ルーバーを内装に使用する効果とは?種類と施工アイデア

※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。
目次
羽板(はいた)を一定の間隔で平行に並べた「ルーバー」は、光や風、視線をコントロールしながら空間の意匠性を高める建材として広く採用されています。羽板を横方向に配置した「横型ルーバー」は安定感や広がりを演出し、縦方向に配置した「縦型ルーバー」は高さや開放感を強調できるのが特徴です。
この記事では、ルーバーを内装に使用する効果や種類、具体的な施工アイデアについて詳しく解説します。内装設計の際には、ぜひ参考にしてみてください。
ルーバーを内装に使用する効果
ここでは、ルーバーを内装に使用する効果について解説します。見た目だけでなく機能的にも優れた点が多く、幅広い施設で採用が広がっています。
●空間の意匠性を向上させる
ルーバーを壁面や天井に取り入れることで、空間に独特の陰影が生まれ、立体感と奥行きを感じさせる内装デザインに仕上がります。光の当たり方によって見え方が変化するため、時間帯や照明の演出によって多様な表情を楽しめるのも魅力です。直線的なラインが強調されることで空間全体が引き締まり、モダンで洗練された印象になります。
●通気性を高めて室温を快適に保つ
ルーバーは羽板を一定間隔で並べた構造になっており、壁や天井、間仕切りに取り入れることで自然な通気を確保できます。室内の熱や湿気を逃がしやすくなることで、エアコンに頼りすぎない快適な環境づくりに役立ちます。デザイン性と機能性を兼ね備えた建材として、快適な空間演出に効果的です。
●プライバシー性を高める
羽板の角度や間隔を調整することで、外部からの視線を遮りつつ採光・通風の確保が可能です。道路に面した窓に設置すれば、目隠し効果を発揮しながら圧迫感のない空間が実現します。
また、ルーバーを間仕切りとして設置することで、適度な抜け感を保ちながら視線をコントロールできます。廊下やリビングの仕切りなど、開放感を損なわずにプライバシーを確保したい場所におすすめです。
●日射をコントロールする
ルーバーは、日射を遮りながら適度に自然光を取り込める建材です。羽板の角度を調整することで、直射日光を防ぎつつ光を拡散させ、室温の上昇を抑えられます。窓まわりに設置すれば夏場の強い日差しが和らぎ、冷房効率の向上にもつながります。
●騒音を軽減し静かな環境を作る
ルーバーには、音の反射や伝わりを和らげる効果が期待できます。特に廊下や外周壁の内壁に設置することで、生活音の漏れを軽減できます。遮音材ほど閉鎖的にならず、デザイン性を保ちながら音環境を整えられる点もルーバーの魅力の一つです。
内装で使用されるルーバーの種類と主な施工方式
ここでは内装で使用されるルーバーの種類と、主な施工方式についてまとめて解説します。それぞれの違いを知り、適した種類・方法を選びましょう。
●内装ルーバーの種類
内装で使用されるルーバーには、主に「固定式」と「可動式」の2種類があります。
固定式ルーバー
固定式ルーバーは羽板の角度が決まっており、特定方向からの視線を遮るのが主な役割です。天井や壁、収納扉、階段手すりといった場所に多く用いられます。
可動式ルーバー
可動式ルーバーは羽板の角度を自由に変えられるため、採光や通風、視線を柔軟にコントロールできるのが特徴です。窓の内側や間仕切り、扉など、調整機能を重視する場所に適しています。
●ルーバーの主な施工方式
ルーバーの施工方式は、設置場所や目的、メーカー、製品によって変わります。
直付式(ビス止め式)
ルーバーの施工方式で一般的に用いられるのが「直付式(ビス止め式)」です。ルーバー本体を鋼製下地や捨て張り材に直接固定して取り付けます。取り付け方の特性上、天井や壁などの平滑な下地に施工するのが適しています。施工性や安定性が高く、住宅や商業施設の内装で広く採用されています。
ボルト固定式
ボルト固定式とは、受け金具や吊り金具を下地に固定し、羽板付きのルーバー本体をボルトやナットで締結して設置する工法です。天井等の高さがある部位に適しており、下地の捨て張り材なしでも吊りボルトやストリンガーを利用して施工可能です。また、重めの素材や大型サイズのルーバーに対しても強度確保がしやすいため、商業施設や公共空間でも広く採用されています。
クリップ固定式
クリップ固定式は、下地の野縁受けや吊り金具にクリップ(およびビス)を用いてルーバー本体を固定する工法です。既存下地を活かした改修時に有利で、新たな捨て張り材や大規模な下地組み直しをせず施工できるケースもあります。設置が比較的簡易でスピーディーに施工できるため、工期やコストが重視される現場に向いています。
ルーバーを用いた内装設計のアイデア
ここでは、ルーバーを用いた内装設計のアイデアを紹介します。意匠性と機能性、それぞれの観点で活用方法を見てみましょう。
●意匠性を高めるアイデア
壁や天井への利用
壁や天井にルーバーを取り入れると、光の当たり方によって陰影が生まれます。これにより、シンプルな平面に立体感と奥行きが加わり、上質で洗練された印象を演出できるのが魅力です。また、木製ルーバーを用いれば自然素材ならではの温もりと高級感がプラスされ、和モダンな雰囲気づくりに役立ちます。
照明との組み合わせ
ルーバーは照明と組み合わせることで、空間に奥行きと温かみを与えられます。例えば間接照明を天井や壁のルーバーに当てると、羽板の凹凸が光を柔らかく拡散し、落ち着いた雰囲気を演出できます。
さらに、天井ルーバーとペンダント照明を組み合わせると、視線が自然に上方へ導かれ、天井が高く見える効果も期待できます。光と影のコントラストを活かした演出は、住宅・非住宅を問わず人気のデザイン手法です。
施工ピッチのバランス調整
ルーバーの施工ピッチ(羽板の間隔)は、空間デザインに大きな影響を与えます。具体的には、ピッチを狭くすると陰影が濃くなり、密度の高い重厚な印象になります。逆にピッチを広くすると光や風の抜けが良くなり、軽やかで開放的な雰囲気を演出できます。
照明や視線の抜けを考慮しながら意図的にピッチを調整することで、光の漏れ方や空間のリズム感をコントロールできるのが魅力です。
羽板の向きの調整
ルーバーの羽板の向きは、空間の印象を左右する重要な要素です。
「横型ルーバー」は、水平ラインが強調されることで空間に広がりと安定感を与え、日差しの遮蔽にも効果的です。一方「縦型ルーバー」は視線を上方向へ誘導し、天井を高く見せる効果が期待できます。用途や部屋の形状に合わせて羽板の向きを選ぶことで、よりバランスの取れた空間演出が可能になります。
●機能性を高めるアイデア
ルーバーは空間を完全に仕切らず、視線だけをやわらかく遮る間仕切りとして機能します。壁ほどの圧迫感を与えず、通風や採光を確保しながらプライバシーを守れるのが特徴です。
例えば、飲食店の出入口と客席の間にルーバーの間仕切りを設けることで、動線を分けつつ落ち着いた雰囲気を演出できます。住宅でも空間を緩やかに仕切るゾーニングに効果的で、開放感を保ちながら空間にメリハリを生み出せます。
ルーバーを採用した内装の施工事例
ここでは、ルーバーを採用した内装の施工事例を取り上げます。空間を彩る建材として、ぜひ検討してみてください。
※製品は採用当時のものです。生産中止品も掲載されている場合があります。
●JGM霞丘ゴルフクラブ/茨城県

