杉・栃などの地域産材を内装材に! 地元に愛される施設を目指して
日本では国産の木材が十分に使われておらず、森林環境の悪化が問題視されています。そのため、杉や栃などの森林資源を循環利用する必要性が高まっています。 今回は、そんな国産材の現状や木材を採用することの魅力、さらには地域産材を活用するメリットなどについてご紹介します。
国内の森林資源を循環利用する必要性とは
日本は、国土の3分の2を森林が占める世界有数の森林大国です。資源として利用可能な森林資源が豊富ですが、需要が高いのは安価な外国産の木材なので、国産材の使用は3割程度となっており、現状では有効活用されていません。 このまま国産材が十分に活用されず、適正な整備や保全がされなければ、森は荒れて森林としての機能は低下していきます。「土壌を育てる」「土砂崩れが軽減される」「二酸化炭素の吸収量が増加する」などの観点から、森林の持つ様々な機能を向上させる必要があり、そのためには木を収穫して活用し、新たに植えて育てるという循環利用が不可欠なのです。
こうした事態を踏まえ、農林水産省では2009年に「森林・林業再生プラン」を策定し、「10年後の木材自給率50%以上」を目標に掲げました。ただ、2020年の目標達成が困難だったため、さらに5年先送りにして2025年時点での木材自給率50%以上を目指しています。
木材の循環利用を推進させるには、建材として活用するのが有効です。施設に地域産材を導入することで補助金を交付する自治体もありますので、地域社会への貢献を考える自治体・企業などは積極的に地域産材の採用を検討したいところです。
森林の産物である木材は、心地よい感覚を与えてくれる素材
国産材を採用するメリットは、森林保護への貢献だけではありません。
木材を取り入れた建物や内装材は、雰囲気がナチュラルで心地よく感じます。それは、「湿度」「温かさ」「香り」「柔らかさ」といった特徴によるもので、木材は他にも以下のような多くの魅力を持っています。
・湿度調整
水分を吸収・放出し、調整することで室内の湿度を一定に保ちます。
・心地よい温かさ
木材は熱伝導率が低いため、金属のように温まり過ぎて熱くなることがありません。
・リラックスする香り
木の香りには、森林にいるようなリラックス効果や、ストレスを和らげる効果があります。
・柔らかな素材感
木材は、細胞の集合体で隙間の多い構造のため、衝撃を吸収しやすく柔らかな心地よい感触があります。
また、木材には視覚的な効果もあり、建物に使用することで施設や店舗の印象を高めることができます。規格化された工業製品と違い、温かみのある雰囲気が演出できるため、訪れるお客様にとっても、働く従業員にとっても、気持ちよく過ごせる空間が作れるのです。
ノウハウがないと難しい地域産材の活用
杉や栃など地域を象徴するような木を採用すると、地域林業の活性化や補助金助成などのメリットだけでなく、住民に親しみをもってもらいやすくなるという利点もあります。ただし、杉など国産材の多くは、加工がしやすい反面傷つきやすく、知識と技術がないと活用が難しいという側面もあります。
一方、各建材・素材メーカーは国産材の活用を促進するため、様々な技術開発を行っています。木材の空洞部にプラスチックを注入し固めることで、木の素材感を保ったまま凹みや傷がつきにくい表面性能を実現する『WPC技術』などはその一例です。
国産材を活用することは日本が持つ森林資源の有効利用につながり、地域社会にも貢献できるなど多くのメリットが得られます。地元に愛される施設づくりを望む方は、ぜひ地元産材の活用をご検討ください。
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