【第2回】クリニック経営者108名に聞いた「開業時の内装工事にかけた費用」

クリニック 内装

2023.02.27

クリニックの内装工事にかかる費用はどのくらいなのか

医院・クリニック・診療所(以下、クリニック)の開業費用のうち、金額を抑えることもかけることもできるもののひとつに内装費用が挙げられます。患者さんが安心して過ごせるような清潔感を感じられるデザインはもとより、スタッフが無駄なく動けるレイアウトにも気を配る必要があり、診療科やクリニックの規模によっても適した内装は変わります。

そこでDAIKENは、クリニックの経営者108名を対象に、開業時の内装工事にかけた費用について独自調査を行いました。

診療科によって広さはさまざま

まずは、ご自身が経営されているクリニックの延べ床面積について質問しました。

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クリニックは診療科によって必要な医療機器や設備が異なり、必要な広さも変わってきます。しかしいずれの診療科であっても、医療機器や什器の設置、また通路の幅やトイレの内部設備などへのバリアフリー対応が必要なことから、他の店舗業態に比べると広さが必要です。

契約時の物件の状態は「居抜き」と「スケルトン」がどちらも約3割

内装費用は物件の状態によっても変わります。今回のアンケートに回答してくださったクリニック経営者のうち、「居抜き物件」「スケルトン物件」を選んだ方がどちらも約3割でした。

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「その他」(17.6%)の回答には新築した方が16名、ご実家のクリニックを引き継がれて改装などを行われた方が2名いらっしゃいました。

内装工事費はこだわりや物件の状態によりさまざま

内装工事にかかった費用を坪単価にすると、「10万円未満」(3.7%)はごく少数派。多くの場合、10万円以上をかけていることがわかりました。

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調査データを詳しく見てみると、20坪未満のクリニックは10~20万円で抑えているケースが多く見られました。しかし20坪台のクリニックでも50万円以上かけた方が3名、70坪以上のクリニックで10万円未満の方が2名いらっしゃいました。

飲食店ヘアサロンなど異なる店舗業態と同様に、必ずしも物件の広さと内装費用が比例するという関係性は見られません。ご自身のこだわりや、物件の状態によって費用が上下していることが伺えます。

クリニックの内装工事で一番費用をかけたのは壁

続いて、クリニックの内装工事で一番費用がかかった場所を聞いたところ、最も多かった回答は「壁」(16.7%)、次いで床と什器が同数(13.9%)でした。

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「その他」の回答としては、配管・床暖房・エレベーター(いずれも1名ずつ)という、クリニックならではの回答も見られました。

特殊加工や面積が広い場所は費用がかかる

一番内装費用がかかった場所について、その理由を聞いたところ「特殊加工を施した」と回答した方が半数、「面積が広かった/サイズが大きかった」と回答された方は約4割でした。

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クリニックの壁には抗ウイルス、消臭などの特殊加工を施した素材を採用するケースも多く、それだけに面積の広い壁に工事費用がかかるのも頷けます。

また、「高級素材だった」との回答は約2割(24.2%)でした。クリニックのコンセプトによってはデザイン性を重視して素材を選んだり、クリニックならではの機能・性能を重視して素材を選んだりするケースもあるようです。

予算に配慮しつつ、地域に愛されるクリニックを目指して

クリニックの内装設計においては、バリアフリーや抗菌加工、歯科であれば防音などへの配慮が必要になります。建築士や内装工事業者は予算に配慮しつつ、スムーズに診療が行える導線や、地域の方に安心して通っていただけるような提案が求められます。

なおクリニックを探す際にインターネット検索を利用するのが一般的になった昨今では、内装デザインが集患につながることも珍しくありません。近隣クリニックとの差別化のため、居心地の良さやデザイン性などにこだわった提案ができることも望ましいでしょう。