色の好みやイメージを客観的に捉える~感性マーケティングのすすめ

感性マーケティング

新たな施設や店舗、リノベーションの計画をするにあたり、クライアントの好みや希望するイメージをどのようにくみ取り、色彩計画に落とし込んでいくか――。そこには「感性マーケティング」の手法を活用する手立てがあります。色彩の調査・分析、コンセプトメーキングやカラーバリエーションの提案、各種色見本の企画・制作、そして調色・塗装のプロフェッショナルである株式会社カラーアトラス(以下、カラーアトラス)の田中 龍平氏が、色に対する好みやイメージを客観的に捉えるためのポイントについて事例を交えながら紹介します。

  • お話を聞いた方

塗料による色見本を制作する国内唯一の企業

カラーアトラスはカラーデザイン、商品色の提案をメイン事業としています。その母体である株式会社南海(以下、南海)は、60年以上にわたり以下にご紹介するような塗料による色見本を制作している国内唯一の企業となります。

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塗料による色見本には「色の再現性における精度の高さ」「ロットぶれが少ない」などの特長が挙げられます。南海では、高精度を求められる企業の標準色についても多く手掛けており、最近では商品の色彩管理における色彩限度見本の需要にもお応えしています。 色彩限度見本とは、ある標準色に対して、どの範囲までが許されるのか、どの範囲までなら市場に出すことが可能なのか、そうした微妙な合格ラインを目視検査で把握するためのツールです。
南海ならびにカラーアトラスは建築関連にも多く携わっており、住宅内外装の塗料、設計会社やゼネコン、建築設備機器における標準色、またカラーシステム構築を手掛けてきました。

今回の動画では、現物のパネル「Red selection」による100色の「赤」を紹介。光の当たり方や見る角度によって色の見え方が大きく変わることを映像でご覧いただきつつ、南海が長年にわたり蓄積してきた色に対する知見、色創りのデータやノウハウが、カラーアトラスとしての提案力にも繋がっていることをお伝えしています。

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「Red selection」パネルでは、大手化粧品メーカーの口紅、東京タワー、LOVEマーク(新宿にあるポップアート「LOVEのオブジェ」)、消防車、トマトケチャップなどの「赤色」が、実際の色の計測値を基に忠実に再現されている。

色の好みを客観的に捉える「感性マーケティング」手法

曖昧なものである色の好みやイメージを客観的に捉えるべく、人の感性の共通尺度として開発されたのが、感性マーケティング手法である「9イメージ分類」です。
この手法は静岡文化芸術大学の名誉教授である宮内 博実先生が開発されたもので、感性マーケティング手法として2014年に特許を取得されています。

カラーアトラスでは宮内先生に顧問としてご指導いただきながら、この手法を事業に導入。「9イメージ分類」を活用することで、なぜその色が選ばれたのか、その背景や理由を導きながら、クライアントに色の提案を行っています。

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田中龍平