インシュレーションボードとは?建材の特徴や用途の例

インシュレーションボード

※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。

建築の内装設計において、下地材は空間性能や施工性などに影響します。下地材の一つである「インシュレーションボード」は、畳の芯材や床・壁・屋根の下地、養生材など幅広い場面で使用されている建材のため、基本的な特性や用途を把握しておくことが重要です。

本記事では、インシュレーションボードの基礎知識や種類、用途を整理し、設計上で比較検討されることが多い「MDF」や「ハードボード」との違いについても解説します。

インシュレーションボードとは?

ここではまず、インシュレーションボードの概要やメリット・デメリットについて解説します。

●インシュレーションボード(軟質繊維板)の概要

インシュレーションボード(軟質繊維板)とは、木質繊維を主原料とした建材です。木材の端材や廃材を繊維状にほぐし、接着剤や合成樹脂と混合・乾燥して成形されます。

加工により均質なボードとなっているため、断熱性能や緩衝性に優れ、内装下地や天井材、壁材など幅広い用途に使用されます。木質系のリサイクル素材を利用していることから、グリーン購入法の特定調達物品目にも指定されており、環境配慮型の建材として注目されています。

●インシュレーションボードのメリット・デメリット

メリット

インシュレーションボードは木質繊維の間に空気層を含むため、優れた断熱性・吸音性・クッション性を備えています。さらに、軽量で扱いやすく、チップソーやボードカッターでの切断も容易なため、加工性に優れているのもメリットです。

デメリット

先述した通り、インシュレーションボードは木質繊維を使用した素材のため、水分を吸収しやすく、湿気の多い環境ではカビの発生や寸法変化の原因となることがあります。

また、防蟻処理がされていない場合はシロアリ被害のリスクもあるため、使用場所には注意が必要です。湿気対策や適切な施工が求められることから、主に乾燥した屋内の内装用途に適しています。

 

インシュレーションボードの種類

インシュレーションボードには、主に「シージングボード」「A級インシュレーションボード」「たたみボード」という3つの種類があります。それぞれの特徴を解説します。

●シージングボード

シージングボードは、耐水性や防湿性を高めるためにアスファルト処理が施された製品です。この処理により湿気に強くなり、主に外壁下地材や床下断熱材として使用されています。通常のインシュレーションボードよりも耐候性に優れており、構造体を湿気から守る役割を担います。

●A級インシュレーションボード

A級インシュレーションボードは密度や強度に優れた製品で、適度な硬さと断熱性を両立しているのが特徴です。主に天井用や床下地、壁材などの建築内装に使用され、断熱性や吸音性を重視した用途に適しています。

●たたみボード

たたみボードは、インシュレーションボードの中でも畳の芯材として使用される製品です。木質繊維を圧縮してクッション性と耐久性を高めた構造で、従来の藁床に比べて寸法安定性があり、カビや虫害への耐性にも優れています。厚みや強度に応じた等級が設定されており、畳製品の軽量化や安定供給に貢献する建材として和室空間を支えています。

 

インシュレーションボードとMDF、ハードボードとの違い

インシュレーションボードと類似する建材に「MDF」と「ハードボード」があります。それぞれの特徴の違いを理解することで、適切な建材選定につながります。

インシュレーションボードとMDF(中密度繊維板)、ハードボードは、いずれも木質繊維を原料とする「ファイバーボード」に分類されますが、それぞれ密度や用途に違いがあります。

インシュレーションボードは最も密度が小さく(0.35g/cm³未満)、断熱性やクッション性に優れているため主に内装下地や緩衝材として使用されます。そしてMDFは中密度(0.35~0.80g/cm³)で、均質な素材感と加工性の高さから家具や建具、化粧板の基材として利用されています。ハードボードは3つの中で最も密度が高く(0.80g/cm³以上)、耐衝撃性や耐水性が求められる場面に適しており、背板や型枠材など強度重視の用途に用いられることが多いです。

インシュレーションボードの主な用途

ここでは、インシュレーションボードの主な用途について解説します。具体的な使い方を把握することで、設計の引き出しが増え、より多様な要望に応えられるようになるでしょう。

●畳の芯材

軽さと適度な強度、クッション性を持つインシュレーションボードは、畳の芯材として広く利用されています。特に「たたみボード」と呼ばれる密度の低いタイプは、寸法安定性や防虫性にも優れており、従来の藁床に代わる芯材として注目されています。

DAIKENには、インシュレーションボードを芯材に用いた『ここち和座 敷き込みタイプ 穂波』といった製品があります。心地よい肌触りが魅力で、モダンな和室空間におすすめの床材です。

●床下地

インシュレーションボードは軽量で断熱性、緩衝性に優れているため、床下地材としても使用されています。クッション性のある構造が歩行時の衝撃を和らげるため、床仕上材の下地として性能を発揮します。

DAIKENでは、インシュレーションボード(シージングボード)を使用した床下地材『床コンビボード』を扱っています。断熱性を高めつつ、階下への音の響きを和らげてくれる役割を果たします。

●壁下地

インシュレーションボードは、壁下地材としても広く用いられています。木質繊維の持つ多孔質構造により、壁内の湿度変化を緩和し、快適な室内環境づくりに役立ちます。

DAIKENの『アセダス・通気ボード』は、外壁通気構法に対応した壁下地材です。壁内部の湿気を屋外に逃がし、結露のリスクを軽減することで、腐れや白蟻の被害から建物を守ります。

●屋根下地

断熱性や吸音性、緩衝性に優れている特性を活かして、インシュレーションボードは屋根下地材としても活用されています。屋根構造に用いることで屋内への熱の侵入を抑え、室内環境の快適性を高められるのがメリットです。また軽量で施工性に優れているため、工期短縮や作業負担の軽減にもつながります。

DAIKENには『ビルボード』という屋根下地材があります。金属屋根に響く雨音を軽減すると共に、断熱効果によって夏の暑さや冬の寒さを軽減する役割を果たします。

●梱包材

インシュレーションボードは軽量でクッション性に優れていることから、緩衝材・養生材として梱包用途にも活用されています。木質繊維の間に多くの空気を含む多孔質構造により衝撃を和らげるため、梱包する製品の保護に適しています。再生資源を原料とする環境負荷の低い素材としても評価されており、持続可能な梱包材として需要が高まっています。

●養生ボード

施工現場などで床や壁等の表面を保護する養生ボードとしても、インシュレーションボードが広く利用されています。クッション性と適度な強度を兼ね備えており、建材や設備機器を搬入する際に傷や汚れから室内を保護する役割を果たします。

DAIKENでは、インシュレーションボードを基材に用いた『吸ホル養生ボード』を扱っています。施工中に発生するホルムアルデヒドの吸着性能を備えた養生ボードで、床材保護に加え、室内環境への配慮が求められる現場でも役立ちます。

●吸水ボード

インシュレーションボードの吸水力を活かし、ペット用トイレ等の吸水ボードとして利用されることもあります。多孔質構造が液体を素早く吸い上げて保持する役割を果たし、床面や資材の保護に役立ちます。

 

多用途に活躍するインシュレーションボードへの理解を深めて設計に活かそう

インシュレーションボードは、木質繊維を原料とした環境にやさしい建材です。断熱性や吸音性、加工性に優れ、多彩な用途に活用されています。各社からさまざまな製品が販売されているため、設計の際は、用途に合った製品を適切に選定しましょう。

DAIKENでは今回取り上げたインシュレーションボードやMDFをはじめ、多様な建築資材を取り扱っています。興味のある方は、ぜひ以下のカタログをご請求ください。

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