小規模多機能型居宅介護 創設の背景 利用条件や求められる基準、施設環境とは?

小規模多機能型居宅介護

「介護が必要になったら、在宅で介護サービスを受ける、それとも施設に入所?」
このように考える方が多いようですが、自宅への訪問介護やショートステイを組み合わせて、住み慣れた地域で暮らし続けるという選択肢もあります。その暮らしを実現するための方法の1つが、小規模多機能型居宅介護の利用です。

本記事では、小規模多機能型居宅介護が創設された背景や定義、対象者の条件に加えて、より快適に施設を利用してもらうための建材を紹介します。

小規模多機能型居宅介護とは サービスができた背景

小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護とは、「通い」をメインに、希望に応じて「訪問」や「泊まり」を組み合わせられる介護サービスです。2006年の介護保険制度改正により創設されました。

小規模多機能型居宅介護は、以下のように定義されています。
『「小規模多機能型居宅介護」は、利用者(要介護(支援)者)の心身の状況や置かれている環境に応じて、利用者の選択に基づき、居宅に訪問し、または拠点に通わせ、もしくは拠点に短期間宿泊させ、入浴・排せつ・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事等や機能訓練を行うもの。』

※引用元:厚生労働省「小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護は、民間施設の「宅老所」をモデルに作られたといわれています。宅老所とは、介護保険サービスでは届かない部分をサポートするためにデイサービスを中心とした高齢者施設です。

つまり、以前の介護保険制度では、対応できなかったニーズへの対応が創設の背景となります。

●小規模多機能型居宅介護の特徴は

小規模多機能型居宅介護の主な特徴は、以下のとおりです。

・「通い」「訪問」「泊まり」の介護サービスを組み合わせて利用できる
・どのサービスも同一事業所のなじみのスタッフから受けられる
・小規模のため、大規模施設では難しい個別ケアを受けられる

高齢化が進む日本において、要介護度が進んでも住み慣れた地域で自立して暮らせるように、地域包括ケアシステムの主軸となる事業として期待されています。

小規模多機能型居宅介護に関する記事については、下記でご紹介していますので、こちらもご確認ください。
⇒「小規模多機能型居宅介護とは ~介護保険制度による注目の訪問+通所のサービスをご紹介~

小規模多機能型居宅介護 利用するための条件

小規模多機能型居宅介護

小規模多機能型居宅介護を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。

・65歳以上で要介護1以上と認定された方、もしくは40~64歳で特定疾病による要介護認定を受けた方
・利用する事業者のある市区町村に住民票がある方

小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスなので、利用できる事業所は同じ市区町村に限られています。また1つの事業所の登録利用者数は29名以下です。そのため利用する際は、まずケアマネジャーか地域法包括支援センターに相談し、地域内で定員に空きのある小規模多機能型居宅介護を紹介してもらいましょう。

なお、65歳以上で要支援1、要支援2の認定を受けている方は、介護予防を目的とした「介護予防小規模多機能型居宅介護」を利用できます。

小規模多機能型居宅介護 施設に求められる基準

小規模多機能型居宅介護は施設側にも、利用者数・人員配置・設備の基準が定められています。

●利用者数

・登録定員数は1事業所あたり29人以下
・「通い」の利用定員数は、登録定員数の2分の1から15人の範囲内※要件を満たす場合は最大18人
・「泊まり」の利用定員数は、「通い」の利用定員数の3分の1から9人の範囲内

●人員配置

・介護支援専門員1名
・介護・看護職員
日中:通いの利用者数3人につき1人、加えて訪問対応に1人
夜間:泊まりと訪問対応で2人※1人は宿直可

●設備

・居間や食堂は適当な広さがあること
・宿泊室は4.5畳ほどで、プライバシーが確保できること

※出典:厚生労働省「小規模多機能型居宅介護
ただし、施設に求められる基準は自治体により詳細が異なる可能性があるため、確認が必要です。

また部屋や共有スペースの設備には、利用者がより快適な空間で過ごせるように、移動を支える建材を取り入れてみましょう。

高齢者の方がより快適に過ごせるための施設設備導入を

小規模多機能型居宅介護

高齢者の移動を支えるためには、「どのような建材を組み合わせればいいの?」と思う方もいるでしょう。そこで、この章では高齢者が、より快適に過ごせるための設備のポイントを紹介します。

・傷や汚れに強い床材
車椅子や杖を使用している方もいるため、床材は傷や汚れに強い建材がおすすめです。また、高齢者の転倒リスクを下げるために、滑りに配慮した床材を選ぶのもポイントです。

転倒リスクに関する記事については、下記でご紹介していますので、こちらもご確認ください。
⇒「【第2回】高齢者施設の安全について考える 転倒・転落リスクを軽減させる床

・肘や体を預けやすい手すり
手すりは円柱状よりも上部の表面がフラットなタイプのほうが、肘や体を預けやすく、にぎる力の弱い高齢者でも利用しやすくなります。

・開け閉めしやすいドア
居室の入り口のドアは、開け閉めのしやすさが重要です。開け閉めしやすいドアであれば、介助を必要とせず、自分の好きなタイミングで出入りできるためです。また同時に、隙間への指挟み防止など、ケガをしにくいように配慮したドアを採用することで、安心・安全にもつながります。

このように、建材の選び方で利用者の安全・安心に加えて、可能な限り自立した生活をサポートすることもできます。紹介した例を参考に、建材を選んでみてはいかがでしょうか。

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