声の反響がストレスに 音環境向上改修で子どもも保育士も快適な保育園に

声の反響 保育園

アートチャイルドケア坂戸くれよん保育園|神奈川県

全国約180か所で保育所運営をしているアートチャイルドケア株式会社。乳幼児の養護・教育の専門家として、子どもたちの「生きる力」を育むことにより、健やかで、思慮深く、思いやりがあり、他者と関わって生きる子どもを育てる事を目標に保育を行っています。
近年では、保育施設内の環境整備や保育士の働き方改善にも力を入れています。特に、施設内の音環境改善として、子どもの声などの反響音軽減に取り組み、その中でDAIKENの天井材『クリアトーン12SⅡラインアート』や壁材『オトピタ』が採用されました。本記事では、採用された代表的な2園:アートチャイルドケアわらびとアートチャイルドケア坂戸くれよん保育園について、関係者の方々へのインタビューを通じて、採用経緯や音環境の変化についてご紹介します。

  • お話を聞いた方々

  • 田渕 沙緒里 氏
  • アートチャイルドケア株式会社
    教育研修部 課長代理 施設担当
    田渕 沙緒里 氏

     

  • 久保 智博 氏
  • アートチャイルドケア株式会社
    教育研修部 課長代理 施設担当
    久保 智博 氏

     

  • 阿久根 玲子 氏
  • アートチャイルドケア坂戸くれよん保育園
    園長
    阿久根 玲子 氏

【ケース1:わらび園】開放感ある空間だからこそ発生した声の反響問題

アートチャイルドケア 田渕氏
当社は2010年発足以来、全国で保育所(認可、認可外、院内・企業内、児童発達支援など含む)を運営しています。施設スタイルも保育所ごとに異なり、新築、ビルイン、既存建物のリノベーションなどがあります。一つとして同じ環境の保育所はないため、常に保育所内環境(音・光・温度・湿度・色等)を点検、整備に努めています。

音環境の課題を感じた大きなきっかけはアートチャイルドケアわらび(以下、「わらび園」と称する)での問題でした。わらび園は敷地が広い保育園で、大空間の多目的ホールや廊下があり、すべての保育室から中庭や園庭に面している広々としたつくりとなっています。

ただ、開放感のある素敵な空間ではあるのですが、子どもたちの声が反響する問題が発生していました。特に、乳児(1歳児)室や多目的ホールは、泣き声や遊び声の反響が大きかったです。反響することで面白がって大きな声を出し、さらに反響するという悪循環が生まれていました。子どもに慣れている保育士でも時に不快に感じるほどでした。

さらに、乳児室は、朝夕の合同保育(全年齢の子どもが一緒に過ごす保育)の場としても使用していたため、幼児(3~5歳児)も一緒になると、あらゆる子どもたちの声が反響し、子どもたちの落ち着きがなくなってしまう状況でした。子どもたちへの影響や保育士へのストレスも考えると早急に改善したいと考えていました。

音環境のスペシャリストが語った原因とは?

アートチャイルドケア 田渕氏
そこでまずは現状をしっかり把握して、解決策を考えることになりました。保育施設の室内音環境改善協議会の発起人で、音環境のスペシャリスト:埼玉大学の志村教授とご縁があり、現地までお越しいただきました。実際に測定器で定常騒音、残響時間測定などを行いました。

測定結果はやはり好ましくなく、悪い意味でコンサートホールに匹敵する残響時間であることが判明。子どもだけでなく保育士の聴力にも悪影響であり、さらに響きすぎる環境は精神負荷にもなる、との意見をいただき、すぐに改善に向けて動きだすことになりました。解決策を自分たちで探す中で、志村教授から紹介いただきDAIKENから提案を受けることになりました。

DAIKENでの吸音体感や数値に基づく音環境向上改修提案が採用の決め手に

アートチャイルドケア 田渕氏
DAIKENではまず、秋葉原にあるショールームで吸音体感をさせてもらいました。吸音材の有無による残響音の違いは、実際に体感してより強く印象に残りました。

また、吸音製品を天井のみ施工した場合、天井と壁に施工した場合など、製品の種類や設置する量に応じた残響シミュレーションの数値データを共有いただきました。客観的なシミュレーション数値に基づく提案は、改修後の状態がイメージできてよかったです。

そのうえで、予算も踏まえてどのような製品の採用が最適か親身に提案いただきました。わらび園は改修工事となるため、保育園運営を止めずに工事を進められる施工のしやすさも決め手となりました。また、DAIKENの知名度や施工実績からくる安心感も採用を後押ししました。

改修で劇的に変化 「音環境改善」の重要性を実感

アートチャイルドケア 田渕氏
改修後は明らかに声の響き方が変わりました。それまでの嫌な声の反響がほぼなくなり、音響測定でも、理想とする残響時間になっていました。現場の保育士からも劇的に変わったと好評でした。具体的には、「子どもたちが泣き叫びにくくなり落ち着いて生活できるようになった。」「保育士も大きな声を出すことが減りストレスが軽減した。」という声がありました。わらび園をきっかけに「音環境改善」に対して会社として取り組む流れが出来ました。

声の反響 保育園

アートチャイルドケアわらびの保育室

【ケース2:坂戸園】わらび園の再来?子どもも保育士もストレスを感じる吹き抜け空間

阿久根園長
アートチャイルドケア坂戸くれよん保育園(以下、「坂戸園」と称する)は、以前の保育園運営事業者から引き継ぐ形で2022年にスタートしました。元々は会社倉庫だった建屋を、全面リノベーションして保育施設として利用しています。

