象に影響し、来客者の興味を引く重要な要素です。また内装においては、施設全体に統一感を持たせることで安心感や一体感をもたらします。
たとえば地域に根ざした商業施設をコンセプトとする場合、地域の文化や歴史をデザインに反映させることで地域住民との心理的なつながりを深められます。具体的には、地元の素材を使った内装材や工芸品、その地域出身の作家が手掛けたアート作品を取り入れる手法が考えられます。これにより施設が地域のアイデンティティを感じさせる存在となり、共感や信頼を得やすくなるでしょう。
商業施設の建築でこだわりたいポイント
ここでは、商業施設の建築でこだわりたい主なポイントを紹介します。基本的な原則に従って計画を進めることで、誰にとっても居心地のよい空間を作り出せるでしょう。
●誰もが利用しやすい設計
商業施設には幅広い年齢層の方が訪れるため、すべての人が不自由なく快適に過ごせる空間作りが求められます。具体的には「ユニバーサルデザイン」の導入が重要です。たとえば車いすやベビーカーでもすべてのエリアにアクセスできるように、スロープやエレベーターを適切な場所に配置すると利便性が高まります。
また高齢の方や視覚に障がいのある方が安心して利用できるように、高コントラストの案内表示や床のタイルでわかりやすいサインを設けるのも効果的です。重要な場所や出入口には音声案内や点字サインを配置し、視覚以外のサポートも充実させましょう。
多機能トイレやオムツ交換台を備えたトイレも各フロアに必要です。授乳室やベビーカー置き場なども用意し、ファミリー層が気軽に利用できる商業施設を実現しましょう。
●長時間滞在したくなる空間
滞在時間が増えることで施設内での消費行動も生まれやすくなり、店舗の売上向上が期待できます。滞在時間を延ばす工夫として、たとえば内装に木材を使えば視覚的にも感覚的にも落ち着いた雰囲気が生まれ、自然素材の柔らかさや温もりが利用客にリラックス感を与えます。木の色合いや質感によって空間に温かみを加えられるため、幅広い商業施設におすすめの方法です。
内装に木材を利用することで、環境へ配慮した建築の実現にもつながります。また国産材や地域産材を取り入れれば、地域の森林保全や地元産業の活性化などの効果が期待できるでしょう。こうした取り組みは利用客に好意的に受け入れられやすいポイントであり、地域のアイデンティティを表現する要素にもなります。地元の木材を使用することで施設にその地域らしさが生まれ、訪れる人々の興味や共感を得やすくなるでしょう。
DAIKENでは、地元の木材を活用したいという要望に応えるため、地域産材対応の建材を取り扱っています(※)。
●グラビオUS
突板の風合いと質感が魅力の不燃壁材。スギやヒノキ等、7種類の樹種バリエーションがある。
●コミュニケーションタフ バイオリーフ DW(地域産材対応突板)
土足対応のWPCフローリング。地域産材に独自加工を施すことで、土足用フローリングとして活用可能に。
※対応可能な樹種や数量、納期など、詳しくは弊社営業窓口までお問い合わせください。
⇒国産材を公共・商業施設へ。事例から学ぶ!地域産材を活用した施設設計のポイント
●来訪の動機となるデザイン性
商業施設は利便性だけでなく「行ってみたい」と思わせるデザイン性も重要です。おしゃれな施設全体が魅力的な体験の場となり、ワクワク感や感動体験を提供できます。
たとえば木材やレンガ、石などの自然素材をアクセントとして活用すると、デザイン性を高めることができます。木材は落ち着きや温かさを、レンガはレトロさやヴィンテージ感を、石はモダンさや高級感を演出します。とはいえ、施工性やコスト等を踏まえると、本物を使用するのはハードルが高いケースもあるかもしれません。そうした場合は、本物のように見える建材を採用することも検討してみましょう。
また、近年SNS映えを意識したフォトジェニックなデザインが来店動機になることが増えています。大きな吹き抜け空間やシンボリックな階段、アート性の高い照明など、施設内に写真撮影スポットを設けることで、訪れたくなる要素を生み出しましょう。
さらに、昼夜で異なる印象を与えるためにライトアップや照明計画を工夫する手法も効果的です。適切な照明器具を設置して夜の景観に趣を持たせると、来客者の興味を引くポイントになります。
DAIKENでも、デザイン性の向上につながる建材を取り扱っています。
●グラビオUB
全40種類の豊富な木目調の色柄を揃えたデザイン不燃壁材。さまざまな木質空間にもマッチ。
●グラビオエッジ
リアルな陰影感と多色感が特長のデザイン不燃壁材。深彫り調のエンボス加工で、エッジの効いた陰影と素材感のある意匠が魅力。
こだわりの設計・内装で来店したくなる商業施設に
商業施設の建築においては、コンセプトを踏まえつつ、誰しもが利用しやすい設計を心がけること、思わず長居したくなる工夫を盛り込むこと、そして来店のきっかけづくりとしてデザイン性にもこだわることが大切です。商業施設を訪れる方に特別な体験を提供できるような設計を心がけましょう。
DAIKENでは、商業施設の設計に役立つヒントをまとめたカタログを用意しています。ぜひ設計の参考としてお使いください。
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