不燃化粧板とは?使用が必要な理由と魅力、選定時の注意点

※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。
不燃化粧板は防火性能を満たす内装材として建築基準法で規定されており、壁材や天井材を中心に幅広く利用されています。本記事では、不燃化粧板の基本構造から性能分類、使用が求められる理由や各種類の特徴、選定時の注意点までを解説します。
設計段階での素材選定や施工計画に活かせる情報をまとめているので、公共施設や商業施設等の内装設計にぜひご活用ください。
不燃化粧板とは
不燃化粧板とは、国土交通大臣によって不燃認定を受けた化粧仕上材を指します。火災時に燃え広がりにくく、有害な煙やガスの発生も抑えられることから、壁材や天井材として公共施設や商業施設など、さまざまな施設の内装に使用されています。
不燃化粧板の構造は「表面材」と「基材」の二層で、表面材は木目柄や石目柄など多彩なデザインを揃え、抗菌や耐薬品性などの機能性を備えたものもあります。一方で基材には、火山性ガラス質複層板や石膏ボード等が使われており、耐火性能と耐久性を備えています。
不燃性能のグレードには「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」の3種類があり、製品ごとに認定番号が付与されています。壁パネルやカウンター、棚板などの用途に応じて、接着剤や断面形状の仕様まで含めた建材選定が重要です。
| 防火材料の種類 | コード(認定番号) |
|---|---|
| 不燃材料 | NM-◯◯◯◯ NE-◯◯◯◯(外部仕上用) |
| 準不燃材料 | QM-◯◯◯◯ QE-◯◯◯◯(外部仕上用) |
| 難燃材料 | RM-◯◯◯◯ RE-◯◯◯◯(外部仕上用) |
参考:「認定番号の付番方法」(国土交通省)
不燃化粧板が必要な理由
建築基準法によって、特定用途の建築物には不燃性の高い建材の使用が義務付けられています。具体的には、「内装制限」と呼ばれる規定によって、不特定多数の人が利用する建物の壁や天井に、不燃化粧板のような防火性能の高い内装材を使用することが求められます。
対象となる建築物には劇場や病院、ホテル、学校、百貨店などがあり、火災時の延焼や煙の拡大を抑えることで安全に避難できる環境を確保するのが目的です。
内装制限について、詳しくは下記の記事で解説をしています。
不燃化粧板の魅力と選ぶ際の注意点
ここでは、不燃化粧板の魅力と選ぶ際の注意点について解説します。メリットだけでなくデメリットも考慮して建材選定を行いましょう。
●不燃化粧板の魅力
デザインが豊富
不燃化粧板には木目や石目、単色など、豊富な意匠パターンの製品があります。中には本物さながらの質感を持った不燃化粧板もあり、壁材や天井材、造作材など、用途に応じて選べる点が魅力です。
施工性が高い
タイルや石などの仕上材は、現場で貼る際に目地詰めなどの処理が必要になり、作業の手間がかかります。一方、不燃化粧板は仕上げ済みの状態で出荷され、適切な下地処理を行えば接着剤やビス等で固定するだけで施工できるため、現場での作業が簡単でスムーズです。また、製品自体が不燃認定を取得しており、品質が安定しているため、現場での塗装や不燃処理を行う必要がありません。
メンテナンスがしやすい
表面に防汚加工や防水処理が施されている不燃化粧板であれば、日常の清掃や維持管理が楽になります。長期的に見ても、メンテナンスコストの削減につながります。
●不燃化粧板を選ぶ際の注意点
製品によっては、質感に課題があるケースが見られるため注意しましょう。特に意匠性にこだわる場合は、本物の木材や石材に近い質感の製品を選ぶのがおすすめです。
また建築基準法で求められる性能を満たすためには、組み合わせる下地材との適合性も確認することが重要です。仕上材だけでなく下地材も含めて、不燃性能を確保する必要のあるケースがあります。
不燃化粧板の主な種類
ここでは、不燃化粧板の主な種類を解説します。素材によって異なる特徴があるため、用途に応じて使い分けるのがおすすめです。
●メラミン不燃化粧板
メラミン不燃化粧板とは、メラミン樹脂を含浸させた装飾層と不燃性コア材を高温・高圧でプレスして成形した板材です。耐水性や耐熱性に優れており、特に水回りの壁材や天井材として適しています。また色柄のバリエーションも豊富で、デザイン性と機能性を両立できる点も魅力です。
●化粧石膏ボード
化粧石膏ボードは、石膏を主成分とした基材の表面に化粧シート等を貼った不燃化粧板です。軽量で施工性に優れ、壁材や天井材として幅広く使用されています。表面は平滑で塗装やシート仕上げがしやすく、室内空間に合わせたデザイン調整も可能です。
●不燃突板化粧板
不燃突板化粧板は、天然木の突板を不燃性基材に貼り付けた化粧板です。木の質感を活かしつつ不燃性能も確保できるため、意匠性の求められるホテルや商業施設の壁材、造作材などに適しています。
●化粧フレキシブル板(繊維強化セメント板)
化粧フレキシブル板は、基材に繊維強化セメントを用いた不燃化粧板です。高圧のプレスで加工することで、湿気などによる寸法変化や反りが少なくなります。耐水性・耐久性にも優れており、天井材や壁材としても安心して使用できます。
●化粧ケイカル板
化粧ケイカル板は、ケイ酸カルシウムを主成分とした不燃性の板材に化粧シート等を施した製品です。耐火性と耐久性が高く、浴室や厨房など湿気の多い場所にも適しています。軽量で扱いやすいのが特徴ですが、強度の確保には一定の厚みが必要です。
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●不燃化粧板の新たな選択肢DAIKEN『グラビオ(GRAVIO)』シリーズ
DAIKENが展開する『グラビオ(GRAVIO)』シリーズは、既存の不燃化粧板を進化させた製品です。木目や石目など多彩なデザインを揃え、公共施設や商業施設などの内装に幅広く採用されています。軽量で加工性が高く、施工現場の省力化にも寄与します。
『グラビオUS』
スギやヒノキをはじめ7種類の樹種バリエーションが選べる不燃突板化粧板です。天然木突板ならではの風合いと質感が魅力です。地域産材にも対応(※)しており、地域性を打ち出したい場合は有力な選択肢になるでしょう。
※対応可能な地域については弊社営業窓口にお問い合わせください。(数量・納期・樹種等により対応できない場合もございます。)
『グラビオエッジ』
深彫り調のエンボス加工で、エッジの効いた陰影と素材感のある意匠が魅力の装飾不燃化粧板です。間接照明との組み合わせで壁面にアクセントを加えれば、空間を個性的に演出できます。
上記の他にも、『グラビオ(GRAVIO)』シリーズにはさまざまな製品ラインアップが用意されています。詳しくは下記の製品ページをご確認ください。
不燃化粧板の特徴を押さえて適切な建材選びを
不燃化粧板は火災時の被害軽減や安全の確保に役立ち、法令上でも使用が求められる重要な建材の一つです。デザイン性や施工性、メンテナンス性等に優れ、メラミンや突板、石膏ボードなど、用途に応じたさまざまな種類があります。
建築士はこうした建材の持つ特徴を踏まえながら、設計対象となる施設に必要な仕様を満たす、適切な建材選びが求められます。DAIKENでは、施設の内装設計に役立つ資料をご用意していますので、不燃化粧板の建材選定に悩んだ際はぜひご活用ください。
また建築士や設計関係者向けの会員制情報サイト『D-TAIL』では、施設設計や建材選びに役立つさまざまな情報を掲載しています。会員登録の上、日々の業務にお役立てください。
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