1・2歳児室は吹き抜けで天井が高く、素敵な空間なのですが、やはりわらび園と同様に音の反響が問題でした。また一つの大空間のため、部屋を仕切ることができず、常に反響する声や泣き声の中で過ごしていました。

会話が反響して聞こえにくいので、大きな声で話す。反響をおもしろがってわざと奇声を発する、といったことが起きていました。隣のクラスの音も筒抜けのため、音が気になり集中できない、いつもどこかそわそわした落ち着かない様子になっていました。

保育士も保育士間のコミュニケーションをとりたいのに、声が通らず指示が聞こえない、自分の言いたいことも伝わらないという状態で、ストレスを感じていました。

現場の状況を本社に伝えたところ、社長の村田含めすぐに音環境改善のための改修工事が決定となり、話が進みました。

わらび園の経験を活かし、すぐに音環境向上改修へ

アートチャイルドケア 久保氏
坂戸園の状況は、前述のわらび園と近いものでした。わらび園での成功事例を適用するという方針のもと、再びDAIKENに残響シミュレーションと製品提案をお願いしました。

坂戸園は、天井が高く、掃き出し窓や腰窓、ドアなどの開口部が多く壁面積が小さい。実はわらび園と空間のつくりが似ていました。ロッカーなどの家具も少ないため、吸音効果に乏しいという点が共通していました。
現地の残響シミュレーションの結果を元に、天井面の『クリアトーン12SⅡラインアート』と、壁面の『オトピタ』を組み合わせることで、吸音効果の向上を狙いました。

声の反響 保育園

吹き抜け空間の1・2歳児室天井に『クリアトーン12SⅡラインアート』、壁には『オトピタ』

 

声の反響 保育園

3歳児室 天井に『クリアトーン12SⅡラインアート』

吸音効果を園長も実感 子どもの様子にも目に見える変化が

阿久根園長
以前なら大声を張り上げながら会話していたのが、普通に会話できるようになりました。保育士間のコミュニケーションがとりやすくなり、普通に会話ができることのありがたみを感じています。

騒がずに遊べる、奇声を発しないなど、子どもたちにも大きな変化が見られました。心も落ち着いて過ごしている様子が見受けられました。子どもたちもこんなに変わるのだなというくらいに変化が見られました。騒がずに遊べるようになり、奇声を発しなくなり、心も落ち着いて過ごしているな、という感じになりました。

もちろん泣き叫ぶ場面もありますが、以前の耳障りになる反響した泣き声はなくなりました。吹き抜けの部屋では、隣の声はするけど、気にならない程度で、それぞれのクラスでちゃんとした保育ができるようになりました。子どもにとっても居心地がいい、落ち着いた環境になったと思います。

音環境なので、目には見えないのですが、子どもの様子には目に見える変化があったと感じています。子ども、保育士の双方にとってよい環境となりました。

施工期間が短く、保育園を運営しながら改修ができて安心

声の反響 保育園

天井『クリアトーン12SⅡラインアート』、壁『オトピタ』のアップ

アートチャイルドケア 久保氏
坂戸園では、わらび園同様、期待通りの音環境向上を感じることができました。吸音性能と同時に、『クリアトーン12SⅡラインアート』『オトピタ』には施工性の良さ、デザイン性の良さも感じました。

前述の通り、保育園を運営しながらの改修工事となると、大規模にならず、できるかぎり短い工期で対応できる建材が好ましいです。その点、『クリアトーン12SⅡラインアート』も既存の仕上げの上から貼るだけの簡単施工でした。ジョイント部が目立ちにくい柄のため、美しい仕上がりになりました。また、『オトピタ』は既存の壁取付けフックをつけ、パネルをひっかけるだけで施工できました。

声の反響 保育園

『クリアトーン12SⅡラインアート』ジョイント部が目立ちにくく、すっきりとした仕上がり

 

今後の音環境への取り組みは?

声の反響 保育園

『オトピタ』のアップ。既存壁面に上からフックでひっかけるだけの簡単施工

アートチャイルドケア 久保氏
これからも子どもたちが安心して快適に過ごせて、保育士も働きやすい保育園の施設整備に力を入れたいと思っています。特に新規開園の場合は、吸音材を標準採用しています。
既存園についてもわらび園、坂戸園のように適宜、現場調査を進め、問題があればすぐに改修工事を検討しようと考えています。

当社でも保育施設での音環境整備は、

 ・発達途上にある子どもの聴力を守ることにつながる
 ・子どもの音声聴取力の向上が期待される
 ・保育士の聴力低下(≒聴力障害)を回避できる

とこどもや保育士にとって重要な要素だと位置づけています。
今後とも子どもたちの健やかな心身の発達のサポートと、保育士が働きやすい環境づくりができればと思っています。

※留意事項
本記事はお客様個人の感想となります。同様の効果や結果を保証するものではありません。ご了承ください。

 

アートチャイルドケア 坂戸くれよん保育園

●施設データ
アートチャイルドケア 坂戸くれよん保育園
神奈川県川崎市高津区坂戸1丁目17-20

坂戸くれよん保育園は川崎市高津区にあり、定員60名。保育年齢は0歳(5ヶ月)~5歳児まで。子どもたちの「生きる力」を育むことにより、健やかで、思慮深く、思いやりがあり、他者と関わって生きる子どもを育てる事を目標に保育を行っています。2022年に運営主がアートチャイルドケア株式会社に変わったことをきっかけに音環境改善のための改修を行いました。

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