音環境ソリューションでWell-Beingな空間を実現 パナソニックのライブオフィス

音環境ソリューション
  • ◆課題

    会議室の音が響きすぎて、快適な環境ではなかった
    ・会議室は、床面積に対して窓ガラス面が広く天井が高かった
    ・残響音により浴室で話しているような状態に
    ・パナソニックがもつ独自のソリューションだけでは、解決できなかった

    ◆解決策&ソリューション

    測定・シミュレーションで、吸音材導入後の改善効果を可視化
    ・音環境を測定、シミュレーションし、改善効果を可視化したうえで、最適な数量を提案
    ・『サウンドトロン』と『OFF TONE マグネットパネルN』で音響環境を改善

    ◆効果

    コミュニケーションが円滑に、誰にとっても使いやすい会議室に
    ・会議室の音響環境改善で、リアル・オンラインどちらの会議でも快適に
    ・会議室の利用率が上がり、コミュニケーションの円滑化、仕事の生産性向上に貢献

パナソニック株式会社エレクトリックワークス社「worXlab」(パナソニック東京汐留ビル内)|東京都

働き方改革やコロナ禍を経て、近年注目が集まるWell-Beingなオフィスづくり。パナソニック株式会社エレクトリックワークス社ではいち早くこの取り組みに着目し、働く人にとって快適なオフィス提案のための新たな組織を立ち上げました。その取り組みの一環として、大阪府門真市の本社構内にある「システムソリューション開発センターオフィス」においてWELL認証を取得。WELLプロジェクトの認証取得支援を行うことができる専門資格WELL AP(WELL Accredited Professional)有資格者の育成にも注力してきました。そして、2020年にはニューノーマル時代のワークプレイス創造に向け「『働く』を実験する」をテーマにしたライブオフィス「worXlab」をオープン。オフィスワーカーたちがより健康的に、快適に仕事に取り組むことのできるオフィス環境が実現したものの、「worXlab」では一部の会議室の音環境に課題を抱えていました。

その課題を解決するために、DAIKENがシミュレーションや測定結果を元に最適な音環境をご提案し、最終的には、音響調整部材『サウンドトロン』、吸音パネル『OFF TONEマグネットパネルN』が導入されました。

今回は担当者様へのインタビューを通じて、DAIKEN製品の導入経緯や導入後の働き方への効果について詳しくお話頂きました。

  • お話を聞いた方々

  • 神谷 学氏
  • パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
    ソリューションエンジニアリング本部
    ソリューション事業統括部
    アーキテクチャWell-Being カテゴリー
    Wellマーケティング・営業推進部 部長
    神谷 学 氏

     

  • 富永 範子氏
  • パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社
    ソリューションエンジニアリング本部
    ソリューション事業統括部
    アーキテクチャWell-Being カテゴリー
    Wellマーケティング・営業推進部
    富永 範子 氏

人起点の空間価値創出を目指して「働く」を実験する「worXlab」(ワークスラボ)

―Well-Beingなオフィス空間への取組について

パナソニック 富永氏
2018年から2019年頃にかけて盛り上がっていた働き方改革の流れもあり、Well-Beingなオフィス環境づくりへの取り組みを本格的にスタートさせました。
もともと私たちパナソニックは「人の健康、快適な暮らしを科学する」というコンセプトのもと、快適な空間作りのための技術開発を長年行ってきています。
当社の持つ照明や空調など様々な技術をどのように用いればオフィスで働く人たちがより健康的に働くことができるだろうか、という問いかけがWell-Beingなオフィス環境づくりの始まりでした。

パナソニック 神谷氏
時代とともに価値観が変わり、建物という「箱」から「人」を起点とした価値創造が求められるようになったこともきっかけのひとつです。
そのなかで2019年10月にまずは自分たちのオフィスから改修してみようという、ある意味実験的な試みで、空間の価値を検討・検証する部署が立ち上がりました。
そこには技術職や企画職、マーケティング、営業など、様々な部門からメンバーが集まってアイディアを出し合いながら人起点でのWell-beingなオフィス環境を模索していました。
また、2020年には大阪府門真市の本社構内にある「システムソリューション開発センターオフィス」において初めてWELL認証を取得しました。そのオフィスは何度か改修を重ねていましたが、WELL認証を取得したうえで従業員からアンケートを取ったところ、仕事がしやすくなった、居心地が良くなったという声が多くあがりました。その経験から、WELL認証を指標としたオフィスの提案を新たな価値として提供しています。

―パナソニック「worXlab」(ワークスラボ)とは?

