クリニック・医院・診療所に事務長は必要? 院長の負担を減らす手段と必要な設備

クリニック・医院・診療所

医療機関には、医療行為以外の業務を監督し、院長を補佐する事務長という役職があります。大きな病院に事務長がいるのは一般的ですが、全国にある10万カ所以上のクリニック・医院・診療所には事務長がいない施設も多く、院長に負担がかかっているケースもあるようです。
そこで本記事では、クリニック・医院・診療所などにおける事務長の役割と必要性について考え、設備の導入などで院長の負担を減らす方法もご提案いたします。

医療機関の事務長とは その役割は?

医療機関には様々な専門職のスタッフが勤務していますが、医師や看護師などの診療に関わる専門職だけでなく、事務作業や設備維持、人事といった裏方を担当するスタッフも数多く存在しています。
そして、そんな裏方スタッフを束ねているのが事務長です。

●病院業務は医療専門職の集まり?

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病院といえば医師はもちろん、看護師や検査技師・介護職員に至るまで、あらゆる職員が国家資格を持ち、自分たちの専門知識を生かして日々働いていると思われがちですが、実はそのような資格を持たないスタッフもいます。例えば、医療事務のスタッフは医療事務団体などの認定資格を有していますが、国家資格は持っていません。
これらの職員の業務内容は、医療の専門職である医師や看護師などのサポートや、病院が円滑に運営できるようにすることが主であり、自分たちの専門分野が表に出にくい部門と言えます。

●医療行為を陰で支える医療事務
熟練の医師が来院した患者さんの容態を診れば、こういった症状の患者さんにはまずあの検査を行い、結果がこうならその処置をして次回の通院はいつ、といった具合に必要な医療行為が瞬時に浮かぶことでしょう。また、検査技師や看護師は医師が必要と感じた検査や処置を過不足無くこなすことができます。しかし、その処置や検査を行うことにより、どういった診療報酬が発生し、患者さんにどれくらいの金額が請求されるのかを理解したうえで、医療行為に携わっている医師や看護師は少ないはずです。入院などで医療費が高額になった場合、どのような負担軽減の方法があるのか、健康保険制度を十分に把握している医師も少ないでしょう。
また、医師が自ら他の診療科の予約状況を見て、患者さんが何度も来院しなくて済むように日程の調整をしているでしょうか。 多くの場合、こうした医療行為全般の事務処理を行いつつ、患者さんからのクレーム対応やトラブルの矢面に立っているのは、窓口業務や会計を担当する医療事務スタッフなのです。

●総務、経理、労務は病院の運営に不可欠な部門
病院を支える事務職はそれだけではありません。経営企画部は様々な情報を整理して中長期的な経営戦略を練り、目指すべき病院の形を決める上で重要な業務を行っています。
また、職員の給与や福利厚生・入退職や異動を担当する総務・人事部がなければ、医療の専門職を病院で雇うことはできません。
また、必要な物品を業者と交渉して購入する購買部や、電子カルテのサポート体制・ネットワークの保守を行うシステム管理部、施設全体を維持管理する施設管理部が無ければ病院の機能は維持できないでしょう。さらに、地域連携室は他の病院・クリニックとの連携を取る上でなくてはならない存在です。
病院で医療行為意外の業務を陰から支えているのは、そうした“医療専門職外”である事務スタッフであると言えます。

●事務長はすべての裏方業務を管理し統括
事務長はこうした病院を陰から支えているスタッフ全体を統括する存在です。事務長には一般的に医事や総務、経理、労務管理など、病院運営に直接関わる広い知識が必要となります。

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また、職種による序列がハッキリしていて下からの意見が通りにくいとされる病院内で、医師や院長とスタッフ間のコミュニケーションを調整するのも事務長の役割です。
さらには、院長の経営判断に応じて必要な情報をまとめるとともに、戦略を策定し実行に移す際は、病院の業務全般を取り仕切る事務長が指揮を執る場面も多々あります。

そのため、事務長は病院を裏側から仕切る存在となることが多く、病院内での医療行為全般を仕切る院長とは対と言えます。医療界では医師の責任と権限が絶対ですが、院長と事務長の力関係が均等に近い病院も存在します。

クリニックの事務長が担う役割は病院と違う?

