
部屋を防音室にしたい! 知っておきたいコインシデンス効果・太鼓現象
※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。
目次
音楽は生活を豊かにしてくれるものです。音楽を聴く、歌を歌う、楽器を演奏するなど、音楽は一生楽しめる趣味にもなります。しかし、楽器をちょっと練習するだけでも部屋からの音漏れが近隣への迷惑になるのでは、と気になるケースもあるでしょう。そのような場合には、天井や壁、ドアなどを防音建材に変更することで、部屋を防音に配慮した空間に変えることが可能です。
今回は、DAIKENの防音建材を使った部屋づくりについてお伝えします。
楽器好きの夢、自宅セッションを叶えられる?

(※)写真はイメージです。弊社製品ではございません。
楽器を演奏するのが楽しみとはいえ、近隣への音漏れが気になって自宅で練習するときはできるだけ音が出ないようにしたり、ヘッドホンをしたりしている人は少なくないでしょう。最近では、在宅勤務の普及などにより自宅で長い時間を過ごす人が多くなり、マンションだけでなく戸建の住宅でも音に関するトラブルが増えているようです。騒音トラブルに敏感な傾向にある現代では、戸建て住宅であっても、近隣への音の配慮は欠かせないでしょう。しかし、防音室をつくる際には壁や天井を壊すような大がかりな工事が必要で、費用もそれなりにかかります。本格的な施工が不要なユニット式のいわゆる“防音カプセル”もありますが、設置すると部屋がそれだけ狭くなってしまいます。このようなとき、住宅用防音建材を使ったリフォームなら、自宅でのセッションという夢を叶えられるかもしれません。
天井、壁、床、ドア、換気扇といった部分に防音建材を組み合わせて使うことで、音が外に漏れにくく、楽器の音がクリアに響く部屋に近づけられます。
目的に合った防音室を自宅に

自宅の部屋を防音室にする際には、「どのような目的で部屋を防音室にしたいのか」を意識することが重要です。例えば、“遮音”と“吸音(調音)”は防音対策において重要ですが、この2つは意味が異なります。遮音は部屋の外への音漏れを小さくすることですが、防音室の遮音性能ばかりを高めてしまうと、閉じ込められた音が室内で反響してしまい、居心地が悪くなってしまいます。部屋を防音室にするなら、遮音材に加えて、音の反響を小さくする吸音(調音)材を上手に使い、用途に合わせた音響コントロールを行うことがポイントです。
DAIKENでは、遮音、吸音ともに2つのタイプを用意しており、組み合わせで4つのバリエーションから防音室を選べます。
遮音:スタンダード防音★★、プレミアム防音★★★
吸音:ライブ(音の響きが長い状態)、デッド(音の響きが短い状態)


例えば、自宅にて映画館のような迫力でホームシアターを楽しみたいなら、防音効果の高い「プレミアム防音★★★」と音の響きが短い「デッド気味」を組み合わせる防音室プランがおすすめです。
一方、ピアノを弾く方には、「スタンダード防音★★」と音の響きをしっかり楽しめる「ライブ気味」を組み合わせた防音室プランを提案しています。
目的にマッチする防音部屋を造る際には、設置したい空間に合った遮音材や吸音材を選ぶことも大切です。中でも、遮音材や吸音材の性能を低下させてしまう“コインシデンス効果”や“太鼓現象”には注意が必要です。
部屋を防音室にしたい! 事前に知っておきたいコインシデンス効果と太鼓現象の意味と対策