パナソニック 富永氏
汐留にある「worXlab」は、「『働く』を実験する」をテーマとした当社のライブオフィスです。オフィスワーカーがいきいきと健やかに働ける理想の環境を追求するための実証実験の場でもあり、当社のソリューションを活用し日々アップデートを重ねています。
室内はWELL認証の指標に基づき、働く人たちの五感に訴えかけながら仕事がしやすい、居心地がいいと思ってもらえるようなコンセプトになっています。
たとえば、集中して仕事をしたい場所、仲間同士でコミュニケーションを取りたい場所など、エリアごとに目的に応じて照明の明るさを変えていたり、二酸化炭素濃度が高くなりがちな会議室には、空気が循環しやすくなり、さらに爽やかな香りがするような空調システムを設置していたり。音環境も「執務に集中するため」、「リラックスするため」、「コミュニケーションを取りやすくするため」などエリアに応じて調節されており、空間の用途にあわせたゾーニングを行っています。
実際に当社の社員もオフィスとして利用しますし、お客様には実際にご来社いただき、体感していただいています。

置くだけ、貼るだけの吸音材で会議室の残響音を改善

―「worXlab」の課題は?

パナソニック 神谷氏
健やかで働きやすいオフィスというコンセプトでオープンした「worXlab」ですが、一部の会議室が使いにくいという声が上がっていました。
その会議室は、特にオンライン会議をする時の反響がひどく、音環境が非常に良くなかったのです。
床面積がそこまで広くない室内に対して、窓ガラスの面も多く天井も高いため、音の響きが気になり、まるで浴室内で話しているような状態でした。
特に私は補聴器を使用していて、もともと高音域は聞き取りにくいのですが、スピーカーから増幅される音が反響しているような状況だと、話の内容が全く入ってこず、会議室にいられるような状態ではありませんでした。ここで会議するのはかなり辛く、対面の方が良いと分かっていても、この会議室で打ち合わせをするときは敢えて別室からWEB会議に参加することもありました。

パナソニック 富永氏
こういった課題に直面した際に、私たちが持っているソリューションでは対応が難しいと感じていました。私たちには、様々な手法で「マスキング音を流して会話内容を聞き取りにくくする」技術はありましたが「音を遮る、吸収する」というアプローチについては商材や知見を持っていませんでした。
そこで、point 0(※1)参画企業として普段から交流のあったDAIKENに相談してみたところすぐに下見に来てくださって。
※1:point 0は「働く」を再定義することを共通のキーワードに、異業種コラボレーションにより空間の価値を創出し、オープン・イノベーションを加速化することを目的に2019年7月にスタートした、協創/共創のためのコンソーシアムです。プロジェクトに参加する企業が相次ぎ、現在の参加企業は18社(2024年3月時点)。各社のソリューションを理想的に繋ぎ合わせ、働き方や働く場の在り方を再定義する。そういった意気込みのもと、様々な実証実験が展開されています。

会議室の残響時間や会話の明瞭度の測定などシミュレーションをしていただき、WELL認証の指標と比較してどれだけ良くない状況なのかを数値化してくださいました。
音は目に見えるものではないので、数値化や可視化することで科学的に現状や課題が把握できるDAIKENの音の技術に驚きましたね。
その数値をもとに、音響調整部材『サウンドトロン』と吸音パネル『OFF TONE マグネットパネルN』の最適な数量をご提案いただいたので、非常に納得感がありました。

音環境ソリューション

サウンドトロン
自立タイプの音響調整部材『サウンドトロン』。部屋の四隅・壁際に置くだけで室内の音響調整が可能。

 

音環境ソリューション

オフトーン
音の反響を抑える吸音パネル『OFF TONE マグネットパネルN』。オフィスの雰囲気に合わせて選べる豊富なカラー展開。

―実際に使用した感想は?