【使用製品】
壁造作材:グラビオルーバーUB 直付式<UB17(ウォールナット柄)>
 

【使用製品】
天井造作材:グラビオルーバーUB 直付式<クリアベージュ柄>
●株式会社たけでん(JPタワー大阪)/東京都

【使用製品】
壁造作材:グラビオルーバーUB 直付式<ライトオーカー柄>
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<グラビオルーバーの特徴>
『グラビオルーバーUS』
天然木突板仕上げの不燃造作材で、空間に木の温もりと高級感を演出できるルーバーです。羽板の立体感が生み出す陰影により、ホテルや商業施設などで上質な空間づくりが可能となります。
『グラビオルーバーUB』
化粧シート仕上げの不燃造作材で、多様な色柄のバリエーションを用意しています。抗菌・耐薬品性能を備えており、公共施設や医療・教育施設など、清潔さやメンテナンス性が求められる環境にも対応します。
『グラビオルーバーUS/UB ボルト固定式 新幹線再生アルミ芯タイプ』
芯材に新幹線再生アルミを使用したルーバーです。天然木突板仕上げ(US)と化粧シート仕上げ(UB)を選択でき、デザイン性と機能性の両立が可能です。
ルーバーを内装に取り入れてワンランク上の空間づくりを
ルーバーは、光や風、視線をコントロールしながら空間に美しい陰影と立体感を演出できる建材です。壁や天井、間仕切りなど多様な場所で活用でき、意匠性と機能性の両面から快適な空間づくりをサポートします。建築主が意匠性と機能性のどちらにもこだわりたいのなら、ぜひルーバーの活用を検討してみてください。
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