(※)画像はイメージです。
遮音材や吸音材の性能は、使い方によって低下してしまうことがあります。そこで、部屋を防音室にしたいときに注意すべき点をご紹介します。
●コインシデンス効果とは 共鳴現象で遮音性能が低下する
遮音材で使われるような固い素材には、振動しやすい周波数があります。ある特定の音に対して共鳴現象を起こして振動し、遮音性能が低下してしまうのです。この振動現象にはコインシデンス効果という名称が付けられています。同じ素材や厚みの遮音材を重ねて用いても、どちらも同じ音に対するコインシデンス効果を起こす可能性があります。遮音材の持つ効果を引き出すためには、演奏する楽器の音域など防ぎたい音に対してコインシデンス効果が発生しない素材を選ぶことが大切です。まったく同じ遮音材を重ねて使うのではなく、厚みや素材の違うものを組み合わせて共鳴現象を防ぎましょう。
●太鼓現象とは 空間内で音が響く
太鼓現象(共鳴透過現象)とは、太鼓のように内部空間のある中空構造において、片方の面から発生した音が、間にある空間で増幅し、もう一方の面に伝わる現象です。遮音材と隣の壁の間にある中空層で太鼓現象が起きると音が増幅されてしまうため、遮音性能が低下します。
太鼓現象を防ぐには、ビニールに包まれていないグラスウールやロックウールなどの吸音材を充填し、隙間をなくす方法が有効です。
自宅の部屋を防音室にしたいときは、これらの現象に注意して遮音材や吸音材を設置しましょう。
例えば、上階の足音を防ぐ目的で部屋に吊り天井を設置した場合、吊り天井と上階の間にできた空間で太鼓現象が発生する可能性や、振動しやすい軽い吊り天井にしたことでコインシデンス効果により防音性能が低下する可能性もあります。このようなケースで防音性能を高めるためには、太鼓現象への対策として吊り天井の空間に吸音ウールを設置し、さらに吊り天井自体を重く厚い建材に変えてコインシデンス効果を低減させるとよいでしょう。
部屋を防音仕様にしたいと考えたときは、性能を十分に発揮できる遮音材や吸音材の組み合わせ方が重要です。
では、コインシデンス効果や太鼓現象の意味がわかったところで、少し詳しくDAIKENの防音建材をご紹介していきましょう。
部屋の音響を調整する便利な後付けアイテム
大がかりなリフォームは難しくても、今ある部屋に後付けのアイテムを使用して音響を調整する方法があります。DAIKENでは、簡単に設置できる音響調整製品をご用意しています。
・置くだけで音響調整が可能『サウンドトロン』

『サウンドトロン』は、置くだけの簡単設置が魅力的な、自立タイプのポール型吸音材です。音が溜まりやすい部屋の四隅や壁際に設置することで、室内の音響を調整できます。壁に吸音材料を設置する必要がないので、部屋のデザインやイメージの幅も広がり、より快適な音楽環境に近づけられます。
・すぐれた吸音性能で音響効果を向上『サウンドフィーユ』『サウンドブランチ』

『サウンドフィーユ』と『サウンドブランチ』は、中〜高音域の音響対策に使える吸音材です。フラッターエコーの改善にもなる『サウンドフィーユ』、凹凸のあるくさびデザインの『サウンドフィーユくさび』、音のこもりやすいお部屋のコーナーに取り付ける『サウンドブランチ』があります。
石こうくぎと型紙を使い、配置した取り付けフックにパネルを掛ければ簡単に取り付けられます。ビスや接着剤は使用しないので、取り外しや後からの配置換えも簡単です。
部屋全体を防音建材で囲って防音室に!
住宅の天井と壁、床それぞれに防音建材を使えば、部屋全体を防音にできます。ギターやピアノなどの楽器を演奏する部屋の天井におすすめなのが、吸音と遮音性能を持つ『オトテン』シリーズの天井材です。
天井を『オトテン』にすれば、屋外への音漏れを少なくしながら、室内の音の響き過ぎを抑えられるため、クリアな音で演奏が楽しめます。

