小規模多機能型居宅介護とは ~介護保険制度による注目の訪問+通所のサービスをご紹介~

介護保険制度

介護サービスを受ける場所の選択肢として、施設への通所と自宅への訪問介護を組み合わせたサービスがあるのをご存じでしょうか? それは小規模多機能型居宅介護と呼ばれ、介護保険制度による地域密着型サービスのひとつで、今後もこの介護サービスを利用する方が増えていく見込みです。本コラムでは小規模多機能型居宅介護とはどのようなサービスか、メリット・デメリット、サービス提供のための施設環境づくりについてご紹介します。

小規模多機能型居宅介護とはどんなサービス?

小規模多機能型居宅介護とは、要介護度が中重度になっても在宅で生活を送れるように、デイサービスを中心にショートステイや訪問介護を組み合わせて利用できる、2006年の介護保険制度改正により創設されたサービスで、比較的新しい介護サービスといえます。

特徴は、同一の事業者からデイサービス(通所)やショートステイ(宿泊)、訪問介護(訪問)の介護サービスを受けられることです。
小規模多機能型居宅介護の利用対象者は、要介護認定を受けた人になります。要支援認定の人には、介護予防小規模多機能型居宅介護という別のサービスがあります。
どちらも地域包括ケアシステム(※)の中心となる事業として期待されているため、今後も需要が拡大するとみられています。

(※)高齢者が住み慣れた地域でできる限り自立して暮らせるよう、医療・介護などの資源が包括的に確保される体制

小規模多機能型居宅介護のメリットとデメリット

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小規模多機能型居宅介護サービスは、これまでの介護サービスにはない次のようなメリットがあります。

●メリットは複数のサービスをひとつの事業所で受けられること

小規模多機能型居宅介護ではひとつの事業者と契約することで、通所・宿泊・訪問のサービスを受けられて、状況やニーズによりサービスを組み合わせられます。

ひとつの事業者が複数のサービスを提供しているので、サービスが違っても顔なじみのスタッフから介護を受けられるのもメリットです。また、1事業者の登録定員は29名以下で通所の利用人数が最大18名と、少人数制なので、利用者一人ひとりに寄り添ったケアが受けられます。ほかにも以下のメリットがあります。

・訪問サービスは必要なときに、必要な時間だけ利用できる
・短時間の通所サービスを利用することもできる
・月額料金が定額制のため、料金を気にせずサービスを利用できる

●デメリットはこれまでのサービスを併用できないこと

一方、小規模多機能型居宅介護を利用するデメリットは、これまで利用していた介護保険サービスの一部を併用できないことです。

併用できない介護サービス
・居宅介護支援
・訪問介護
・訪問入浴介護
・デイケア
・デイサービス
・ショートステイ

また小規模多機能型居宅介護と契約するには、事業者専属のケアマネージャー(以下、ケアマネ)に変更が必要なため、なじみのケアマネを利用できなくなります。さらに、通所・宿泊・訪問のサービスを同一の事業者から複合的に受けられますが、サービスごとに事業者を変えることはできません。このように、必ずしもメリットばかりではないことに注意しましょう。

小規模多機能型居宅介護の施設づくり

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小規模多機能型居宅介護は前述したように、デイサービス・ショートステイ・訪問介護のサービスを設けていますが、利用者の自宅とは別に、拠点となる施設においても、要介護1から要介護5まで幅広い介護度の高齢者が利用します。そのため、利用者が安心して暮らせるように、小規模多機能居宅介護の施設づくりには一定の基準があります。

例えば、立地条件に利用者の家族や地域住民と交流できるように、地域の中にあることや、食堂・居間は1人あたり3m2を確保するなどです。 ほかにも、下記の点などに配慮した環境づくりが求められます。

・つまずかないように段差の解消
・歩行をサポートするための手すりの設置
・車イスで移動できるようにスロープの設置
・転倒予防のために、滑りにくい床材の採用
・転倒してもケガのしにくい材質の採用 など

このように、幅広い要介護度の利用者に対応するには、施設にも相応の設備が求められます。さらに、汚れに強い床材や消臭機能のある天井材などを採用している施設なら、環境面から安心かつ快適な暮らしをサポート可能です。施設選びの際のポイントとして設備面の充実にも注目しましょう。

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