整骨院の内装設計のポイント│考慮が必要な「構造設備基準」とは?

整骨院

※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。

整骨院(接骨院)は身近にある施設で、近年需要が増えている傾向が見られます。内装設計においては、医療行為を行う病院とは求められる要素が若干異なり、リラックス感やプライバシーの確保といった点への配慮が特に求められます。また、整骨院には「構造設備基準」というルールがあり、設計の際は基準への適合が必要となります。

本記事では、整骨院における内装設計のポイントや構造設備基準の注意点等について紹介します。

整骨院(接骨院)と病院に求められる内装の違いは?

まず、整骨院と病院に求められる内装の違いについて整理します。設計に入る前に、しっかりと理解しておきましょう。

●そもそも整骨院(接骨院)と病院の整形外科との違いは?

整骨院と病院の整形外科では、施術や治療の内容が異なります。病院の整形外科では医師が診察・診断(病名を確定させること)・治療を行いますが、整骨院では、怪我に対する診断ではなく、柔道整復師が捻挫や打撲に対して手技や一部の機器を用いたマッサージ等の施術が主になります。

●整骨院と病院に求められる内装の違い

病院はケガや病気の治療を行う医療機関です。そのため、耐薬品性や抗菌・抗ウイルス性を備えた建材を使用するなど機能性を重視し、感染対策を徹底した設計が求められます。

一方で整骨院は、患者がリラックスしながら施術を受けられる空間づくりが重視され、温かみのあるデザインや落ち着いた雰囲気の演出が重要です。ただし整骨院でも衛生面は無視できず、清掃しやすい素材の採用や適切な換気計画が必要になります。また内装設計を行う際には「構造設備基準」を守ることが求められ、施術スペースや待合スペースの確保など、基準に沿った計画が不可欠です。

整骨院(接骨院)の内装設計で気を付けたい「構造設備基準」とは?

ここでは、整骨院の内装設計に関わる「構造設備基準」について解説します。建築主が知らないケースもあるため、基準を満たした設計ができるよう、きちんと押さえておきましょう。

●構造設備基準とは?

構造設備基準とは内装や設備に関する基準のことで、適切な施術環境を確保するために定められています。構造設備基準には大きく分けて2つの基準があります。

1つ目は「柔道整復師法施行規則」という省令で定められた基準で、全国共通で守るべき最低限のルールを示しています。2つ目は各地域の保健所が定める「指導事項」で、地域ごとに異なる場合があります。整骨院の内装設計を行う際は、事前に開業予定の地域の保健所に連絡し、必要な要件を確認しておくようにしましょう。

●構造設備基準の内容

ここでは、構造設備基準の具体的な内容について紹介します。

・省令
柔道整復師法施行規則第18条により、整骨院が最低限備えるべき設備の基準が定められています。適切な施術環境を確保するために、以下の要件を満たす必要があります。

・専用の施術室は6.6m²以上確保すること。
・3.3m²以上の待合室を設けること。
・施術室において面積の7分の1以上を外気に開放できる構造にすること。ただし、適切な換気設備を設置すれば免除される。
・施術に用いる器具や手指等を消毒できる設備を整えること。

こういった基準を守ることで、衛生的で快適な施術環境につながります。

参考:「柔道整復師法施行規則 第十八条」(e-Gov法令検索)

・指導事項
指導事項は地域ごとに異なるため、ここでは一例を取り上げます。各自治体の保健所が定める基準に従い、適切な内装設計を行うことが重要です。例えば兵庫県神戸市では、下記の基準が定められています。

・施術所は住居、店舗等と構造上及び機能上で独立していること。
・施術室に2台以上のベッド(施術台)を設置する場合、患者のプライバシーに配慮して各々をカーテンなどで仕切ること。
・施術室と待合室は、上下左右が完全に仕切られた固定壁で区画することが望ましい。

繰り返しにはなりますが、指導事項の内容は地域によって異なるため、整骨院を開業するエリアの保健所に事前に確認してから設計を行うことが大切です。

参考:「施術所・出張業務に関する手続きについて」(神戸市保健所医務薬務課)

整骨院(接骨院)の内装設計におけるポイント

ここでは、整骨院の内装設計におけるポイントについて紹介します。色彩やデザインにもこだわって設計することで、快適な整骨院をつくりましょう。

●リラックスできる空間をつくる

整骨院では、患者が安心して施術を受けられるような落ち着いた雰囲気の空間づくりが重要です。壁や天井の色味や柄を工夫し、リラックスできる環境を整えましょう。下記におすすめの色味・柄を紹介するので、ぜひ取り入れてみてください。

<整骨院の内装におすすめの色味・柄の例>

  • 青:副交感神経を優位にし、リラックス効果を高める
    緑:気分を安定させ、心身のリラックスを促す
    白:清潔感を演出し、衛生的な印象を与える
    木目:自然の温もりを感じさせ、癒し効果が期待できる

●施術しやすい環境にする

整骨院の施術室は、限られたスペースの中で効率的に動ける環境を整えることが重要です。施術中は施術者がベッドの周りを頻繁に動くので、狭すぎると作業効率が下がってしまいます。そのためベッドの周囲に十分なスペースを確保し、施術者が無理なく移動できるように計画するのがポイントです。適切な間隔を確保し、ストレスのない環境を整えるようにしましょう。快適な施術環境をつくることで、施術者の動きやすさだけでなく患者の安心感にもつながります。

●安全性に配慮する

整骨院には、子どもから高齢の方まで幅広い年齢層の患者が来院するため、安全性を重視した内装設計が求められます。特に体の不自由な方も安心して利用できるよう、下記のようなユニバーサルデザインを意識した設計をすることが望ましいです。

<整骨院に取り入れたいユニバーサルデザインの例>

  • 手すりの設置:移動が不安な方のために、廊下やトイレなどに手すりを設ける
    十分な通路幅:車椅子や杖を使用する患者にも配慮し、スムーズに移動できる通路幅を確保する
    すべりにくい床材:転倒事故を防ぐため、クッション性のある素材やノンスリップ加工の床材を選ぶ

安全性を高めることで、誰もが安心して利用できる整骨院を実現できます。ユニバーサルデザインの詳細については下記記事をご覧ください。

建築に求められるユニバーサルデザインは?導入の視点や建築資材の例

整骨院(接骨院)の内装におすすめの建材

ここでは、整骨院の内装におすすめのDAIKENの建材について紹介します。

●グラビオUS/UB

グラビオUS』は、表面に天然木突板を使用した不燃壁材です。天然木ならではの風合いが魅力で、スギやヒノキなど7種類の樹種バリエーションがあります。一方『グラビオUB』は、全40種類の豊富な木目調の色柄を揃えた不燃壁材です。天井材としても使用できる※¹ため、壁と天井に同製品を採用することで、より統一感のある空間に仕上がります。

※¹:専用部材をご使用いただくことで天井にも『グラビオUB(3mm)』を施工できます。

●グラビオフィットUB

グラビオフィットUB』は、意匠性に優れた木目柄の壁材です。四方の木口を巻き込む仕様により、シャープな目地の仕上がりと省施工を実現しています。同色の目地テープを使用すれば、空間をよりすっきりと演出できます。

整骨院はリラックスできる内装計画がおすすめ

整骨院の設計では、落ち着いた雰囲気を演出できる内装計画が重要です。省令や地域の保健所によって設備基準が設けられているため、事前に把握した上で設計に臨みましょう。

DAIKENでは整骨院の内装設計を検討する際に役立つ資料をご提供しています。医療施設向けではありますが、内装設計において重視するポイントには似ている部分もあるため、ぜひご覧ください。

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