パナソニック 神谷氏
私にとって会議室の音環境は、劇的に改善されました。改善後の会議室に初めて入った時には期待以上の効果で、感動的な体験でした。
補聴器は小さい音も聞こえやすくしようと増幅してくれるものですが、それにより逆にこの会議室での音が耳の中でハウリングしているような状況だったのです。それが今では、この会議室でオンライン会議するときも全く違和感なく聞こえるようになりました。
なにより、会議をしていて必要以上に疲れなくなったことが嬉しいです。
これが実現できるとは、『サウンドトロン』、『OFF TONE マグネットパネルN』導入前には考えられなかったですね。
私としてはせっかく会議をしていても、音環境に課題があることによって話していることが頭に入ってきづらく、話し手としても不完全燃焼に終わってしまいます。その状況が改善されたことで、コミュニケーションも円滑になりましたし、結果的にそれが仕事の生産性を向上させることにも繋がっていると思います。

パナソニック 富永氏
製品導入前後で会議室の利用率を比較したところ、約5%ほど向上していました。
音の聞こえ方に不安のない方はもちろん、不安のある方も一緒に快適に利用できるということで、使えるシーンが増えたのだと思います。DEI(※2)の面からも効果的なソリューションだと感じます。
※2:DEI:Diversity(ダイバーシティ)、Equity(エクイティ)、Inclusion(インクルージョン)

また、なんといっても『サウンドトロン』、『OFF TONE マグネットパネルN』ともに工事が不要で、導入が簡単なのが良いですよね。
『OFF TONE マグネットパネルN 』は壁(スチールパーティション)に貼るだけですし、『サウンドトロン』に至ってはそこに置くだけという手軽さです。C工事ですらないという。この手軽さがあるからこそ、目的に応じてふたつを組み合わせることでより効果を生み出すという使い方も出来るのだと思います。
『サウンドトロン』は落ち着いた配色でオフィスに馴染むデザインですし、女性ひとりでも運べるくらいの重量感(重量4kg/本)です。
当社にオフィスのご相談にいらっしゃる方にご提案する際も非常に役立っています。
製品を入れている部屋とそうでない部屋では音の聞こえ方が全く違うので、実際に体験していただくことで、音の聞こえやすさがコミュニケーションや仕事に与える影響についてすぐに分かってもらえるという点でも、導入した価値が充分にあったと思います。

音環境ソリューション

―今回の取り組みで感じた可能性は?

パナソニック 富永氏
今回、DAIKENの音環境の測定・シミュレーション技術をもとに製品を導入したことで、私たちとDAIKENが連携することでのシナジー効果によって、これまでにない価値を生み出していくことが出来そうだと実感しました。
パナソニックが得意な電気音響、DAIKENが得意な建築音響を組み合わせることで、どちらか一方だけでは対応できなかった課題も解決していけるのではないでしょうか。
秋葉原テクニカルスペースに伺った際も音改善の体感といった非常に良い顧客体験をさせて頂いて、それが製品の導入にも繋がりましたし、私たち自身もお客様への価値訴求の仕方について、たくさんのヒントを頂きました。
今後は今よりももっと連携を深め、電気音響と建築音響を組み合わせたWell-Beingなオフィス環境づくりを追求していきたいと思います。

パナソニック「worXlab」

●施設データ
パナソニック株式会社エレクトリックワークス社
「worXlab」(パナソニック東京汐留ビル内)

パナソニック「worXlab」は、「『働く』を実験する」をテーマとしたライブオフィスです。オフィスワーカーがいきいきと健やかに働ける理想の環境を追求するため、WELL認証の指標に基づいた様々なソリューションが採用されています。
「Well-Being for workplace」をコンセプトに、すべての働く人がいつでも心地良く、健康的に過ごせる環境を提供し、多様な働き方に応じた働きやすさと生産性向上の両立を目指したニューノーマル時代の新しいオフィス空間です。

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