車椅子に適したフローリング・床材とは?必要な性能と施工事例

車椅子

※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。

車椅子の使用が想定される空間では、設計時にフローリングなどの床材の選定に注意が必要です。本記事では、車椅子に対応するために求められる床材の性能や床材ごとの特徴、おすすめの製品について解説します。病院や介護施設の設計時には、ぜひ参考にしてみてください。

車椅子での利用を想定したフローリング・床材に求められる性能

ここではまず、車椅子での利用を想定したフローリング・床材に求められる性能について解説します。

●安全性

車椅子を使用する場所の床材には、「滑りにくさ」が求められます。表面がツルツルした素材では車椅子のタイヤが滑り、方向転換や停止が難しくなることがあります。特に土足での使用が想定される場所では、よりグリップ力のある表面が望ましいです。ワックスによる光沢仕上げも滑りの原因となるため、艶消しタイプの床材や滑り止め加工が施された製品を選ぶことが安全性を高める上でのポイントになります。

●耐久性

車椅子での走行は、一般的な歩行時よりも床材に強い負荷をかけてしまいます。キャスターの回転や移動時の摩擦で、すり傷やへこみが生じやすくなるため、耐久性に優れた床材を選ぶようにしましょう。厚みがあり、傷や摩耗に強い床材を使用することで補修の頻度が減り、長期的な快適さと安全性を確保できます。

【病院・介護施設向け】車椅子に適したフローリング・床材の種類

ここでは、病院や介護施設向けに車椅子に適したフローリング・床材の種類について紹介します。

●複合フローリング

複合フローリングは、表面に適度な硬さがあることから車椅子のタイヤが滑らかに動きやすく、施設内の移動をスムーズにします。また、キャスターによる傷にも比較的強いタイプが多く、長持ちしやすい点がメリットです。表面がコーティングされている床材なら汚れや水にも強く、掃除の手間を軽減できます。

●無垢フローリング

無垢材の中でも、ナラやカバなど比較的硬い樹種を選べば、車椅子の使用にも耐えられます。天然木ならではの温かみと快適性が魅力で、上質な雰囲気を演出できます。ただし一般的には傷が付きやすい素材なので、表面を硬化処理した製品を選ぶのが安心です。

●コルクタイル

コルクは滑りにくく、車椅子の操作性にも優れています。弾力があり転倒時の衝撃を和らげるため、安全面にも配慮された素材と言えます。また、タイルタイプであれば部分的な張り替えが可能なので、メンテナンスも容易です。

●バリアフリーマット

バリアフリーマットは段差の解消や滑り防止にも役立ち、床材として使用することで施設内の安全性を高めてくれます。置くだけで簡単に敷設できるため、車椅子対応への一時的な対策にも使いやすく、価格も比較的手頃です。

●塩ビタイル

塩ビタイルは耐久性・防水性に優れており、キャスターの摩耗にも強い床材です。デザインも豊富で、木目調などインテリアに合わせた選択が可能です。またタイルを1枚ずつ剥がしてお手入れできるためメンテナンスが簡単で、衛生面にも配慮できます。

●長尺シート(塩ビシート)

広範囲に継ぎ目なく施工できる長尺シートは、水や汚れに強く、掃除もしやすいのがメリットです。クッション性があり、車椅子でもスムーズに移動ができます。病院や介護施設の床材としても、幅広く採用されています。

車椅子に対応したおすすめのフローリング

ここでは、DAIKENの車椅子対応のフローリングを紹介します。デザイン性と機能性に優れた製品のため、ぜひ床材の選択肢に加えてみてください。

●コミュニケーションタフ バイオリーフ DW

コミュニケーションタフ バイオリーフ DW』は、車椅子やキャスターの使用(※)に対応している高耐久のフローリングです。滑りに配慮されているだけでなく、抗菌機能や耐薬品性が備わっており、衛生面にも優れています。またワックス不要でお手入れが簡単なため、医療機関など多くの人が利用する空間に適しています。

●デザインタフジオラ

デザインタフジオラ』は、厚み4.9mmと一般的な床材よりも薄く作られており、段差を極力減らすことで、つまずきの防止につながります。車椅子やキャスターの使用(※)にも対応しており、滑りにも配慮されています。

●おもいやりフロアⅤ

おもいやりフロアⅤ』は、表面に滑りにくく、つまずきにくい加工が施されている床材です。表面の硬度が高いため、車椅子やキャスターでの使用(※)にも耐えられます。土足には対応していないため、介護施設などの居室部分への使用がおすすめです。

※金属製キャスターや球状キャスターは使用しないでください。キャスターの使用頻度の高い箇所には、カーペットなどを敷いて床を保護してください。

車椅子に対応したフローリングを採用した事例

ここでは、DAIKENの車椅子に対応したフローリングを採用した事例を紹介します。病院や介護施設の設計の参考としてお役立てください。

※製品は採用当時のものです。生産中止品も掲載されている場合があります。

●デイサービスセンター よつば かんなべ/広島県

デイサービス車いす対応床

【使用製品】
床材:コミュニケーションタフⅡ FW<オーク(クリア色)>
室内ドア:おもいやりドア<ダルブラウン柄>
腰壁:グラビオUB<ダルブラウン柄>

「デイサービスセンター よつば かんなべ」の施工事例を見る

●地域密着型特別養護老人ホーム しづの想い/群馬県

養護老人ホーム室内

【使用製品】
室内ドア:おもいやりドア<トープグレー柄>
床材:コミュニケーションタフⅡ DW<オーク(アンバー色)>

オウカス船橋室内

【使用製品】
床材:コミュニケーションタフ DW<オーク(クリア色)>

安心・快適な空間づくりには車椅子に対応したフローリング選びが重要

車椅子を使用する空間の床材は、安全性や耐久性といった性能に配慮することで、安心・快適な利用につながります。また近年では、デザイン性と機能性を両立した製品も多数登場しており、病院や介護施設でも活用が広がっています。設計を行う際は、意匠性と利便性をどのように両立させるかを考えながら、床材の選定を行いましょう。

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