木育を保育園・幼稚園からはじめよう! 地産地消の木のおもちゃで五感を磨き、SDGsにも貢献

木育

日本は国土の約3分の2を森が占める世界有数の森林国です。しかし、資源量が年々増加している一方で、海外の安価な木材に押され、国内の木材自給率は低迷を続けています。国土の森林環境を守り、国産材を有効活用していくには、国民一人ひとりに「日本の木」が持つ魅力を広げていく必要があります。

林野庁が促進する「木づかい運動」はこのような背景から生まれ、ウッド・チェンジや「木育」といった活動へと発展していきました。特に木育は幼児期から始めることが推奨されており、幼保施設でも広がりを見せています。
本記事では、木育や木づかい運動の概要を解説し、園舎の木質化を含めた幼保施設における木育の導入例をご紹介していきます。

日本の森林を守る、木づかい運動とは

皆さんは、林野庁が推進している「木づかい運動」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
木づかい運動は、「国内の森林を育てるために木材の使用意義を広め、利用拡大を促していこうとする国民運動」です。国産材をたくさん使えば、日本の林業を活性化させることにつながり、そうして守られた日本の森は、二酸化炭素を吸収して環境を保全する役割を果たしてくれます。国産材の利用を広めることは、SDGsに貢献する取り組みの1つともいえるでしょう。

木づかい運動の例としては、ウッド・チェンジがあります。これは身近な製品を木製にしたり、建物を木造・木質化したりすることで、社会を持続可能なものに変化させようとする活動です。

木育とは? 幼児期から始めたい理由

木育

「木育」も木づかい運動の一環です。木育とは、幼児期から木を身近に使うことで、木や森との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育成しようとする活動です。
木育には以下のような取り組みがあります。

・ ウッドスタート宣言

ウッドスタートは木材(特に地域材)を利用した子育て・子育ち環境を準備し、子どもから大人まで豊かに楽しく暮らすことを目指す取り組みで、東京おもちゃ美術館による支援もあり、全国に広がっています。ウッドスタート宣言をした自治体では、地域で生まれた赤ちゃんに地産木材を使った木のおもちゃ(ファーストトイ)をプレゼントする事業を展開しています。乳幼児期の子どもにとって、手触りや香りの良い木材はおもちゃの素材に適しています。

・木育マイスターや木育インストラクターの養成

木育を普及させるための専門家を養成する木育マイスター(北海道)や木育インストラクター(特定非営利活動法人 活木活木森ネットワーク)といった認定制度も設けられています。木育マイスターや木育インストラクターには、木育活動を普及させるリーダーとしての活躍が期待されています。

木育については下記の記事で詳しくご紹介していますので、こちらもご確認ください。
「「木育」が地球環境を救う? 子どもが木のぬくもりを身近に感じられる学習環境」

幼保施設に木育を導入するには

木育

では、幼保施設に木育を導入するためには、どんな方法があるのでしょうか。具体例をご紹介します。

・ワークショップやセミナーの開催

幼保施設では様々なイベントが行われます。そこに木を使った工作のワークショップや木育の専門家を招いたセミナーなどを取り入れます。
イベントを親子参加型のスタイルにすれば、園児だけでなく保護者も巻き込んだ木育の展開が期待できるでしょう。

・木と遊べる環境づくり

園庭がある場合は、木と触れ合える保育を実践してみてはどうでしょうか。例えば、木登りやドングリ拾いが楽しめるような環境を整備する方法があります。散歩や遠足で森に出掛けるのも良いでしょう。
室内遊びでも、木のおもちゃを活用することで木育ができます。地産地消を目指し、地元の木材を使ったおもちゃを取り入れるのがポイントです。
先にご紹介したウッドスタート事業では、ときがわ木つみ木(埼玉県ときがわ町)や、ナウマンゾウのグリップカー(長野県信濃町)、ひまわりコロコロ(香川県まんのう町)などのバラエティ豊かな木製のおもちゃが地産木材から誕生しています。
※参考:東京おもちゃ美術館 「自治体 ウッドスタート活動実績」

日本の各地には、優秀な木のおもちゃ作家や木製玩具のメーカーが多数あります。地元の木でどのようなおもちゃが作られているか、一度調べてみてはいかがでしょうか。情報を提供してくれる自治体もあります。例えば、群馬県では木のおもちゃ制作事業者をホームページ上で紹介しています。
※参考:群馬県庁「ぐんまの木のおもちゃを紹介します」

・園舎の木質化

園の日常に木と触れ合える環境を取り入れると、子どもたちは自然と木に親しみを抱くようになるでしょう。身近な例では、木材を使った家具を取り入れる方法があります。もっと本格的に木育に取り組みたいなら、園舎全体を木質化してみましょう。やわらかく暖かい木材は、素足で歩くことの多い子どもたちに優しい素材です。内装には地域産材を使った突板(つきいた=無垢材をスライスしたもの)がおすすめです。地元の木に囲まれた環境で、子どもたちの成長を見守ってみてはいかがでしょうか。

recomended item

おすすめ製品