保育園の建築で押さえておくべきポイントは?必要な観点や建築実例

※掲載している画像は、記事の内容をわかりやすくするイメージであり、実在する製品や実現するものとは異なる場合があります。
保育園の建築では、園児たちの生活や発達を支える空間づくりが求められます。木造や耐火建築の構造選択、保育室や遊戯室の配置、園庭の設計、安全性や快適性、防音性の確保、職員動線の効率化など、多岐にわたる設計観点を統合することが重要です。
本記事では、保育園の建築に関わる法令や基準、設計に求められる観点、実際の保育園建築の事例について解説します。
保育園の建築に関わる主な法令・基準
ここではまず、保育園の建築に関わる主な法令や基準について整理します。自治体独自の基準があるケースも多いため、計画段階からチェックしておきましょう。
●建築基準法
保育園は建築基準法上「児童福祉施設」に分類され、敷地や構造、設備や用途などに関する基準が適用されます。建築基準法は生命・健康・財産の保護を目的としており、規模や部屋の用途によって内装制限の対象となるほか、避難経路や避難設備の設置、採光・換気の確保といった要件も規定されています。そのため設計時には、基準を踏まえた計画が必要です。
参考:「建築基準法」(e-Gov 法令検索)
⇒「建築基準法における内装制限とは?対象となる建築物や緩和の要件」
●設置基準
保育園の「設置基準」は児童の安全・衛生を確保するために定められ、保育園の種類により要件が異なります。設置基準には、保育室や遊戯室の広さ、乳児用・幼児用の便所や手洗い設備、調理室や静養室、園庭の面積や安全設備など、施設に必要な設備・施設等が規定されています。
要件を満たさなければ開園許可を取得できないため、設計段階での適合確認が不可欠です。具体的な設置基準としては、下記の例が挙げられます。
●乳児又は満二歳に満たない幼児を入所させる保育所には、乳児室又はほふく室、医務室、調理室及び便所を設けること。
●乳児室の面積は、乳児又は前号の幼児一人につき1.65㎡以上であること。
●ほふく室の面積は、乳児又は第一号の幼児一人につき3.3㎡以上であること。
参考:
「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第三十二条」(e-Gov 法令検索)
「保育所の設置認可等について」(厚生労働省)
「認可外保育施設指導監督基準」(文部科学省)
●独自基準
保育園の設計においては、国の設置基準に加えて一部の自治体や施設が定める独自の規制への対応も必要です。例えば園庭の面積や遊具の仕様、保育室の採光・換気基準など、自治体独自の要件が設定されている場合があります。
設計段階で計画に反映させることが開園許可取得の前提となるため、事前に必ず自治体窓口や認証基準をチェックすることが重要です。
保育園の建築にあたり必要な観点
ここでは、保育園の建築で押さえておきたいポイントについて解説します。保育園は「生活の場」としての役割が大きいため、商業施設などとは違った観点も必要になります。
●安全性
保育園では、園児たちの転倒や事故を未然に防ぐ設計が求められます。具体的には、クッション性のある床材の採用、家具や建材の角を丸く仕上げる工夫、窓やバルコニーへの安全柵の設置などが挙げられます。
●防音性
保育園は大声や泣き声、足音などの音が発生しやすく、特に都市部で近隣住宅との距離が近い場合、騒音対策は設計上の重要課題です。実際に、過去には騒音問題等により保育園の開設が見送られた例もあります。
保育園の防音対策は、「遮音(音漏れを小さくすること)」と「吸音(音の反射を抑えること)」の両面から検討しましょう。
遮音では、壁や天井の下地材に遮音性のある建材を使用して音漏れを抑えるのが有効で、具体的にはDAIKENの『遮音パネル18.5』等の利用が選択肢として挙げられます。そして吸音では、天井や壁に吸音性のある建材を採用する方法が考えられます。例えばDAKENの吸音天井材『ダイロートン』や、吸音パネル『KIN TONE(キントーン)』といった製品は、保育園の吸音性を高めるのに有効な製品です。
設計段階で適切な建材を組み合わせて、周囲の環境と内部空間の音環境を総合的に計画することが推奨されます。
●快適性
保育園では、園児が快適に過ごせる環境づくりが重要です。例えば清掃性の高い床材や壁材、湿気に強くカビの発生を抑える建材の採用が推奨されます。
また、木は湿度調整やリラックス効果が期待できることから、保育園の内装には木材の使用も有効です。保育室や遊戯室の内装に取り入れることで、居心地の良い空間が実現します。清潔さと居住性を両立させた建材選定で、園児たちが快適に過ごせる環境を構築しましょう。
参考:「建物の内装木質化のすすめ ─科学的データが示す内装木質化の効果─」(林野庁)
●成長性
保育園は、園児の成長を支援する場として設計する必要があります。具体的には、遊具や運動スペースを配置することで、身体機能の発達をサポートする設計が挙げられます。
また、悪天候時でも安全にのびのびと活動できるように、十分な室内空間の確保も重要です。このように、設計段階から成長に応じた柔軟な空間計画を検討することが推奨されます。
●効率性
保育園の運営効率を高めるため、職員室の配置や保育士の動線にも配慮が必要です。園児の状況を常に把握できる視線計画や、何かあれば迅速に対応できる動線設計を取り入れることで、安全性と業務効率の両立が可能になります。日常の運営を想定した、機能的なレイアウトになるよう配慮しましょう。
保育園の建築事例
設計の幅を広げるには、ほかの建築事例を参考にすることが効果的です。ここでは、DAIKENの製品を使用した保育園の建築事例を紹介します。
※製品は採用当時のものです。生産中止品も掲載されている場合があります。
●津志田こども園/岩手県

【使用製品】
天井用吸音パネル:KIN TONE(キントーン) スクエア<イエロー色>・<レッド色>・<グリーン色>、天井用吸音パネル:KIN TONE(キントーン) サークル<イエロー色>・<レッド色>・<ブルー色>
天井材:ロックウール化粧吸音板 ダイロートン スクールトーン ワイド直貼9mm
室内ドア:おもいやりキッズドア(特注品)<ミルベージュ柄>
 

【使用製品】
畳おもて:ダイケン健やかおもて 清流<01 銀白色>
●幼保連携型認定こども園 めぐみこども園 園舎/茨城県

【使用製品】
天井用吸音パネル:KIN TONE(キントーン) スクエア<ホワイト色>・<イエロー色>・<ブルー色>、KIN TONE(キントーン) サークル<イエロー色>・<レッド色>・<グリーン色>
 

【使用製品】
天井材:ロックウール化粧吸音板 ダイロートン トラバーチン9mm、ロックウール化粧吸音板 ダイロートン リブ15mm<181>
保育園の建築は快適さと安全性に配慮しよう
保育園の建築では、建築基準法や設置基準、自治体独自の規制にも対応しつつ、安全性や防音性、快適性といった観点を統合的に検討することが重要です。具体的には遮音・吸音の配慮、木材の活用、遊具・室内空間の設計、職員動線の最適化など、園児たちと保育士双方を意識した設計が欠かせません。
保育園の建築は多くの視点を取り入れた設計が必要となるため、建築士には深い知識が求められるでしょう。DAIKENでは、保育園設計の検討に役立つ資料をご用意していますので、気になる方はぜひご請求ください。
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