【第1回】クリニック経営者108名に聞いた「内装工事の発注先」
2023.02.27
目次
クリニック経営者は内装工事業者をどうやって選んでいる?
地域住民の「かかりつけ医」として選ばれるため、患者さんへの心配りはもちろんのこと、内装デザインにもこだわり満足度の向上へつなげることも大切です。そこでDAIKENは、医院・クリニック・診療所(以下、クリニック)の経営者108名に、「開業時、内装工事を発注する業者をどのようにして選んだのか」を独自調査しました。
まずはアンケート対象者へ、ご自身が経営するクリニックの開業時期と延べ床面積を聞きました。
半数以上のクリニック経営者が「紹介された」内装工事業者に発注している
「内装工事業者を探す際に何を利用したか」という質問には、約半数(56.5%)のクリニック経営者が「紹介」と答えました。
「探していない」(13.9%)と回答した方と合わせると約7割(70.4%)を占めることになり、多くのクリニック経営者が内装工事業者を自ら積極的に探していない様子が伺えます。
DAIKENが実施した飲食店オーナーやヘアサロンオーナーへ向けたアンケートでも紹介経由で内装工事業者を知ったケースが多く、今回と同様の傾向が見られました。
また、自ら探した方の回答では「クチコミ」(13.0%)「インターネット」「雑誌」(共に11.1%)が挙がりました。今回のアンケートに回答してくださった方の約半数が1999年までに開業されており、当時はインターネットが今ほど普及していなかったことが回答結果へ影響していると考えられます。
見積もりを取らなかった経営者は約2割、1社だけ見積もりを取ったケースは約3割
続いて、内装工事を発注するにあたり、何社に内装工事費用の見積もりを取ったかを聞きました。
全く見積もりを取らなかったクリニック経営者は約2割、1社だけ見積もりを取った方は約3割でした。別の業態での調査では、1社見積もりを取った割合は飲食店オーナーが49.5%、ヘアサロンオーナーは46.2%という結果でした。他の業態と比較すると、1社見積もりを取ったクリニック経営者についてはやや少なめの傾向にあると言えます。
なお2社以上の業者から見積もりを取ったクリニック経営者の方は約3.5割。こちらは飲食店・ヘアサロンオーナーと同程度の割合です。
最終的に選んだのは「施工業者」が約4割、「設計デザイン事務所」が約3割
続いて、最終的にどのような事業者に内装を発注したかを聞きました。内訳は以下の通りです。
最も多いのは「施工業者」で約4割(41.7%)でした。「設計デザイン事務所」(33.3%)の割合は、飲食店(12.5%)やヘアサロン(22.2%)と比較すると、10%以上高い結果に。内装工事において、デザイン性を重視するクリニック経営者が多い様子が伺えます。
クリニックの延べ床面積が「70坪以上」の場合、約半数の方が施工業者へ内装工事を発注している
延べ床面積による選定業者の違いを表したのが次のグラフです。
坪数で比較すると、20坪~69坪未満では内訳にそこまで変化は見られません。70坪以上のクリニックになると、約半数の方が施工業者へ発注していることが分かりました。
内装工事を発注した事業者の決め手は「予算」と「デザイン性」
内装工事業者を決めた理由については、以下の結果となりました。
約半数(47.6%)のクリニック経営者が、予算(金額面)で内装工事を発注する事業者を決定しています。これは、飲食店・ヘアサロンのアンケートと同様の結果です。デザイン性が決め手と回答した方は約4割(38.1%)で、飲食店・ヘアサロンのアンケートよりも若干高い結果になりました。
「その他」の自由記入欄には、「実績がある」「施工実績」「以前の仕事に満足して」といった、過去にクリニックの内装を手掛けたという実績を重要視している回答が見られました。
専門性の高さから、クリニックの施工実績もアピールポイントに
医療機器の設置や診療科に合った導線設計、バリアフリー法等の法規制順守などが必要となるクリニックの内装工事には、他の店舗形態とは異なる専門性が求められます。今回のアンケートでも、業者選定の際にクリニックの施工実績を重視する声が挙がっていたため、クリニック経営者はその「専門性」に大きな魅力を感じていることが伺えます。提案時、建築士や内装工事業者は予算やデザインに加えて、過去のクリニック施工実績も積極的に紹介してみてはいかがでしょうか。