事務長のポストを置いているのは一般的に大病院などが多く、クリニックや医院に事務長が居るケースは稀です。
病院の裏方業務は、量が多く、内容も複雑になりがちだからこそ、事務長が必要になると思われがちですが、果たしてクリニックの運営に事務長は不要なのでしょうか。

●経営者でもあるクリニックや医院などの院長
クリニックは全スタッフを合わせても数名、多くても十名程度の規模となることが多く、複数の診療科があったり、院長以外に医師が何人も勤務したりしているケースは少ないでしょう。そのため、大病院と比べて、複雑な対応が必要になることは少ないかもしれません。
しかし、それらに対応するスタッフの数はさらに少なく、人材の採用を人事課に、ネットワークの保守運営を情報管理部にと、多くの場合はそれぞれの問題に対応する専門の担当者もいません。

この結果、手間のかかる事案に対応するのは、院長兼経営者である医師となることが多くなります。できるだけ診療に専念したいと思う中で、そうした様々な業務に忙殺されていては、本来の業務である医療行為もままならないでしょう。

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●クリニックなどの事務長に求められるもの
逆にいえば、院長以外に、事務処理を行い、スタッフ同士の調整ができる人物がいると、クリニックに運営はぐっと楽になります。その任務を担っているのが事務長ということになります。
また、病院の運営面などで院長から相談を受けて適切に対応できるアドバイザーとしての役割や、時には雑用全般をこなす能力がクリニックの事務長には求められます。
大病院を運営するために必要とされる事務長ですが、むしろ小規模でスタッフの数が少ないクリニックなどの方が、様々な業務に対応できる事務長を必要としているのです。

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設備の改善でも院長の負担は減少可能

こう考えるとクリニックの院長は病院以上の激務にも思えますが、業務面の負担を減らす事務長の存在と同様、設備面を見直すことで負担減に繋げることが可能です。

●マンパワーだけでなく、設備の改善で院長の負担を減らす方法

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実はクリニックで日々起きている様々なトラブルは、設備を改善すれば解決するものも多々あります。
多くの人が利用する施設では建材の消耗も早くなりがちで、メンテナンスや交換時には専門の業者による作業が必要です。そして、その手配も病院の予定と照らし合わせながら日程を調整したり、その後の経費を精算したりするなどの様々な業務が付随します。

また、クリニック内で患者さんがドアなどに手を挟んだり、誤って転倒したりするなどの怪我に繋がると、その後の対応や処理などに加えて精神的な負担も大きくなるでしょう。
ただでさえ多忙を極める院長や事務長が、こうした日々のトラブル対応に忙殺されないように、建材や設備にこだわるのも一つの方法です。

例えば人の出入りが多い空間には、高齢者の滑りに配慮した、傷や水濡れにも強い建材を採用するのはどうでしょうか。
また、病院に比べ規模が小さく、医療従事者一人ひとりの負担が大きくなりがちなクリニックこそ、ドアの表面に怪我をしにくい加工が施されていたり、閉まる直前にブレーキがかかり、ゆっくりと開閉したりするものや、振れ止め機能があるものなどを選ぶと良いでしょう。

まとめ

クリニックでは院長がリーダーシップを発揮して問題を解決するべきですし、経営者でもある院長にその責任があることは言うまでもありません。
しかしながら、大病院の事務長がそうであるように、そうした面倒事から医師を解放し、診療に専念できる環境を整えることは、診療の質を上げると共にクリニックの価値も高めます。

事務長と院長の負担をより軽減する建材や設備を導入し、診療や他の業務に力を注げる環境を作ることが、より良いクリニック作りの第一歩になるかもしれません。

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