保育の動線を考える 出入口付近におけるヒヤリハット防止のためのドア設計

動線

保育環境を構成する要素のひとつに「動線」があります。いわゆる保育の動線は安全性が重視されます。園舎内の保育の動線上でヒヤリハット事例が多い場所は出入口付近です。園児や保育者が安全かつスムーズに動けるための動線プランには、事故を防止するためにヒヤリハット事例を活用したいものですよね。そこで今回は保育の動線づくりのポイントと園舎内の室内ドアとその周辺をより安全にするための工夫について解説します。また、安全な動線プランをサポートする建材についてもお話しします。

保育の動線とは?

そもそも、動線とはどういうことをいうのでしょうか? 動線とはある空間の中で、人や物が移動する軌跡を線で表したものです。動線は短いほどムダな動きが少なくて済み、空間の機能性が高まります。また、動線は保育環境を構成する要素のひとつともいえます。

・保育環境を構成する8つの要素
人、自然、物、情報、空間、時間、動線、温度・湿度・空気の質
※出典:高山静子著『学びを支える保育環境づくり』小学館

●保育の動線
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保育の観点から見た動線は、子どもがスムーズに学び、遊ぶことができ、お片づけや整理整頓の習慣づけもしやすいように配慮されているのが望ましいと考えます。

●保育の動線計画で考慮するべきポイント
・子ども、保育者、送迎の保護者の動き
・園児や保育者の安全確保
・学び・遊び、生活習慣づけをどうサポートするか

保育園などに出入りする全ての人の動きを考慮しつつ、園児や保育者の安全を確保し、なおかつ、園児が自由で快適に学びながら過ごせる空間をサポートしていくことも考えた動線計画づくりが大切です。

保育園でのヒヤリハット! 人の出入りが多いドアに注目

動線

多くの人が出入りする室内ドアは危険が多くあります。園児は予測できない行動をすることから特に注意が必要です。安全が最も重視される保育現場ではヒヤリハットを防止するため動線に注視するようにしましょう。 ヒヤリハットの多い(事故が起きやすい)場所は、人が出入りする出入口など、死角ができる場所です。特に遊戯室やトイレなどは人が集中しやすい場所なので注意が必要です。

●園舎内のドア付近で予想される事故

・先に出た者が後をよく見ないままドアを閉めたため、後にいた園児が指をはさむ
・勢いよく開き戸を開閉し、近くにいた園児が顔などを強打
・開き戸のノブを回さず、ガラス部分を押して開けようとして割ってしまう
・足元にいる乳児に気づかずドアを閉めようとしてはさんでしまう
・出会い頭の衝突

トイレや遊戯室など園児が頻繁に出入りする場所は、園児同士の衝突や保育者と園児の接触などが起こりやすく、用心していても園児の予期しない行動により避けられないケースもありますので、事故を想定した建具の選定が重要です。

吊り戸とベビーゲートがおすすめの理由

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園舎内の出入口付近の事故を防ぐためには、開き戸よりも引き戸がおすすめです。

●引き戸の特徴

・出入口の前後にいる人にドアが当たることがない
・風でドアがあおられて開閉することがない
・床面をフラットにできるのでつまずきによる転倒事故も防止できる

引き戸は開閉の際、前後にスペースが必要ないため空間に余裕ができ、接触する可能性が低くなります。また、引き戸には「吊りタイプ」もあります。吊りタイプの引き戸を採用する際、ゆっくり開閉する機構、向こう側が見えるような大きな採光窓がある引き戸がおすすめです。

●より視認性を高めたい場所には腰高のベビーゲート

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ベビーゲートは開口部への設置が容易で、脱着も可能です。ベビーゲートは階段や台所など危険が多い場所へ幼いお子さんが入らないように設計されており、園舎内の出入口への設置も効果が高いといえます。また、ベビーゲートは上部が開放されているため目視が簡単です。スリットデザインの場合、足元も見えるため、圧迫感もありません。

園舎内の出入口を設定する際、年齢別、部屋別に安全性や視認性を考慮した建具を採用してみてはいかがでしょうか。

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