壁には、高い吸音性能を備えた『オトカベ』シリーズや、先に紹介した『サウンドフィーユ』『サウンドブランチ』を使って、お施主様側で音響を微調整する方法もあります。


『オトテン』と『サウンドフィーユ』『サウンドブランチ』はいずれもスタイリッシュにデザインされています。例えば、『オトテン』には、曲線を活かした『オトテン 200W』、タイル張りのような『オトテン ブロックシュガー』などの種類があり、光の反射を抑えたいホームシアターには『オトテン <ソフトブラック色>』も選べます。また、『遮音マット』を床の下地材として選べば、表面の床仕上げ材は好みの色やデザインのものを選べるため、インテリアの幅が広がるでしょう。
こうしたDAIKENの防音建材を部屋全体に使えば、デザイン性にもこだわりながら、楽器に適した音の響きを楽しめる空間がつくれます。
また、コインシデンス効果が起こりにくい『遮音パネル』を天井・壁の下地として入れると、さらに理想的な音環境に近づくでしょう。
音漏れしやすいドア、換気扇もしっかり防音
これらに加えて、防音で忘れてはいけないのが、音漏れしやすいドアなどの開口部です。DAIKENの『防音ドア アドバンス(A)防音タイプ』シリーズは、レバーハンドルでのロックと、隙間をくまなく埋める大型パッキンで気密性を高めています。その高い気密性と扉の重さにより音漏れを抑えます。

このように天井、壁、床、ドアに防音建材を使ってリフォームすれば、心おきなく楽器を演奏できる防音ルームが出来上がるでしょう。
しかし、ここで換気について気になる方もいるのではないでしょうか。 開口部を閉め切ることで防音性能が十分に発揮され、部屋の防音性能を高めると気密性は高まりますが、一方で快適性や健康面への配慮から室内の空気の入れ替えは欠かせません。
現代では、戸建て住宅にも24時間換気が義務付けられています。また、換気扇の開口部から外部への音漏れは意外に大きいため、防音ルームでは換気も注意すべきポイントです。
こうした条件に対応できるのが防音タイプの換気扇です。DAIKENの『防音ダクト換気扇 32C型』は大風量・低騒音に設計されており、長い時間部屋を閉め切っていても遮音しながら換気します。

自宅で趣味に打ち込める環境を整えることができると、QOL(クオリティオブライフ)の向上につながります。音楽を心置きなく楽しみたいなら、デザイン性にもすぐれたDAIKENの防音建材でのリフォームを検討されてはいかがでしょうか。
ただし防音室は、各防音建材単体で防音性能を発揮できるわけではなく、建材の組み合わせ方次第で完成度が変わります。
防音室づくりには、用途に合ったグレードや建材の選び方が大切です。
※防音室のグレードについては、下記ページをご参照ください。
防音建材・音響製品 防音プラン
https://www.daiken.jp/buildingmaterials/sound/plan/
部屋を防音室にしたいのなら、まずは防音について理解し、目的に合わせた建材を導入しましょう。
DAIKENなら、近隣との距離や使用時間帯、音源の大きさなどに合わせてコストパフォーマンスの高い組み合わせを無料でご提案しているので、安心して採用していただけます。
DAIKENの建材で気兼ねなくセッションできる感動を味わってみませんか。

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監修者
志鎌のり子(しかまのりこ)
一般社団法人日本模様替え協会 理事/COLLINO一級建築士事務所代表。日本女子大学住居学科卒業、五洋建設でマンション・ビルの設計監理/内装デザインを10年担当。その後、日本ERIにて住宅検査など10年担当、設計・検査・審査した住戸数は延べ5,000件以上にのぼる。現在は部屋を「機能による空間分け」「動線」「収納」の観点から模様替えする独自のメソッドにより、機能的な部屋づくり/仕組みづくりなどを提案。書籍「家具配置のルール」のほかSUUMO、AERAwithKids、建築知識ビルダーズ、住まいの設計など著書多数。
保有資格:模様替えアドバイザー 一級建築士 建築基準適合判定資格者 住宅性能評価員 建物耐震診断士 フラット35適合証明検査員 など
公開日:2021.02.20 最終更新日:2025.06.23