【第3回】 若手税理士が教えるビジネス経営ガイドライン「補助金活用と実用的な管理会計術」

ビジネス経営ガイドライン

2024.03.12

前回は、実際の設計事務所の経営失敗談と、事務所経営において押さえておくべき重要ポイントについてお話しました。今回は、日々の事務所経営で活用できる、補助金や経営管理について税理士の目線からお話します。

  • 執筆者

  • 野島 正敏 氏
  • クリアビュー公認会計士・税理士事務所
    代表
    野島 正敏 氏
    慶應義塾大学在学中に公認会計士試験合格。大学卒業後 PwC 税理士法人に 8 年勤務し、日系上場企業の税務顧問や、オーナー企業の事業承継業務などに従事。2021 年に会計事務所を立ち上げ、「企業の成長と継続に貢献する」ことをミッションに、会計・税務の面から企業の経営をサポートしている。

公的補助金制度の活用 

ビジネス経営ガイドライン

国や地方公共団体の補助金制度のうち、中小企業庁が行っている経営に役立つ補助金制度をいくつかご紹介します。

●小規模事業者持続化補助金
小規模事業者の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とした補助金で、設計事務所でも利用することができます。経営者本人やその同居親族を除いた従業員数が5人以下の小規模な事務所が対象です。持続的な経営に向けた経営計画書を作成し、それに基づいて実施する販路開拓や生産性向上への取り組みに要する経費の一部が国から補助されます。
補助率、補助上限額は以下の通りです。補助率とは、支出した経費に対する補助金の割合のことで、例えば賃金引上げ枠で300万円のシステムを導入した場合にその2/3の200万円が補助金でカバーされるということになります。

類型 通常枠 賃金引上げ枠 卒業枠 後継者支援枠 創業枠
補助率 2/3 2/3
(赤字事業者は3/4)
2/3 2/3 2/3
補助上限 50万円 200万円 200万円 200万円 200万円

※補助事業終了時点で一定要件を満たす必要があり、満たさない場合、補助金交付は行われません。
※引用:「商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金

実績として、ほとんどの申請事業者は通常枠での申請になっていますが、時給50円以上の賃上げ等を合わせて行う場合には、賃金引上げ枠(補助金を受け取れる金額の上限は200万円)での申請が可能です。
補助金の対象となる経費は以下のとおりですが、設計事務所であれば、...